今週の一冊『OPENNESS(オープネス) 職場の「空気」が結果を決める』
(本日のお話 2390字/読了時間2分半)
■こんにちは。紀藤です。
昨日土曜日は、お世話になっているIT企業にて、
『ストレングスファインダー研修』の実施でした。
1年前に同企業にて研修に参加いただいた方が、
研修終了時、自主的に「研修に参加しての感想」などを、
今年の参加者に伝えにお越しいただき、
大変嬉しく、心温まる時間でした。
A社の皆様、お休みにも関わらず、
ありがとうございました!
こういった取り組みが本当に会社を良くしていく、
と心より思います。
*
さて、本日の話です。
毎週日曜日は、お勧めの1冊をご紹介する、
今週の一冊のコーナーです。
今週の一冊は、
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『OPENNESS(オープネス) 職場の「空気」が結果を決める』
北野 唯我 (著)
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です。
■OPENNESS(オープネス)。
タイトルの通り、
「職場の空気」
特に、オープンで開示された、
風通しの良さのことを意味する言葉です。
この本は、
「職場の雰囲気、空気感、
このような目に見えないものが、
明らかに、企業業績に影響を、
与えていることがわかってきた」
ということを伝えてくれます。
■この本、何が素晴らしいかというと、
「職場の空気は大事」という、
確かに誰もがなんとなく感じてはいることを、
きちんと
”統計的なデータと関連させて”、
”論理的かつ客観的に”
情報を提供してくれているところなのです。
具体的に言うと、
『オープンワーク』
https://www.vorkers.com/
と言う、
日本で最大規模の企業評価サイトがあり、
840万人の内部口コミが集められているのですが、
このデータを用いて考察します。
ちなみに、このサイトは、
・半匿名性
(裏では本人確認ができるが、投稿内容は匿名になっている
よって、虚偽の投稿がしづらい)
・事実に基づいていない情報は投稿ができない
(経営陣は皆傲慢だ!など個人の意見でなく、
客観的な事実の投稿を促される)
・実際の社員による、投稿内容の質の担保
などなどの仕組みにより、
その会社のことを知ることができます。
世界最大規模の誰もがしる外資系金融会社が、
今後の業績推移の予測のために、
『オープンワーク』データを活用しているほど、
信頼がおけるデータとされています。
(実は私も、企業に伺う際に、
その会社の内情を知る上でこのサイトを参考にしますが、
極めて詳しく、かつ実情に即した反映がされている、
と感じています)
■そこのデータを活用して、
約2400社の会社の実情を定量的に見ながら、
・待遇の満足度
・社員の士気
・風通しの良さ
・人材の長期育成
・20代の成長環境
と、
・実際の業績の推移
の関連性を、
戦略コンサルタント出身で、
多くの組織を俯瞰的に捉えてきた著者が分析をします。
そして語るのが、
『今の日本で最も大切なことは、
職場の空気感(オープネス)にこそ、ある』
と、大変説得力を持って、
説明をしてくれています。
言われてみると確かにその通りだ、
と感じていた項目が、
データと紐付けられて、
確かさを増していく感覚を持つでしょう。
■今、日本では、
”多くの組織が立ち行かなくなっている空気”
が増えつつあります。
例えば、
・上層部のビジョンがわからず、
社員の士気が下がっている、とか
・一部の人間だけが、
必要な情報を持っていると感じる、とか
・なぜこの意思決定をされたのかが伝わらない、とか
・社長がどんな思いで、なぜ経営者をやっているのか、
そして何をしようとしているのかわからない、とか
・いつでも相談して、と言いながら、
実際に相談すると歓迎されないと感じる、とか
・自分の才能や強みを前面に打ち出すと、
煙たがられるように感じる、とか
・ミスや失敗など公言してしまったら、
自分のポジションが危うくなるから言わない、
という空気がある、
などなど。
きっと、皆様の組織でも、
当てはまることがあるはず。
そして、そのような組織が、
今は良くても、これから5年、10年、15年経ったとき、
日本全体が右肩下がりになって行く中で、
どのようになっていくか考えたときに、
迎えるべき未来は、
決して明るいものではなさそうである、
ということは、
想像に難くありません。
■この
「想像に難くない」
でも、
「証明されていないからなあなあにしてきた」
ことを、
1つの事実として、
データをもとに伝えてくれる、
というところに、
この本の希少性と価値を感じます。
現在、
「なんとなく感じていた大切なこと」
が、やっぱり大切だったんだ、
ということが、定性的なデータが集まることにより、
証明されつつあると感じます。
そしてこれからも、
テクノロジーと集まる情報により、
曖昧だったけれども大切なことが、
ますます着目されていくようになっていくでしょう。
■組織に着目した本であるため、
「読んで役に立った!」
と言う人は限られるかもしれませんが、
人事、経営、管理職、組織開発に関わる方は、
知っておくべき情報が上手にまとめられた本です。
手に取っていただくと、
参考になられるかと。
よろしければ、ぜひ。
(以下、著書の紹介です)
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※amazon「BOOK」データベースより
「職場の空気」と「企業の業績」には、強い関係がある。
「風通しが悪い」のに、「社員の士気が高い」会社はほぼ存在しない。
「給料」と「社員の士気」はあまり関係ない。
オープネスは、「高ければ高いほどいい」わけではない。
リーダーの真価は「失敗が起こったときどう対応するか」ではかれる。
オープネスを「組織のカナリア」として使うことで、業績の悪化を防げる。
事業再生に成功する組織は「士気の高い部署」から変革する…
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<今週の一冊>
『OPENNESS(オープネス) 職場の「空気」が結果を決める』
北野 唯我 (著)
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