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3677号 2024年3月20日

7000名に聞いて分かった!「仕事満足度に影響する強み」TOP5はコレでした

(本日のお話 2531字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日はストレングス・ファインダーを活用した
事業部内のチームビルディングの研修。
その他コーチングやアポイント2件でした。



さて、本日のお話です。

本日は久々に強みの論文をご紹介したいと思います。
内容は「強みと仕事の関係」について。

強みを活用することは、幸福度に影響があることが、これまでの研究でわかっています。そして「仕事」は人生の中でも自分の強みを活用する舞台の一つです。そんな中で、

・どんな「強み」が仕事満足度と関連しているのか?
・職業ごとに「強み」は違っているのか?

などの疑問について、7348名を対象に調査をして明らかにしてみよう!という内容です。2009年の論文ですが、「性格的強み(VIA)」「仕事満足度」「職業」の関係を調べた大規模調査となっており、興味深い内容です。

ということで、早速みてまいりましょう!

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<今回ご紹介の論文>
『性格的強みと仕事』
Peterson, Christopher, John Paul Stephens, Nansook Park, Fiona Lee, and Martin E. P. Seligman. 2009. “Strengths of Character and Work.” In. Oxford University Press.
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■30秒でわかる論文のポイント
・本論文では、「性格的強み」と「仕事」の関係を調査した。

・具体的には、米国に住む7348名を対象にインターネットで調査を行った。調査項目は、「職業」「性格的強み」「仕事満足度」を中心とした項目である。

・その結果を分析したところ、以下のことがわかった。
1)職業問わず『好奇心・熱意・希望・感謝・スピリチュアリティ』の性格的強みが仕事満足度と関連していた
2)職業間の性格的強みとして、専門職・管理職は『知恵や知識の強み・忍耐力・希望・熱意』が高く、事務員・ブルーカラー労働職は上記に加えて『人間性・愛情、社会的知性』などのスコアが低い傾向があった、

・しかし、上記の差は、その大きさはかなり小さいものであった。

とのことでした。

職業関係なく仕事満足度に関連する「強み」はあるということ、職業ごとの違いなどもあるにはあるものの、その差は小さく、それだけで何かを断定することはできないとのこと、なるほど、気になりますね。

■研究の全体像
本研究は以下のように進められました。

◯参加者
2002年~2003年にオーセンティック・ハピネスのウェブサイトからのアンケートに回答をした米国で就業中の成人回答者7348名

※回答者の職業は以下の通りで分類されました。
(a)専門職(最高経営責任者、大企業の経営者、医師、弁護士、歯科医師、教授)
(b)管理・マネジメント職(中規模企業の経営者または経営者、特別な免許や資格を持つその他の専門職:看護師、視能訓練士、薬剤師、ソーシャルワーカー、教師)30%
(c)管理職(事務職員、中小企業のオーナーや経営者)33%
(d)事務職(事務員、秘書、事務アシ スタント、営業職)23%
(e)ブルーカラー(熟練労働者と非熟練労働者)49%
(f)主婦

◯調査項目
1)デモグラフィック情報(年齢・性別・教育レベル・職業・国籍など)
2)VIA-IS(性格的強み):240項目
3)仕事満足度:1項目(1=完全に不満~7=完全に満足で評価)

■結果
◯わかったこと1:仕事満足度と関連が高い「強み」TOP5は
いくつかの性格的強み(『好奇心』『熱意』『希望』『感謝』『スピリチュアリティ』)は、職務カテゴリーを問わず、仕事満足度の中程度に強い予測因子でした。(ちなみにスピリチュアリティは米国内でのデータという文化的特性が入っているだろう、との考察がありました)
また、パターンとしては、ブルーカラー労働者の場合、「誠実さ」と「公正さ」の強みが、他の職業グループの労働者よりも仕事満足度と強く関連していた結果になりました。

◯わかったこと2:職種ごとの「強み」の違いがあった
また次の発見が「性格的強みのほとんどに関して、職種間で差が見られた」ということです。しかし、推定された効果量は一様に小さかったというのも特徴です。

たとえば、専門職や管理職は、知恵や知識、 忍耐力、希望、熱意といった強みの得点が高い傾向にあったが、事務職やブルーカラ ーは低い傾向にありました。
管理職と主婦は、これらの強みに関して中間のスコアでした。「優しさ」と「愛情」に関しては、主婦の方が他の職種よりも高いスコアを示す傾向があり、「愛情」と「社会的知性」に関しては、事務職とブルーカラーの方が低い スコアを示す傾向がありました。
「謙虚さ」のスコアは、専門職よりも事務職、ブルーカラー、主婦の方が高かっ専門職と管理職は仕事への満足度が高く、ブルーカラー労働者、特に事 務職は満足度が低い傾向がありました。

◯わかったこと3:性格的強みと職業の適合性とは(要検討)
最後に、「強みと職業の適合(補完的適合)」という考え方についても述べていました。ここは読解が難しかったのですが、論文を引用すると「たとえば、ある仕事において「勇敢さ」の平均レベルが高い場合、”勇敢さと仕事満足度の相関は低くなる”」と考えるそうです。
そしてその前提から、各職業において、平均レベルが高い強み以外のものを使っていた場合、労働者は仕事に満足する可能性が高い、だろうとのこと。その理由としては、仕事必要とされる強みを発揮していると感じる、または同僚と一線を画していると感じているからと感じるからではないか、とのことです。(残念ながら、ここの部分の解説は、意味がよくわかりませんでした涙)。

■まとめ
2009年の論文になりますが、「性格的強み」「仕事満足度」「職業」というシンプルな項目を7000名以上の大規模調査を行った結果とのことで、調査自体が面白いものでした。

そして、職種を超えて、仕事満足度に関わる項目『好奇心』『熱意』『希望』『感謝』(そしてスピリチュアリティ))は人生満足度を高める強みの項目と一致している、ということから、これらの強みを発揮することは、仕事でもプライベートでも、どちらにおいても重要なことなのだと改めて理解した次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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<本日の名言>

子ども心を失っていない者は、偉大である。

孟子
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