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4112号 2025年5月29日

今どきの大学生の受験事情を、もんじゃを食べながら聞いて驚いた話

(本日のお話 3752字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です

先日、兼任講師を務める、大学のクラス会がありました。

運営メンバー&受講生の大学生20数名、そして私で、池袋の「時間無制限のもんじゃ食べ放題」なる学生御用達のお店に行きました。

そこで、たらふくもんじゃをかき込みながら、学生の皆さんの「小学校~大学の受験の話」を教えてもらったのですが、その大学に至るルートが様々で、興味深く、勉強になったのでした。

今日はそんな「学生の受験事情の話」、そして個人的に調べてみた「東京と地方の受験の違いのデータ」から感じたことを書いてみようと思います。

それでは、どうぞ!

■今どきの大学生の受験事情

昨日、もんじゃ焼きを食べながら、一緒にお話したクラスの大学1年生の皆の話を聞いていました。そのグループの中では、小学校受験をした人20%、中学校受験をした人が40%、高校受験が30%、大学受験は推薦枠のため0%(!)でした。話を聞くと、

―――
「小学校受験は、気づいたらしていました」
「親への反抗心で勉強して、高校では1位をキープしていました」
「内申点だけだと足りなかったので、英検を加えて高校推薦を取りました」
「エスノグラフィーなどの選択授業をとって、卒論の成績が良くポイントが上がったので、一つ上の偏差値の経営学部にしました」
―――

なんだか、自分の学生時代には考えていなかったような単語がならび、ただただ驚きます。高校の授業でも「エスノグラフィー」「会計学」のような大学の選択授業のようなものがあるクラスがあったり、そもそもその高校が「キリスト教系大学コース」みたいなものがあるなど、へー!と、海外からきた留学生のようになっていました(教員なのに)。

同時に、先を見越しつつ、中学や高校から、自分の将来のために投資してきた勤勉な様子が伝わります。高校時代の自分に聞かせてやりたい…!

また印象的だったのが、口を揃えて述べていた、ご両親の存在です。

―――
「親の手のひらの上で、上手に転がされていた気がする」
「好きにしたらいいよ、と言われていたけど、気づいたら今に至っていた」
―――

などなど。世界がどうしても狭くなる子どもにとって、親がどのような機会を与えるかは、家庭により大きく異なることは、知られている通りです。

そして、学生より親御さんに年齢が近い自分としては、学生さんのご両親がいろいろな思いで、自然と選択肢が広がるように導かれた側面は、多分にあったのだろうな…と想像し、その親心をまたまた勝手に妄想して、グっとくるものがあったのでした。

■私の若かりし頃の受験時代

大学生の皆が「小学校受験をしました」「中学受験をしました」なんて話を聞く中で、翻って「はて、自分のときはどうだったっけ?」と思い返していました。

私は愛知県の岡崎市で育ちました。当時の新興住宅地で、同世代のファミリー層がたくさんいたため、近所には子どもたちだらけ。そこで競い合うように刺激を与え合っていた街でした。

そこでは、私の知る限り、小学校までは「受験」なんて言葉は周りではほぼゼロでした。学年に1~2人親が医者の息子が私立の中学校に行った、アイツは変わってるね、なんて話が出ていたくらいの印象です。

――――
<愛知県岡崎市の一般の受験ルート>
市立小学校 → 市立中学校 → {受験}県立の高校 → {受験}大学
――――

私の進学&受験の当たり前は、こんな感じでした。

先を見通すこともなく、場当たり的に生きてきた自分は、中学校時代の優秀な友達がいたときはその流れで塾にいき、それなりの勉強をした記憶があります。

しかし、高校に行った瞬間に何もしなくなりました。「勉強するとかカッコ悪いっしょ」みたいな、少年漫画の見過ぎであった凡人発想の自分を見て、当時の担任の先生が「努力がダサいみたいな考え方、やめたほうがいいと思うよ」と個人面談でやんわり言われた記憶があります。はい、そのとおりでした。反省しています(汗)

当然、そんなスタンスで成績はどんどん低下していきました。「やばい、でも国公立じゃないとダメ」みたいな先入観があったので、高校2年の終わりくらいから「進研ゼミ」を親にお願いして、個人学習としてやり始めました。

進研ゼミが最高で、そのおかげで成績は上昇していきました。現代文・古文、数学、英語、生物、倫理、などを割と網羅的にやっていた気がしますが、進学先も考えておらず、ただ「心理学っぽいのが好き」ということで、心理学系学科がある国公立を探して大学に入った、ということでした。

改めて、昨日の大学生の皆の話を聞くと、ずっと大人びて見えます。
自分の子も、こんな子に育ってくれたらいいなあ、と思ってしまいます。

■今どきの大学生の受験事情

そして、話を戻して、昨日一緒にお話した大学1年生の皆の話を聞くと、なんだか大変刺激になります。

「小学校受験は、気づいたらしていた」
「親への反抗心で勉強して、高校では1位をキープしていました」
「内申点だけだと足りなかったので、英検を加えて高校推薦を取りました」

皆、先を見越しつつ、中学なり高校なりから、自分の将来のために投資してきたようすが伝わります。すごい…高校時代の自分に聞かせてやりたい(汗)同時に、口を揃えていっていたのが、ご両親の存在です。

「親の手のひらの上で、上手に転がされていた」
「好きにしたらいいよ、と言われていたけど、気づいたら今に至っていた」

などなどのコメントです。

学生より親御さんに年齢が近い自分としては、学生さんのご両親がいろいろな思いで選択肢を与えられるように道を見せてくれた側面は、きっとあったのだろうな…と勝手に想像してしまいました。そしてその愛情に、またまた勝手にグっとくるものがありました。

■東京と地方の受験の違い

また、データ的なものも調べてみました。私の出身は「愛知」。住んでいるのは「東京」。2拠点生活として「沖縄」にもいきます。さらに、それぞれの地域でお受験事情がどのように違うのかを、調べてみました。まとめると、こんな感じでした。

◎小学校~大学受験の地域差
まず、全国的な小学校~大学受験の特徴です。

・小学校受験=私立・国立小の入学選抜を受けた児童の割合。首都圏全体でも「体感10%」に対し全国平均は1%前後と極端に地域差がある 。

・中学校受験=小学6年生が私立・国立・公立中高一貫校の適性検査を受ける比率。東京23区は30%と突出 、愛知は約2割 、沖縄はごく少数(国際・開邦など県立4校280名) 。

・高校受験=中3生が外部の高校入試を受ける比率。全国的に高校進学率自体が98%前後あるため “受験率≒進学率” と考えて差し支えないが、東京は私立中高一貫内部進学生(約3割)が高校入試を経ないため、外部受験は7割程度。

・大学受験/進学率=高等学校卒業時に大学・短大へ進学した現役生の割合(既卒・専門学校は除外)。東京74%台でトップ、愛知64%、沖縄54.6%(ここ10年で大幅上昇) 。

■受験事情のざっくりポイント ー東京・愛知・沖縄を比較してー

(1)「東京」は”選抜機会”が桁違い
私立小の定員・学校数が集中し、小学校からの受験文化が可視化(10%)

そのまま中学受験30%→内部進学で高校受験回避→大学進学率も全国最高という流れで、受験市場の「ハイエンド化」が起きている。

(2)「愛知」は“私立中高”文化が強いが、小学校受験は極小
トヨタ本社を中心とする地元大学の収容力と就職パスが厚く、“地元志向×理系人気”で大学進学率も6割強。

私立小は6校しかなく小学校受験はマイナー。一方、中学受験は約2割で、難関私立・国立中と県立中高一貫(明和探究など)の人気が年々上昇。

(3)「沖縄」は”公立中心”だが、大学進学率が急伸
離島県ゆえに私立小はゼロ、中学受験も1~2%に留まる。

近年の給付型奨学金拡充や県外進学支援策が奏功し、大学進学率は54.6%まで急上昇。所得要因による格差縮小が進みつつある。

■まとめと感想

昨日の学生の受験のお話と、これらのデータを見る中で、自分の中に起こった興味と驚きの理由がわかった気がしました。

その理由は、「自分の愛知の学生時代と、今しばしば行っている沖縄と、そしてメインで仕事をする東京において、”受験や進学の情報量の違いを感じた”」ということ。

何が良いかなどはわかりませんが、「教育機会の差」は、やはり圧倒的なものがあるように感じました。遺伝的な影響等で、読み書きや計算など、優れた能力を発揮する人は、きっとどこに行っても学ぶのでしょう。

しかし、例えば私のように「才能があるわけではない、ふらふらと揺れ動く学生」だったとすると、その周辺環境で学んだり、学ばなかったりすることも、大いにあるわけなので、たしかに、少しでも将来に向けて積み重ねられそうな選択肢の場所にいてほしいな、と思ったりもした次第です。

さて、ゆっくりと成長する我が息子のこれからが、どうなっていくのか。
そんなのも気になる今日このごろでございました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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