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3502号 2023年9月26日

『サビカスのキャリア構成理論』を読む ー「道を探す人の冒険」ポールの軌跡

(本日のお話 3153字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は、2件のアポイント。

また夜は5kmのランニングと、
5kmのウォーキング&読書でした。

川沿いの人があまりいない道を
kindleで本を読みながら歩くと、
頭も活性化されて、学びが深まる感覚がして一石二鳥だな、、、

と気づきました。

このパターンもっとやろうかな。
(実際、歩くと脳が活性化するそうですね)



さて、本日のお話です。

今日も引き続き、

『サビカス キャリア構成理論
四つの〈物語〉で学ぶキャリアの形成と発達』

マーク・L・サビカス (著),


の書籍より、ある人物の軌跡からの学びを
共有させていただければと思います。

今回のお話は、
なんだか目頭が熱くなってしまいました。。。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは

【『サビカスのキャリア構成理論』を読む  ー「道を探す人の冒険」ポールの軌跡】

それでは、どうぞ。

■私のこれまでの経験で

”強烈な自律心を持ち、
道を切り開いてく人”

に出会ったことがあります。

孤高な存在で、
自信に満ち溢れており、
実に頼もしい存在。

そうした人に昔の話を聞くと、

「長男で自分が
弟とか妹の面倒を見ないといけなかった」

「家にお金がなくて、
小さい頃から自律しなければならなかった」

という苦労話を聞くことも
しばしばありました。

■そうした話を聞くたびに

その人の”頼もしさ”の裏にある
それぞれの人の苦労を想像して、

その人生への敬意を感じたことを
覚えています。

■さて、今回、書籍から
ご紹介するある人物のエピソード、

『「道を探す人の冒険」ポールの軌跡』

は、まさに幼き頃の辛い経験から
”自分自身を頼りにせざるを得ない”という
自己を構成していったある男性のエピソードです。

それでは、早速見てみましょう。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<「道を探す人の冒険」 ―ポールの軌跡>

◯家族

・ポールは小学生の時に、母親を心臓病で亡くした。
この喪失がトラウマとなり、彼の人生に大きな影響を与えていった。

・母親は、常に彼の事を気にかけてくれていた。
いつも彼のことを心配してくれていた。

・母が亡くなった後、父にその愛情を求めた。
しかし、父親は何もしてくれなかった。
そしてその時に「もう自分を心配してくれる人はいなくなった」と感じた。

・父は精神的にも、物理的にも距離があった。
朝から夜まで、食堂で働き、家にいなかった。

・母がいない代わりに、年老いた家政婦が1日数時間、
ポールの世話をするようになった。
しかし、家政婦は子供が好きではなく、してはいけないことを言い続けていた。

あれはダメ、これはダメ、と言われる中で、
自分は必要とされていない、邪魔な存在であると感じていった。

・何をしても、父も家政婦も喜んでくれなかった。

・放課後も楽しくなく、友人といたかったが、
父に言われて食堂で働かなければならなかった。

・自分のやりたいことをやるには、
すべてから逃げなければならないような気がしていた。

◯キャリア発達

・父からも、家政婦からも、親族からも距離があり
自分の本当の居場所がわからくなっていた。

・しかし、中学1年生のクラスになると、状況が変わった。
教室に居心地の良さを感じることができるようになった。

・その理由は、先生が一人ひとりを見てくれたから。
またクラブに入ることで、同じ趣味や熱意を持つ仲間たちと
友情を育むことができた。

・一緒に登下校をし、フットボールや野球をした。
家族より、友達が自分にとっての居場所だと感じるようになった。

・だが、高校入学を目前にして、父親が家を買ったことで
学校が代わり、友人と離れ離れになった。
また、ポールは孤独を感じるようになった。

・「父にもっと一緒にいてほしかった」。
ただし、それは叶えられなかった。

◯キャリア探索

・中学高校と、ポールは
幅広い興味関心と、それを追求するエネルギーを持っていた。

・ポールは、動き回ることと、移動することが
趣味のほとんどであった。興味が次々に目移りしていった。

・新しいことを成し遂げたり、やったことがないことをやると
優越感を感じると思っていた。

・家にはほとんど帰らず、16歳では、お酒を飲んだり、
お金を稼ぐためのトランプをしたり、無免許でトレーラーを運転するようになった。

・「結局は、自分のことは自分で解決しなければいけないのだ」と決心した。
そこから父を頼りにすることはしなくなった。

・大学も父は学費を出すつもりだったが、拒否をした。
父を拒絶するようになっていった。

・高校3年生のとき、年上の女性と知り合い、
彼女と一緒に何時間でも話をするようになった。
彼女は、彼の自分で動くスタイルを邪魔せず、しかし安心する場所になっていた。
ポールは高校卒業後、すぐに結婚をした。

・安心感とともに、「何かしっかりとしたものを手に入れた」感覚を得た。

◯キャリア確立

・ポールと妻は、故郷から離れ、
新しい土地、新しい家、新しい仕事に変わっていった。

・樹木伐採の会社に雇用され成果を上げるが、
その後、解雇された。

貨物運送会社の自営業では大きく稼いだが、
市場の低迷とともに終了した。

バス会社の整備士は短期間でクビになり、
ボートに関連した仕事で安定した仕事になった。

・それぞれの仕事で「自分自身を頼りにし、工夫し、結果を出す」ことを
実現していた。

・しかし周りからの束縛が強くなるたびに、
彼はその場所を離れていった。

・何からも誰からも、縛られることを拒んだ。
彼は自分が設定した目標以外は目にくれなかった。
自分が否定され続けたものを取り返そうとする努力だった。

◯キャリアマネジメント

・多岐にわたる業務と自由さを楽しんだ。
どんな状況でも、楽観的な考えを持ち続けていた。
仕事ではなく、冒険を楽しんでいた。

・不安定ながら、それぞれの仕事で成果を出し、
経済的には成功をしていた。

・54歳になったポールは、どんな悪評を聞いても耳を貸さず
誠実に対応し、誰にも逃げずに対面した。
そして地域のリーダーとして尊敬されるようになった。

・ポールは自立と柔軟性を持ち、
不屈の精神を持っていた。

・自分を犠牲者とみなすことを拒否し、
人生がもたらすことに対する好奇心を持っていた。
「問題が起きればその都度対処すればよい」としてきた。

・子供時代には考えられなかった、
楽しい家庭を築いていった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

■実際の物語を読みつつ、

”愛情を求めたけれども
ずっと得られなかった悲しみ”

が透けてくるような物語。。。

そしてその結果、ポールは

「自分のことを自分で決めるしかない」

とし強烈な自立心と柔軟性を
自分自身のアイデンティティとして
手に入れていったのでした。

■そして、その中には、

妻との出会いがあり、
その拭い去れない”痛み”のようなものを
抱えながらも、

それを

「自分を信じる心」
「適応する力」
「楽観的な姿勢」
「あくなき冒険心」

として昇華をさせ、
人生の航海を続けている姿は、まさに

”道を探す人”

といえるのだろう、、、

そんなことを感じさせられました。

■このような物語は、

親を幼き頃に亡くした時に、
取るべき一つの戦略として

「回避的な愛着スキーマ」
(誰かに依存的・親密になることを避けようとする)

という形を取ることもあるようです。
ポールはまさにその例でした。



また彼が「人格形成期」に父親や周りを
頼りにすることができなかったことから

「人に頼ると裏切られる」

「自分自身は自分のものでしかない」

「成功するなら自分の力で」

というアイデンティティを構築していったと
考えられるようです。

■いずれにせよ、キャリアとは、

幼き頃から始まり、

そしてその人が持つ
宿命じみた匂いすらするライフテーマとともに、
それぞれの道を歩んでいく、、、

こうした一人ひとりの旅路があると、
改めて尊いものであると感じた次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

家族どうしの愛とは、互いに束縛しあうのではなく、
それぞれの自由と自立を認めあい励ましあうところに
存在価値があるように思います。

瀬戸内寂聴
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