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『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

今週の一冊『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

2796号 2021年10月17日

(本日のお話 2159字/読了時間3分)


■こんにちは。紀藤です。

昨日土曜日は、終日大学院。

また3キロのランニングと、
打ち合わせ1件でした。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日は、オススメの一冊をご紹介する
「今週の一冊」のコーナー。

今週の一冊は

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『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』
ブレイディみかこ (著)



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です。



■この作品、

ブレイディみかこさん(日本人=イエロー)と
英国人のお父さん(英国人=ホワイト)の

当時中学生のぼく(著者の息子)が
英国の元底辺中学校に通い始め

そこで起こる数々の日常の出来事を
描いたノンフィクションの作品です。

そして、登場人物の「ぼく」が何気なく
教科書の隅に走り書きをしてた言葉、

「ぼくはイエロー、ホワイトで、ちょっとブルー」

がタイトルになった、とのこと。


■内容はエッセイ風ですが、
その内容が、深い。

例えば、

・英国におけるエスタブリッシュメント
(王室貴族、生まれながら裕福)と
 労働者階級の格差。

・人種差別丸出しの友達、
 そしてその背景にある移民の親の影響、

・人種の違いや発言による
 中学校内でのいじめ、

・LGBTQの考え方
 その背景にある教育観、

・または子供の柔軟性から考えさせられる
 我々の「当たり前」の定義について…

、、、

そんな「世界の社会問題」を

どの世界でもある学校生活、
(しかし多様性を考えさせられる
 日本とは違う環境)、

そして、母と息子の会話等の日常を通じて、
(これもブレイディみかこさんの関わりで
 中学生の息子さんとのやり取りが深い!)


誰かの生活、そしてその中での
思考や感情の揺れ動きを、
覗き見させてくれる気持ちになりました。

まさに、本の魅力である

”誰かの人生をちょっとだけ
追体験させていただく”

ような感覚をもたせてくれるのです。


■ちなみに本作品、

”Yahoo!ニュース|本屋大賞
ノンフィクション本大賞受賞作品”

として評価されています。

他にも調べてみると

本屋大賞ノンフィクション本大賞
毎日出版文化賞
八重洲本大賞
キノベス!
ブクログ大賞
読者が選ぶビジネス書グランプリ
中高生におすすめする司書のイチオシ本
神奈川学校図書館員大賞
埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本
書店新風賞
君に贈る本大賞

、、、等の受賞を得ており、
実に注目されている一冊。



■しかし、その理由もわかる気がしました。

同一民族の割合が95%を占める国家を
「単一民族国家」と呼びますが、

その1つでもあるのが「日本」。

特に独自の歴史や
文化的背景を持つ国で生活をしていると

「移民問題」「人種問題」
「ダイバーシティ」

などが、縦も横も
なんとなく小さくまとまってしまい、

それが切実な問題と言うよりも
どこかで起こっている話と身近なものに考えづらい、とか

アンテナを立てられずに通り過ぎてしまう、
ということも、あるのかもしれません。

(、、、と恥ずかしながら
 本作品を通じて、私は自分を振り返り
 私自身に対してそう思いました)



■その中で、とはいっても、

そのような問題を温度感を感じられる、
日常のものになる手段があるとしたら、

それこそ、

”物語として感情を伴って感じること”

に他ならないのかもしれない。

そしてそれが物語としての
ノンフィクションの価値でもあるし、

今回の

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

の魅力なのかもしれない、
と私は感じました。



■そして、それを可能にしたのは、

ブレイディみかこさんという
著者の歩まれた半生があるからだと思われます。

イギリス・ロンドン在住のライター、
翻訳者等が表面上の役割。


しかし、ブレイディみかこさんの経歴は

・福岡県福岡市生まれ 貧困家庭出身
・パンクミュージックに系統する
・ロンドンを転々として無一文になる
・英国にて保育士の資格を取る
・ロンドンの日系企業で勤務
・失業者や低所得者向けの無料託児所で働く

と書かれています。

(Wikipediaより)


■自身が貧困家庭出身であり
そして低所得者の子供の世話をする中で

貧富、人種、教育等の
縦と横の多様性の渦の中で
生きてきたからこそ見える視点。

それを、彼女の文筆家としての表現力が
かけ合わさって、このようなリアルな物語になったのだろう

と思わされました。


軽やかで親しみやすい文章から
スラスラ読めます。

しかし、内容は、深く、
じっくり考えさせられる一冊。


私達がこれから向き合うべき問いが
たくさん散りばめられています。


、、、ということで以下、
本のご紹介です。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
人種も貧富の差もごちゃまぜの元底辺中学校に通い始めたぼく。

人種差別丸出しの移民の子、
アフリカからきたばかりの少女やジェンダーに悩むサッカー小僧……。

まるで世界の縮図のようなこの学校では、いろいろあって当たり前、
でも、みんなぼくの大切な友だちなんだ――。

優等生のぼくとパンクな母ちゃんは、
ともに考え、ともに悩み、毎日を乗り越えていく。

最後はホロリと涙のこぼれる感動のリアルストーリー。

<目次>
はじめに
1 元底辺中学校への道
2 「glee/グリー」みたいな新学期
3 バッドでラップなクリスマス
4 スクール・ポリティクス
5 誰かの靴を履いてみること
6 プールサイドのあちら側とこちら側
7 ユニフォーム・ブギ
8 クールなのかジャパン
9 地雷だらけの多様性ワールド
10 母ちゃんの国にて
11 未来は君らの手の中
12 フォスター・チルドレンズ・ストーリー
13 いじめと皆勤賞のはざま
14 アイデンティティ熱のゆくえ
15 存在の耐えられない格差
16 ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとグリーン
解説 日野剛広(ときわ書房志津ステーションビル店)

※Amazon本の紹介より
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)


ご興味がある方は、ぜひ。

じんわりと視点の広がりを
感じるのではないかと思います。

素敵な読了感とともに読めて
とってもおすすめです。


==========================
<今週の一冊>

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』
ブレイディみかこ (著)


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