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4416号 2026年3月29日

今週の一冊『高校生からのリーダーシップ入門 』

(本日のお話 3285字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

毎週日曜日は、最近読んだ本からご紹介する「今週の一冊」のコーナー。

さて、私事ですが、立教大学で兼任講師として、リーダーシップの授業を担当させていただき3年目となります。そして、それに加えて、4月からは高校生を対象としたリーダーシップの授業を行わせていただくことになりました。4月から1月まで全20回。

特別、教育の方向に行きたいという意図があるわけではないのですが、ご縁と好奇心で、そんな風になっているこの頃です。
その中で、立教大学のリーダーシップの立ち上げにも関わられた日向野先生による『高校生からのリーダーシップ入門』が、本日ご紹介する一冊です。

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『高校生からのリーダーシップ入門』
日向野 幹也 (著)
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一部の人望のある人、実力のある人、立場のある人など、選ばれた特別の人のためのものではなく、「リーダーシップは誰もが身につけられるもの」と定義し、それらを高校生・大学生から、どのように身に付けていくのか。

リーダーシップに対する考え方を見直し、それらを育むための方法がわかりやすく書かれている一冊で、これから授業を作っていく上でも、とても参考になる本でした。

ということで、早速中身を見てまいりましょう!

■リーダーシップが求められる背景とは

本書では、リーダーシップについて「グループに参加している人全員が、必要な場面においていつでも発揮できるものとします。これを「権限によらないリーダーシップ」といいます。

実際、私達が何かに取り組むとき、多くの場合、「チームで取り組む」ということが避けては通れません。多様性のある人たちが、集団で取り組むことで高い課題を解決していくことが求められています。

かといって、変化が激しい中で、権限がある特定の人だけにリーダーシップを委ねて、そして後はフォロワーとして指示を待つ、というのでは、チームが持つポテンシャルを発揮できません。

その中で、グループ内のメンバーが、目標に対して、代わる代わるリーダーシップを発揮していくような態度やスキルが、ますます求められてきている。そんなための、リーダーシップ教育が求められる背景について語られています。

そして、本書では第1章で「権限によらないリーダーシップ」について、第2章で「リーダーシップの基本三行動」、第3章で「リーダーシップの態度とスキルの身に付け方」、第4章で「権限によらないリーダーシップを実践するための様々な課題」についてまとめています。

■リーダーシップの定義とは

第1章では、これまでイメージされてきたリーダーシップを「権限によるリーダーシップ」、それに対して世界標準になりつつある新しいタイプのリーダーシップを「権限によらないリーダーシップ」と述べます。

そして、リーダーシップには様々な定義があるものの、その最大公約数的な表現として、以下のように述べます。

リーダーシップとは、何らかの成果を出すために、他者に影響を与えること

「何らかの成果」というのは、所属している集団の目標(チームの目標など)と考えるとわかりやすいかと思います。成果を出すために、他者に影響を与える方法が、色々あるということ。

■「権限によるリーダーシップ」の限界

ここで、リーダーシップの歴史の話をすると、シンプルに考えたとき、自分が何かの成果を出したいとき、しかし一人では出来そうにないときに、「周りを動かす」という事が必要になります。しかし、「人は簡単には動いてくれない」というのも事実です。

そこで利用されるのが「権限」です。自分は王様・殿様である、あるいは社長や部長である。あるいは、先生であるなどもそうかもしれません。そうした「肩書」は、その人の権限を裏付けます。「この人に従うべき理由がある」と感じさせる者の一つです。

他にも、例えば、「運動部において、実力が優れている」という事実は「権限」になり得ます。クラスでは「人気がある」も「権限」になりうるかもしれません。

そして、その人が「指示・命令」を出すことで、人は動いていたというのがこれまでの一般的なリーダーシップのあり方でした。ただ、「権限による命令の出し方」では、短期的には人は動いても、長期的には裏切りにあったり、人がついてこなくなる、ということも副作用も起こり得ます。

また、何よりも大きいのが、近年になって変化のスピードが速くなると、「指示・命令が出されるのを待っているのでは、対応ができなくなる」自体がどこそこで起こってきた、ということです。

そうした歴史の中で生まれてきたものが「権限によらないリーダーシップ」なのでした。

■「権限によらないリーダーシップ」と基本三要素

権限によらないリーダーシップでは、参加する全員が「他者に影響を与える」とします。あるときはAさん、あるときはBさんと、チームを引っ張っていく人が変わっていくイメージです。

本書では、この例として「目の前で突然人が倒れたときの対応」を出しています。自然と、救急車を呼ぶ人、その人をケアする人、交通整理をする人と、「倒れた人を救いつつ、混乱を収める」という成果目標に対して、その場に居合わせた参加者が自律的、主体的に関わって、役割を担っていく。

これがまさに「権限によらないリーダーシップ」のイメージです。

そうしてチームの成員が、補完的に動いていく。そして、その中で「権限を持つ人」は、「支援をすること」や「責任を負うこと」という役割を担っていくのです(これをサーバント・リーダーシップということもあります)

▽▽▽

では、こうした「権限によらないリーダーシップ」は、どのように身につければよいのか? そのための教育が、本書の中心テーマである「リーダーシップ教育」となります。そこで身につけるリーダーシップの態度とスキルの基本要素が以下であると述べられています。

<リーダーシップの三要素>
⑴ 目標設定・共有(グループの目標が存在しており共有されていること)
⑵ 率先垂範(成果目標の実現に向けて、まず行動すること)
⑶ 同僚支援(他の人が動ける状況をつくること)
P36

この3つの要素が揃っていることが、グループにおける「権限によらないリーダーシップ」を機能するための条件となります。グループではこの3つが揃っている必要があります。しかし、「メンバー全員がこの三要素を常に実践する必要はなく、全体として常にこの三要素が機能している」というのが理想です。

ゆえに、リーダーシップの態度とスキルを身につけるために、以下のようなポイントを考える事が大事です。

・チームでの目標が合意されているか、共有されているかを確認する(目標設定・共有)
・メンバーの得意・不得意を理解し、得意なことを発揮できるように支援する(同僚支援)
・チームに、リーダーシップの三要素がバランスよく機能しているかを観察し、「今、この要素が足りていない」と気付いたら、自分が進んでその要素を実践するか、もしくはまわりの人が実践しやすくなるように働きかける。(率先垂範)

■リーダーシップの練習の方法

では、リーダーシップの練習を具体的にどう進めていくかですが、以下のような枠組みとして進めていきます。

⑴ 目標を立てる
・そのグループが達成したい目標(成果目標)、あるいは解決したい問題を設定し、共有する
・その実現に向けて、何をすればいいのかを出し合い(「行動計画」)、「役割分担」を決める
⑵「行動」してみる
⑶ 行動したことに対して「フィードバック」を交換する
⑷ フィードバックに基づいて内省し、「改善計画」を立てる
⑸ 振り返り(1~4を繰り返す)

また、目指す成果目標が「クラスの親睦を深める」などだと失敗しやすいとも述べられていました。理由は、親睦を深めたい人もいれば、そうでもない人もいたり、一つの目標に皆が集中しづらいためです。

「部活で県大会で優勝する」「文化祭でクラス優秀賞を狙う」など、全員がコミットできる目標を掲げて動かなければ、グループのプロセス自体が「なんとなく」になってしまいます。よって、このリーダーシップの練習には、本気になれるテーマ設定と場作りが重要ということになります。

■まとめと感想

改めて、立教大学でやっているPBL型(プロジェクトベースドラーニング)リーダーシップの授業の構造がわかりやすく整理をされており、理解が深まったように感じます。同時に、こうした授業を取り入れたいと考えている学校の先生などにも、一つの指南書として大変有用な一冊だと感じた次第です。

自分の影響力を自覚し、そして、様々な立場や考え方の人と、共に歩む方法を練習する。そうした経験を積む中で、周りを引っ張る以外のもっと身近で、自分らしいリーダーシップの発揮の仕方も学ぶことができるのだと、改めて感じた次第です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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