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『組織開発の探究――理論に学び、実践に活かす』

今週の一冊『組織開発の探究——理論に学び、実践に活かす』

2481号 2020年12月6日

(本日のお話 3175字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日土曜日は、
髪を切り、2冊の読書。

夜は新卒ワタミ時代の先輩と
ご飯を食べにいくなどの
ゆるりとした時間でした。

本当に急に寒くなって
すっかり冬ですね。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日はお勧めの一冊をご紹介する
「今週の一冊」のコーナー。

今週の一冊は、

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『組織開発の探究——理論に学び、実践に活かす』
中原 淳 (著), 中村 和彦 (著)



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でございます。

人事関連の専門的な書籍ですが、
とても学びになる良書。

それでは、早速まいりましょう!



■さて、のっけから質問ですが、
「組織開発」とは一体何でしょうか?


、、、人事領域でないと、
あまり聞き慣れない言葉かもしれません。

というよりも、人事関連の方でも
明確に答えられる方は少ないように思います。

(なので答えられなくて普通です)



■「人材開発」といえば、

”個人の能力・スキルを伸ばす”

ということ。

・階層別研修、
・マネージャー研修
・コーチング研修
・営業研修

など、色々と会社でも受ける
あんな研修やこんな研修ですね。

会社を良くするために、
そして、求める成果を出すために
人事や経営が一生懸命考えて(多分そのはず)

経営の「人・モノ・金」でいう

「”人”というリソース育てる取り組み」。

それが「人材開発」です。


■例えば、

「メンバーが率直にチーム内に話せていないようだ」

「どうやらマネージャーの関わり方に問題があるらしい」

「よし!じゃあ、マネージャーに『コーチング研修』だ!」

というようなイメージですね。
(シンプルに言うと、ですけども)


■確かに、「人材開発」とても大切です。

ですが一方、

「コーチング研修」をやっても

チームや組織が、
うまく働かないこともある。

人も組織も、
そんなに単純ではないのです。

マネージャーが「コーチング研修」で、
メンバーの話を聞くように努力をしても、

そしてコーチングが実際にうまくなっても
一向にメンバーのモチベーションは上がらない。
うまくコーチングしているはずなのに…。

なぜだ!??


、、、ということ、
現場では結構あるものです。



■さて、こんな時に
新しい視点を持ちたいのが、
今日ご紹介させていただいている書籍のテーマである

「組織開発」

なのです。


例えば、上記の
「マネージャーがコーチング研修をやったけどうまく行かない」
という例の場合、別のこんな理由があるかもしれません。
可能性として、

・チームの中でいつも手柄を横取りする同僚がいる。
ゆえに、チームがギスギスする要因になっている

・いくら頑張っても、給与に反映されない
評価・報酬システムだからやる気にならない

・そもそも部門に課せられる目標が明らかに高すぎて
皆、プレッシャーしか感じていない

みたいな話が、背景にあるかもしれない。

それが、メンバーがチーム内で
率直に話が出来ない理由かもしれない。



■つまり、”組織の課題”とは


『「人材そのもの」の問題
(=マネージャーの力量の問題)だけではなく、

「組織のシステム」の問題
(=チームの関係性、評価報酬システム、目標設定など)

がチーム・組織が機能しない理由になっていることがある』


ということ。

これが無自覚に
チームや組織のどこそこで
起こっているのです。
(多分、皆さまの組織でも、そういうことあるかと)

だから、自覚して意図的に解決する必要があるのです。



■そしてその文脈で、
今回皆さまにお伝えしたいキーワードが、

『組織開発』

なのです。

「組織開発」とは、ご紹介の一冊
『組織開発の探求』から引用をすると、


”組織開発=「組織をWORKさせるための意図的な働きかけ」”


であるといいます。


もうちょっと詳しく言うと、

1)人を集めてもてんでバラバラで、チームの成果が出せない場合に
2)あの手この手を使って
3)組織を(成果を出せるように)workさせる意図的な働きかけであり
4)そのことでメンバーにやり取りが生じ
5)チームの共通の目標に動き始める手助けをすること

というように説明しています。



■そしてその
「組織開発」の必要性は、


”多様性が増えていく中でますます必要とされている”


とされていますし、それは実際
間違いないことでしょう。


「正社員男性家庭あり」のステレオタイプ的な
従業員像は過去のものとなりました。

そして、世代も、年齢も、国籍も、
ライフスタイルも価値観も違う中で

「チームで成果を出すこと」

が求められてきています。

それが”今という時代背景”です。



■『組織開発』とは、

行動科学のアプローチも用いて、
組織の課題を解決し、
よりよい未来を作っていくものです。


非常に深い世界のため、
一言では言い表しきれませんが、

具体的には、以下の3ステップが王道です。


また著書から引用させていただきつつ
まとめてみました。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
<「組織開発」の王道 3ステップ>

1)見える化(What?)→自分の組織の問題を「可視化」する
(質問紙調査、ヒアリング、対話など)

2)ガチ対話(So what?)
(できれば向かいたくなかったような抜き差しならぬ課題を、
腹をくくって向き合い、みんなで対話をする。
お互いの意識や認識のズレを表出させる)

3)未来づくり(Now what?)
(意識や認識のズレがガチ対話で明らかになった後、1つの合意を作っていく。
未来を決めるための議論(=コミュニケーション)をする。)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「見える化→ガチ対話→未来づくり」。

この3ステップです。



■そして、この組織開発の技法は
1950年代から世界中で(主にアメリカにて)開発され続け
多くの論文、研究がなされてきました。

そして今は、

”組織をより効果的かつ
健全なものにするためのメカニズム”

が更に明らかになりつつあります。



■今回ご紹介している、

『組織開発の探求』

は、そんな組織開発の誕生から、
今に至るまでの100年の系譜と、

具体的な事例が
どの本よりも丁寧に、詳細に、かつ読みやすく
描かれています。

ゆえに、そのページ数、約400ページ。

見た目が大迫力で(分厚いので)
一瞬読む気がなくなりますが、
読み解いていくと実に面白い話ばかり。


書籍の中には、

・「組織開発」の元になった哲学者と100年の歴史

・「組織開発」が怪しい、と言われるようになった理由

・「組織開発」の歴史と時代背景

・「組織開発」に携わる者が知っておきたい情報

など、組織開発に関する話について
網羅的に深く語ってくれます。



■ゆえに、人材開発に携わる方、
また組織開発に携わる方は
(人事、マネジメント層、研修講師、コーチなど)

ぜひ、ご一読いただくことで
ぱっと視野が拡がる一冊になるかと思います。

以下、書籍のご紹介です。


(ここから)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

コミュニケーションを活発にし、
組織を活性化させることを目的とする「組織開発」に注目が集まっている。

「組織開発とは、組織の健全さ(health)、
効果性(effectiveness)、
自己革新力(self−Renewing capabilities)を高めるために、
組織を理解し、発展させ、変革していく、計画的で協働的な課程である」(ウォリック)

平たく言えば、組織開発の目的は「組織の健全さ、効果性を高める」ことであり、
具体的には組織内のコミュニケーションを意図的に活発にすることから作業が始まる。

人材開発は働く個人に働きかけ、その成長を支援することである。

それに対し、組織開発はそのように単純化した説明が難しい。
それは、組織開発が「ある特定の手法」を指すのではないからだ。

また、その歴史をさかのぼると、
組織開発には人の心理を操作する悪しきやり方によって、
自殺者を出すなどの黒歴史もあった。


本書では組織開発の思想的源流をさかのぼって、
その哲学と手法の変遷をたどる。

大ざっぱに言えば、100年の歴史の流れを解説する。

さらに、いま行われている組織開発の手法を紹介し、5社の実践事例も解説する。


※引用:Amazon書籍の紹介より
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

オススメの一冊でございます。

よろしければ、ぜひ。


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<今週の一冊>

『組織開発の探究——理論に学び、実践に活かす』
中原 淳 (著), 中村 和彦 (著)



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