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4402号 2026年3月15日

今週の一冊『グロービス流 キャリアをつくる技術と戦略』

(本日のお話 3851字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は朝から20kmのランニング。
また午後からは立教大学大学院LDCのアルムナイのホームカミングデイでした。

改めて、本当に尊敬できる仲間と、素晴らしいコミュニティで、
ものすごくエネルギーを貰えました。

人材開発・組織開発をもっと深めたいと思いましたし、
自分ももっと力をつけたい!と感じる1日でした。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日は、最近読んだ本の中から一冊ご紹介をする「今週の一冊」のコーナーです。
今回ご紹介する書籍はこちらです。

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『グロービス流 キャリアをつくる技術と戦略』

グロービス経営大学院(著)

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人が働く上で、「5年先、10年先自分はどんな風に働いていくのだろうか?」というキャリアについて考える人は、多いかと思います。

そんな中で、本書は経営大学院で有名なグロービスの教授らが、10年以上、数千人のキャリアに迷える社会人ビジネスパーソンのために、「キャリアを考える枠組みや手法を提供したい」という思いで作られた本とのこと。
(主な対象は20代後半~30代くらいに向けて書かれている本と思われます)

その言葉通り、堅牢な理論と構造でキャリアの見通しを立てるための道筋を描いており、正直、これまで読んだ様々なキャリア系の本の中で、最も現実的かつ説得力があると感じました。
(そして、実際に私もこの本の内容のような形で、キャリアを築いてきたようにも感じました)

10年以上前に出版された書籍ですが、その内容は色褪せず、参考になる人も多いかと思います。

ということで、早速中身をみてまいりましょう。それでは、どうぞ!

■本書の特徴

本書の魅力は「N=1の私のキャリア持論」みたいな話ではないこと。
理論に基づいて構造的に書かれており、説得力があります。かといって、抽象的すぎることもありません。

キャリア理論はエドガー・シャインの「キャリア・アンカー」、クランボルツ博士の「計画された偶然性理論」、スーパーの「ライフ・キャリア・レインボー」など有名なものがいくつも知られています。

また「現状の自己分析」「ビジョンの設定」など王道な方法もいくつもありますが、それらを構造的に組み立てて整理し、ワークシートとして「自分がキャリア戦略を描ける形で使えるようにしている」ところが何より魅力です。

以下本書の紹介より、引用させていただきます。

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▼10年後に後悔しないために
社会やビジネスの変化が早く激しい昨今、、「自分は将来この環境で生き残っていけるのか?」「自分はいったいどう生きればいいのか」・・・そんな不安を感じている20代、30代前半のビジネスパーソンは多い。
5年後、10年後に自分自身の道を歩むためになにをすればいいのだろうか。どのようにキャリアを積めばよいのか。

▼戦略的かつ現実的に行動し手に入れる
意欲があるがどうすればよいかのかわからず、手探り状態のビジネスパーソンに贈るのが本書だ。
「○○力向上」といったスキル本や自己啓発本は多いが、キャリアの方向性を考え、行動していくための示唆を説いた本は少ない。
本書では経営を考えるときのフレームワーク(3C分析、針鼠など)を使いながら、キャリア戦略の考え方を解説。
自らの立ち位置を確認し、タイミングを逃さず、ポジションやキャリアを自ら戦略的に手に入れるために、ワークシートを交えながら各ステップとその方法論を解き明かす。
10年後に後悔しないために絶対読んでおくべき1冊である。

【主な内容】
序章 10年後、あるいは40歳になった時に「しまった」と思わないために
【分析編】キャリアとは何か? 自分にとっての仕事の位置づけは?
第一章 自分自身の人生について「真剣に」考えていますか
第二章 今の自分にどのくらい満足していますか
【戦略立案編】自己実現のためのキャリア戦略を立てる
第三章 未来の自分をイメージし、そこから逆算する
第四章 決め打ちせず、様々な可能性と実現方法を考える
第五章 やるべきことに向けて動き出そう
【事例編】四人のキャリア事例に学ぶ

※Amazon本の紹介より引用
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■「現実を見る」ことからキャリアは始まる

本書で私が「本当にそうだよな⋯」と共感をした内容に、以下のような話があります。

・自分の武器になるような能力開発は一朝一夕でできるものではなく、それなりの時間を要する。
(積み上げてこなかった人は、キャリアの可能性もそれなりになる)

・ビジネススクールでMBAを取得したとて、それを元手に自分が経営に関わったり、チャレンジをしなければ「知識と経験の大いなる溝」は埋まらず、それが本当の意味で自分の力になることはない。

・これからの環境の変化を考えなければならない。突然、自分の市場価値が激減する可能性も考えて、今何をすべきか考えるべし。(ある製造業のスペシャリストは朝から夜まで、目の前の仕事に向き合っていた。「ある商品のことなら何でも知っている」という職人的な仕事で頼られていたが、事業部ごと他社に売却され、その商品に詳しいことに価値がなくなってしまったなど)

・「自由人」的な働き方を求めて、沖縄に移住。給与は平均に比べて低いが、本人としてはとても満足している。(キャリアの成功は、何が成功かは本人しかわからない。なので、どれがよい、とは一概に言えない)

言われてみたらその通り、という当たり前の話です。ですが、日々の喧騒の中にいると、こうした当たり前のことを蔑ろにしてしまうこともあるもの。

自分だけは大丈夫、なんとかなりそうというのを「正常性バイアス」とか「楽観バイアス」等といいますが、こうした作用が働いてしまうのもあるのかもしれません。(自戒を込めて)

■10年後を考えて、自分の強みを育てる

「10年後の自分がどうなるか、そのために今何をしているか」。

もちろん人生は何があるかわからないけれど、ほとんどの人にやってくるであろう「10年後の自分」のために、何を準備し、努力を重ねるのか、本書はそれをまっすぐに問うてきます。

キャリアはその人の歩んだ轍なので「~しなければならないということは一切ない」もの。
ゆえに、仕事でなく、趣味や家庭、あるいは自分の成長や地域活動などに全振りするのも全く構わないものです。

しかし「自分の大切なことを大切にする」ためには、「自分をよく知る」ことは避けて通れません。
それは「自分の興味・能力・価値観」などを知る必要もあります。

そこには、市場の中にいる自分の価値を知ることも必要になります。
自分がどの市場で戦いたいのか、そしてそこの市場における「3C分析(自分・競合となる他者・クライアント)」のようなフレームで分析したとき、他者と比較して自分が優れているところ=(自分の強み)」はどこか?なども見定めることも必要になります。

ここでいう「強み」とは、「自分らしい性格や行動特性」などではなく、「何ができるかというスキル(コンセプチュアルスキル・ヒューマンスキル・テクニカルスキル)や社会的なつながり(人脈)」などになります。

そして、こうした「自分の強み」を育てるためには、当然一朝一夕では育たず、様々な経験を取りに行こうとすることが必要です。
新しい機会に手を挙げる、そのためにアピールできる実績を残す、などが必要になります。

ゆえに、長い目で「(他者と比較してアピールできる)自分の強みを育てていく」ことが、自分の収入や成長の機会を得るようなキャリアを歩もうとする上では、必要になるとも言えます。

■「5年単位」で仕込みをしていく

余談ですが、私もまさにそうだな、と思います。

転職の際は、「トップセールスになってからやめよう」(実績を作る)と思いましたし、起業の際は「メルマガを続けて、人のつながり(人脈)ができてから起業しよう」など考えていました。
それは少なくとも「5年単位」の仕込みが必要でした。

起業後、いくつか研修プログラムをつくって、コーチングの専門的な資格を複数種類(国際コーチング連盟、ストレングスコーチ、システムコーチ)を取得し、スキルを一定程度に高めるのも「5年単位」でした。

大学院に入り学びを深めて、強みの書籍化へ向けて漕ぎ出すプロジェクトも5年でした。

そして更にこれから10年後の自分に向けて「新たに5年の仕込み」が必要になることをわかっています。

そして、そうした意味で、常に焦りを感じています。

■クライシスだらけだから、真剣に考えよう

余談ですが、キャリアにおいて、いくつもの「クライシス」があると言います。

20代後半~30代であれば、「クォーター・ライフ・クライシス」などと呼ばれます。
これは、理想と現実のギャップ、キャリア・恋愛・結婚・お金・アイデンティティなどへの不安や迷い「このままこの仕事でいいのか」「周りと比べて遅れているのでは」「自分は何者で、何をしたいのか」といった問いが高まりやすくなる、と言われます。20代も30代も迷います。

そして、40~50代になると、次は「ハーフライフ・クライシス」などといいます。
加齢や健康の変化、親の老い、子どもの独立、キャリアの頭打ち感満足感の低下、虚無感、焦燥感と同時に、「何かをやり直したい」「大きく変えたい」という衝動が出やすい時期だそう。40代も50代も迷います。

こう見ると、我々は、節目節目で迷い続ける定めにあるのかもしれません。
実際に不確定なキャリアであり、人生であり、これは宿命なのかもしれません。しかし、そうだからこそ、わからないなりにイメージをして、できる準備を重ねることが大事だと思うのでした。

本書では「社内でキャリアを重ねる場合」「社外で転職する場合」「起業する場合」の3パターンで、現状分析、理想の状態の言語化、日頃からチャンスを掴むために日常からしておくべきこと、起業すべきときとそうではないとき、などを示してくれます。

「転職は、現職を辞めてから探すのは、絶対に避けるべき」「起業も見通しが立っていないとき、組織で働くのが嫌だから、みたいな安易な理由で行うとほぼほぼ失敗する」。
そうした様々なケースを見てきた苦言(?)も盛り込まれており、これからのキャリアを考えている人の力になる本だと思いました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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