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3474号 2023年8月28日

「二の矢」を刺すから苦しくなる?!反復思考にご注意

(本日のお話 2478字/読了時間3分)

■おはようございます。紀藤です。

先日は、お休みとのことで
ベランダで子供とプール。

日がだんだん短くなってきて
夏の終わりを感じつつあるこの頃ですね。



さて、本日のお話です。

最近呼んでいる本で、

『無(最高の状態)』


という書籍があります。

その中のお話で
「人が苦しむ理由」について
面白い話が紹介されていました。

そのお話を読んで、

「ああ、自分も気をつけよう・・・」

と、胸に残る示唆に富む話と感じましたので
皆様にご紹介させていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは

【「二の矢」を刺すから苦しくなる?!反復思考にご注意】

それでは、どうぞ。

■フランスの大学院で
哲学を研究する優秀な若き知人が
こんな事を言っていました。

「人生は、どう考えても
”苦しみ”のほうが多い。
これは絶対にそうです」

と。

その言葉がやたらと印象に残っており、
それから、ポジティブさは大事である一方

やはりネガティブな出来事の影響を
どうコントロールするかを考えるようにもなりました。

■さて、そのお話に関連して
上記でご紹介の書籍『無』では

冒頭からこんなテーマで
話がはじまります。

・人は生まれつき『ネバティビティバイアス』を持っている

・ネガティブの強度は、ポジティブの3~20倍の強度である

・ポジティブな情報ほど長持ちしない
(快楽の踏み車=喜びはその場限り)

とのこと。

たとえば、ポジティブな情報は続かない例として

- 新しいアパートに引っ越したうれしさは3ヶ月で色褪せる

- 給与が上がった喜びは6ヶ月で消失

- 好きな人と恋仲になった幸せは6ヶ月で薄らぎ、3年でベースに戻る

だそうです。

(悲しいけどわかる気がする・・・汗)

■多くの研究からどうやら、
「人の脳の機能」として言えることは

1,嫌なことはあとまで残る
2,よいことはすぐに忘れる

という状態がデフォルトのようです。

これは人間が進化してきた過程で
その方が「生存に有利」だったからと言われています。

どういうことかというと、
私たちの祖先ホモ・サピエンスが生きた2万5000年前は
外敵、天候、疫病など多くのリスクだらけでした。

その中では”できるだけ臆病になる”ことこそが”適応”であり
遺伝子を残せる可能性が高かったわけです。

そうした結果、脳内に

1,嫌なことはあとまで残り、
2,よいことはすぐに忘れる、

という機能が備わった、、、と言われています。

■しかし、問題はここから。

脅威が少ない現代の世の中で
それらが機能不全を起こし始めたのです。

そして、ネガティブなことを考え、
想像し、そしてそれにより鬱々としてしまう。

時には命に関わることもあるほど
深刻な課題となっています。

遺伝子に組み込まれたとして

「人間は”苦”がデフォルト」
であるのは仕方がないとしても

どうすれば、この”苦”から
逃れ得るのだろうか、、、?

デフォルトだから
逃れ得ることはできないのか?

これは多くの宗教でも
長らく考えられてきたテーマです。

ゆえに「こうすればよい」と
一言で片付くものではないものの
(それで楽になれば苦労はないですが)

その苦しみを和らげる一つの示唆として、
ブッダが仏弟子に語ったとされる問答が
なるほどな、、、と考えさせられました。

以下、本書より一部
引用させていただきます。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

2500年前、古代インド。
ブッダが弟子たちに問題を出した。

「一般の人も仏弟子も、同じ人間であることには変わりはない。
それゆえに、仏弟子とて喜びを感じるし、
時には不快を感じ、憂いを覚えることもある。
それでは一般の人と仏弟子は何が違うのか?」

困惑して黙り込む弟子たちに、ブッダは答えた。

「一般の人と仏弟子との違いとは、
”二の矢”が刺さるか否かだ」

※鈴木祐.『無(最高の状態)』を参考・引用し編集
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

とのこと。

■ちなみに、

この「ニの矢」は比喩的なものです。

・「一の矢」= 根本の苦難。
捕食者の襲撃、天候不順による飢え、
予期せぬ病気など。最初の苦しみ。これは避けられない。

・「ニの矢」= 一の矢に付随した様々な思考から生まれる苦しみ。
何故自分だけがこんな目に?、家族はどうすればいいのか…、介護ばかり受けて申し訳ない…など、
付随して現れた新たな怒り、不安、悲しみなど。

と説明します。

例えば、

・「上司が理不尽な文句をつけた」(一の矢)事に対し
・「自分が悪かったのか、それとも上司がリーダー失格なのかと思い悩む(ニの矢)

など。

二の矢は、自分で自分に刺しています。

更に、場合によってはそこから、

・「でも、自分はよく文句をつけられる気がする」(三の矢)
・「性格的に問題がある気がする」(四の矢)
・「そういえば友達も少ないし」(五の矢)

(以下続く)

と、

”ニの矢、三の矢、四の矢を
自分で自分にぶっ刺している(!)”

ことにより、苦しみを増長させてはいまいか、

、、、このことをブッタは問うたのでした。

(これを心理学では『反芻思考』といい、
非常にダメージを与える思考としています。

多くの研究から
抑うつや不安、脳卒中や心臓病のリスクを高めることが
わかっているそうです)

■ネガティブバイアスは
我々人間が持っている一つの機能です。

ゆえに放っておくと
二の矢、三の矢が発動してしまいます。

仏弟子のようにいつ何時も
「二の矢」が刺さなくなることは難しいとて

それでもなお

「私たちは自分の思考を
客観的に見つめることも可能な存在」

でもあります。

ゆえに一の矢の後、
「二の矢」を自分で自分に刺しそうになっていたら、

「ちょっと待った!」

と立ち止まって自分を見つめてみる。

それが苦しみを無闇やたらに増長させないための
対策の第一歩にもなり得るのではないか、、、

この本を読みながら
そんなことを感じました。

■二の矢、心理学で言えば反芻思考は
心身にダメージを与えます。

ゆえに

【「二の矢」を自分で自分に刺し、苦しむという愚行】

これをできる限りコントロールできるような手段を
身につけていきたいものだ、

そんなことを思う次第です。

(そのヒントは本日紹介の書籍に書かれています)
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

汝の敵は汝以外にいない。

ロングフェロー
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