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3467号 2023年8月21日

「自分のことを考えすぎる」と不安と抑鬱が増大する?! ー『自己注目』という概念ー

(本日のお話 2210字/読了時間3分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日日曜日は、
大学院のランニング部にて
朝から10kmのランニング。

また午後からは友人宅へ。
夕方からはミーティングでした。



さて、本日のお話です。

最近、私が好んで読む著者の方に
「鈴木祐さん」という方がいます。

サイエンスライターとして知られており
少年時代からひたすら論文を読み続けてきた、、、
という珍しい方です。

その方が書かれている著書は
様々な論文をもとに「科学的な知見」を
一般の人にわかりやすく伝えてくれているため
説得力があり、実に読みやすいのです。

その中で、

『無(最高の状態)』


という書籍があります。

こちらの本の内容で、
なるほどなあ、と深く納得したお話がありました。

今日はそのお話からの学びと気づきを、
皆様にご共有できればと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは

【「自分のことを考えすぎる」と不安と抑鬱が増大する?! ー『自己注目』という概念ー】

それでは、どうぞ。

■「また反省してるね」。

、、

私事で恐縮なのですが、
しばしば私(紀藤)が
我が妻に言われるセリフでございます。

どうやら、私はよく
自分の振る舞いなどを振り返り、
「あかんかったわー」と反省をしているようす。

これは、自分の習慣のようでもあります。

ただ、反省するたび、
なんだかちょっと重たい気持ちになるのですね。。。

これ、なんでなんだろう?
自分だけなのかな?

と以前より思っていました。

■さて、少し話が展開しますが

「自己認識」

は大事であると言われます。

”経験を内省をする”こと、

すなわち、

そのときを振り返り
自分の感情に気づき、
自分の経験を教訓にする

という行為は

・自己に対する認識をアップデートし
・自分自身の思考や行動をコントロール(調整)し、
・自らのリーダーシップを成長させる上でも有用なことである

などと知られています。

ですので、

”自分自身についてよく知ること
自らを省みること”

は決して悪いことではありません。

■しかしながら、

ご紹介した書籍『無(最高の状態)』では、
こんな事が書かれていました。

「自分自身について
考えることのデメリット」

についての言及とも言えます。。

以下、引用させていただきます。

(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

多くの先行研究では、
自己にこだわる人ほどメンタルを壊しやすい傾向が
何度も報告されてきました。

専門的には「自己注目」と呼ばれる状態で、

「私はダメな人間だ」や
「私は失敗ばかりだ」などの否定的な思考が良くないのは当然として、

「私はどんな人間なのだろう?」や
「本当の自分らしく生きることができているだろうか?」といったように、
理想の自己を思う時間が長い人も不安や抑鬱の症状を起こしやすいことがわかっています。

「自己注目」でメンタルを病むのは、
自己にまつわる思考がネガティブな方向に向かいやすいからです。

「同年代よりも私は年収が低い」と落ち込んだり、
「1年前に私が起こした失敗さえなければ」と過去を悔やんだり、
「私ばかり損をしている」と他人を恨んだりといった経験は誰にでもあるでしょう。

ときには「私はよくやっている」と思うこともあるでしょうが、
先にも見た通り、人間は生まれつきネガティブな思考システムを内蔵した生き物です。

多かれ少なかれ自己に関する思考はマイナスの方向へ向かい、
あなたに〝二の矢〟を放ち始める回数のほうが多くなります。

鈴木祐. 無(最高の状態) (pp.44-45). 株式会社クロスメディア・パブリッシング
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)

とのこと。

■ほうほう、、、なるほど。

曰く、

・人はネガティブな思考システムを持っている。

・ヒトが生きてきた環境下は、現代以上に
そこら中に生命を脅かしうるリスクが存在していた。

・その中で危機察知能力(ネガティブな思考システム)が
ヒトの中に育っていった。そのほうが生存・子孫を残す確率が増えるからである

・そして「自分の事を考える機会が増える」ときにも
この「ネガティブな思考システム」は発動されやすい。

・よって、「自己に関する思考」は否定的な思考だではなく、
理想的な自己を描く際も含めて、発動しやすい。

すなわち”自己を思う時間が長くなる”と
自己に関する思考がマイナスを打ち始める確率が高くなる

ということらしいです。

■実に興味深い。。。

そして納得です。

実は、

「理想的な自己を思い浮かべる」

という、ポジティブな印象を
与えそうなことだったとしても、

”「自己を考える時間が長くなる事自体」が
不安や抑うつを引き起こしうる”

というのは興味深いと同時に、
なんとなくわかる気もします。

■人は誰しもが

「自分(自己)」という存在が
大事である生き物であり、

自分の事を考えてしまうことは
必然なのかもしれません。

しかしながら、

その意識の矢印が
「自分に向きすぎる」こと、

”自己に注目しすぎることは、
ネガティブな結果を生み出す”

ことは理解をしておきたい、
と思ったのでした。

■何事もバランスが大事で、

適度な自己意識は自己認識を深め、
有用になるものではある一方

過度になると自己評価の低下や
不安や抑鬱、社会的なストレスを感じる原因となる

ということです。

ぐぐっと自分に矢印が向いている時に、

「これは『自己注目』の状態だ」

と自分をメタで(客観的に)見ることで
考えすぎて、沈むことも少なくなるのかもな、、、

、、、と、妻のコメント

「また反省してるね」

は、まさに「自己注目」だったんだなあ、
自らを省みた次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

記憶にとどめておきなさい。
本物の愛はギブ・アンド・ギブ、つまり相手に代償を求めない無私の精神の発露です。
ギブ・アンド・テイクは見せかけの愛でしかありません。

ジョセフ・マーフィー
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