強み活用の超王道は「強みを新しい方法で使う」こと
(本日のお話 1995字/読了時間2分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は、立教大学の春学期の振り返り会でした。
ちょっと寂しい感じもありつつ、良い経験をさせていただきました。
運営スタッフ、学生、教員の先生方に改めて感謝です。
またその他5kmのランニングなど。
7月は合計160kmのランニングでしたが、
12月の自己ベストを目指して、もっともっと追い込んでいきたいと思います。
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さて、本日のお話です。
引き続き、本日も強みのお話を続けてまいります。
それでは、早速まいりましょう!
■数々の研究が支持してきた「ある結果」
強みの研究においては、「幸福感」に与える影響が、これまでの研究で数多くなされてきました。その中で、ある信頼のおける「ある結果」が示されています。それは、
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・強みを使って幸福感を高めるには、「強みを新しい方法で使う」ことが有効
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という話です。
◎ペンシルバニア大学の研究
まず1つ目のエビデンスです。ポジティブ心理学の黎明期である2005年、セリグマン博士らによるある研究が紹介されています。引用数11000件を超えるとても有名な論文です。
この研究は成人577名に対して、5つのポジティブ心理学のエクササイズを割り当て、その効果を検証するというものでした。その結果わかったこと、それが「6ヶ月の間幸福感を高めたエクササイズ」として「特徴的な強み(自分らしい強み)を新しい方法で使う」であることがわかりました。(Seligman et al., 2005)
◎チューリッヒ大学の研究
次に、2つ目のエビデンスです。時はめぐり、ポジティブ心理学の成長期である2013年、チューリッヒ大学による、同様の研究が行われました。2005年の研究結果の検証を目的としたものです。科学には再現性が求められます。「たまたま今回そうだった」のではなく、同じ実験を行って同じ結果になるのか、それが様々な文化圏・年齢・対象でも同じ結果なのか、これらによって得られた示唆の信頼度は変わります。
2005年はアメリカの成人で男性がやや多めでしたが、今回の2013年の調査ではスイスの成人女性を主な対象としました。研究の結果、やはり「特徴的な強みを新しい方法で使う」ことは、6ヶ月の間、幸福感を高めることがわかりました。
◎バーゼル大学の研究
最後に、3つ目のエビデンスです。2024年にバーゼル大学による研究で、1163名を対象に、7種類の強みのエクササイズを実施し、その効果を検証しました。エクササイズの内容は、「特徴的な強みを新しい方法で使う」以外にも「強みを見つける」「他者の強みを観察する」「小さな課題で強みを使う」「他者のために強みを使う」などです。
その結果、すべての強みエクササイズの中で、最も効果が高いものは、やはり「特徴的な強みを新しい方法で使う」でした。また幸福感の向上だけでなく、「強みを磨く(強みの状態や特性を向上させる)」という結果も示されました。
■「強みを新しい方法で使う」とはどういうことか?
では、「特徴的な強みを新しい方法で使う」とはどういうことなのでしょうか? まず「強み診断」とその読み解きで、特徴的な強み=自分らしい強み」を5つほど選んだら、それらをより活用できるように、使い方のアイデアを広げてみることです。
たとえば、こんなイメージです。
(ここから)
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<「強みを新しい方法で使う」の例>
【向学心】の強みの場合
◯通常の使い方:好きな分野の本を読む、セミナーに参加する
◎新しい使い方:
・普段興味のない分野(例:数学とか歌舞伎とか)の入門書を1冊読む
・家族に「新しく知ったこと」を毎晩1つ教える習慣を作る
【親切心】の強みの場合
◯通常の使い方:友人を励ます、困っている人に手を差し伸べる
◎新しい使い方:
・苦手な相手(無愛想な上司など)に小さな親切をしてみる
・ランニング中ですれ違った人に笑顔で挨拶してみる
【大局観】の強みの場合
◯通常の使い方:人にアドバイスする、客観的に判断する
◎新しい使い方:
・自分自身の悩みに「他人の視点」でアドバイスしてみる
・若者に人生相談にのってもらい、自分の考え方との違いを観察する
【ユーモア】の強みの場合
◯通常の使い方:場を和ませる、ジョークを言う
◎新しい使い方:
・社内の週報や資料にさりげなくクスッと笑える一言を入れる
・真面目な場(朝礼や会議冒頭)であえて小ネタを仕込む
【公平さ】の強みの場合
◯通常の使い方:意見が偏らないように中立的な立場で進行役をする
◎新しい使い方:
・あえて「反対意見を代弁する係」になり、少数派の視点を紹介してみる
・家庭の中でも「公平さ」を発揮する。子どもの意見も含めて話し合う。
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(ここまで)
意外と自分が強みとして使えていることも、いつも同じやり方で、限定的な使い方しかしていないことに気づきます。
誰かの「いいな」と思うやり方を真似してもよいですし、生成AIにアイデアを出してもらう、というのもいいでしょう。いずれにせよ、「自分らしい強み」をもっと広げて使っていくことが、「強みの活かし方の超王道」ということを、声高にお伝えしておきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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