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4192号 2025年8月17日

今週の一冊『学びをやめない生き方入門』

(本日のお話 2456字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日土曜日は、朝から10kmのランニング。
その後、息子4歳との「地下鉄の旅」でした。

(ひたすら電車13~19時まで乗りまくる。
でも楽しいらしいです)



さて、本日のお話です。

毎週日曜日は最近読んだ本の中から一冊をご紹介する「今週の一冊」のコーナーです。
今週の一冊はこちらです。

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『学びをやめない生き方入門』

中原 淳 (著), パーソル総合研究所 (著), ベネッセ教育総合研究所 (著)
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本書は、立教大学の中原先生による「学び続けるための入門書」です。

働く日本人の約5割が学んでいないというデータ。
「学べ学べと言われることに疲れてしまった」という現場のリアルな声。
そして一方で「学んでいる人は働く幸せを感じている」という、学びの必要性と抵抗感のゆらめきの中に、少なくない日本人が佇んでいるようです。

その中で、どのように働きながら、幸せに学び続けることができるのか?をデータと実践的なヒントを含めて、解き明かしている一冊です。

読んでみて、「学ぶことの定義を広く捉えられるようになること」「自分の学び方のクセがわかる」というような気づきが得られる体験でした。

ということで、さっそく中身を見てまいりましょう!

■学びに対する7つのバイアス

本書では、「学びたいのに学べない」という状況の背後には、いくつかのバイアスがあると述べられています。それが以下の7つのバイアスです。

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1.新人バイアス:学び=若手や新人のもの、という思い込み
2.学校バイアス:学ぶなら学校や教育機関で、という思い込み
3.現場バイアス:座学は無駄、経験こそすべて、という思い込み
4.地頭バイアス:知能がないと学べない、という思い込み
5.自信の欠如バイアス:自分はまだ学びに向いていない、という思い込み
6.現状維持バイアス:今のままで十分、という思い込み
7.タイパバイアス:効率よく学ぶべき、という思い込み
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

上記が、「学び」を遠ざけてしまう背景にあると指摘します。

私は学びには積極的な方であろうと思っていますが、それでもセルフチェックでみてみると傾向があることに気が付きました。

たとえば、「地頭バイアス」は以前強くあります。自然科学や数学など、自分が苦手だと感じている分野には距離を置いてしまいがち。
あるいは「タイパバイアス」もあり、哲学などに興味があっても、入門書ばかりを読んでしまい深いところまで踏み込めていないかもな、とも思いました。

こうした傾向を言葉にされることで、「学びのスタンス」の自覚が深まるように思います。

■「学ばない職場」の共通点

本書の中で、個人的に印象的だったのは、「学ばない職場にはある共通点がある」という記述です。

それは、「上司が学んでいない」ということです。

本書ではこの事実がデータで明確に示されており、実に興味深く感じました。
というのも、私が現在支援している企業でも、まさに同じような課題が挙げられていたからです。

たとえば、ある課長が管轄する部門のe-learningのデータを見ると、課長が学んでいるところでは部下もよく学んでおり、逆に課長が学んでいないところでは、部下も学んでいない。
このように、「学ぶ文化(あるいは学ばない文化)」は、遺伝や伝染のように広がっていくということに共感すると同時に、危機感を覚えました。

もちろん、学びが進まない背景には、そうなる理由があります。

長時間労働の習慣、異動の多さ、職務の曖昧さ、短期的成果へのプレッシャーなどなど。よって「上司が悪い」と責任を個人に帰すものではありません。

……とはいえ、仕事が刻一刻と変化するなかで「学ぶこと」を習慣化していない職場や組織は、ベルトコンベアの外で止まったままの状態に気づいていない状況とも言えるのではないか、と個人的には思います。

世の中が変わる中で、自分だけ過去のままの知識やスキルで、長く続くキャリアを泳いでいくのは、リスクが大きすぎるし、なにより楽しめないようにも感じます。

だからこそ、「学ぶことが連鎖する組織」を作ることは、めちゃくちゃ大事だよな…と思うのでした。

■よりよく学んでいる人の「5つの行動」

では、どのように学べばいいのでしょうか?

本書では、「幸せと活躍」の両方を実感している人が実践している”質の高い学び方”として、以下の5つの行動が紹介されています。

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<よりよく学んでいる人の「5つの行動」>
1.共習する(周囲を巻き込みながら学ぶ)
2.ゆるく続ける(無理なくコツコツ学ぶ)
3.ミーハーする(新しいものにあえて飛びつく)
4.逆境する(困難や失敗から学ぶ)
5.学び結ぶ(学び同士を橋渡しする)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「学ぶ」と聞くと、専門的な学校に通う、資格を取得する、というイメージを持ちがちかもしれません。しかし「学ぶ」とはもっと広くて、身近で、気軽なものであると、本書は教えてくれます。

たとえば、生成AIに触れてみる(=ミーハーする)、学んだことをSNSで呟く(=ゆるく続ける)、失敗体験を振り返ってみる(=逆境する)などなど。
こういったこともすべて「学び」であるとすると、意外と学びは身近に転がっています。

つまり、「机の上で勉強すること」だけが学びではない。

私たちが日常的にやっていることの中にも、学びはたくさんあるのだということを、あらためて気づくことで、自分の「学びのレーダーチャート」の強みと伸びしろに気づくことができるのだろう、と感じます。

「自分がどの学び方に得意なのか、あるいはあまりやっていないのか」をセルフチェックできる構成にもなっており、一人称として感じられました。

■まとめ:個人的な感想

全体的に読みやすいのに、データに基づいた記述も多いのが、たいへん説得力があります。
また、中原先生の著書で共通する脳内にこびりつく言葉の選び方(ミーハーする、学び結ぶなど)が、いつもながら感動させられました。

学び続けている人たちのケースを見て、自分の専門領域を広げていくためには、キャリアの中で継続的な学びが欠かせないのだと改めて感じました。

勤勉な日本人が、世代を超えて「学ぶこと」をもっと日常的なものとして捉えられるようになれば、その可能性はさらに広がるはずです。
そして、日本が周囲の国々からよい刺激を受けながら、ポジティブな循環を生んでいけるようになるのではないか、、、そんなことを感じさせてくれる一冊でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

※本日のメルマガは「note」にも、図表付きでより詳しく掲載しています。よろしければぜひご覧ください。

 

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