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1806号 2019年1月27日

今週の一冊『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』

(本日のお話 2760字/読了時間3分)


■こんにちは。紀藤です。

昨日土曜日は企業の次世代マネジメントの方を対象にした
『リベラルアーツ研修』の実施でした。

友人でもあり、尊敬する経営者仲間の1人であるPROJECT INITIATIVE 代表の藤田勝利さんと共に、
コラボレーション研修企画として実施させていただきました。

参加者の皆様「ものの見方の拡がり」や「知らないことがどれだけたくさんあるのか」について、
多くの気づきを得ていただけたようで、何よりの1日でした。

*

改めて思いますが、これからの時代は、「問いを立てる力」が重要です。

役割や問いを与えられ、それを解決するのが仕事ではなく、
「何が必要なのか?、何が求められているのか?」を、ゼロベースで考えていくこと。

それこそが人間が行うべき仕事になると感じますし、
それができる人こそが、「市場価値を持つ人財」となると思います。

ベストセラーになった『ライフ・シフト 100年時代の人生戦略』でも書かれていますが
これからの社会は、1つの企業で勤め上げるだけではなく、
いくつもの仕事を人生の中で行う”ポートフォリオワーカー”がスタンダードになる可能性が大いにあります。

ゆえに、組織に所属していても、”個としての軸”を失わないこと。
「会社の資源」を良い意味で使い、”経験という名の無形資産”と作ること。

このことが、自分にも、組織にもWINとなるスタンスだと思いますし、
イノベーションと掲げる組織においては、大変重要なことではなかろうか、
そう感じた1日でした。

*

さて、本日のお話です。

毎週日曜日は、お勧めの一冊をご紹介する「今週の一冊」のコーナー。

今週の一冊は、

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『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』

(著:ふろむだ)



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です。


■著者「ふろむだ」氏。

ペンネームで謎の人物ですが、
この本は、何百万PVを誇るブログの著者によって書かれた、
「不都合な社会の真実」が書かれた本です。

ふろむだ氏は、企業にて、平社員から課長、部長、副社長、社長と経験し、
その後、何社もの創業を経験し、1社は上場に導いた、とするビジネスパーソンだそう。

ただ、今ある人間関係のしがらみから、本名で書くと、
”本音で書くことができなくなる”ということを恐れ、
この「ふろむだ」という名前で出版をすることにした、とのことです。


■では、この本、何が書かれているのか。

私なりの読んだ解釈で言えば、

『錯覚だらけの社会をサバイバルするための、”心理学”の講座』

という印象。

しかし、ものすごく本質をえぐる真実である。
そう、確信させられる本なのです。

*

「人」というのは、非常に騙されやすい生き物です。

自分は騙されないと思っていても、無意識に騙されてしまう。
思い込みで意思決定をしたり、直感で非合理的な決断をしてしまう。

そして、そのことに気づいていないまま、
世の中のメディア、組織、社会に、コントロールされてしまう。
それが、社会で生きる人間の過半数です。


■世の中には、

・綺麗事で大人。でも、”建前”である非実用的な(影響力がない)アプローチ

・汚くて、ずるく見える。でも、”本音”で実用的な(影響力がある)アプローチ

の2つが存在します。

そして、”綺麗事で大人”なアプローチが表向きには推奨されている
それが真実だと思えるし、それを言うと、誰も逆らえない。

けれども、実は本当の「真実」はそこにはない、
ということがままあるわけです。

*

例えば、「成功者の論理」もそう。

・”たまたま”いいアイデアがヒットした。
・”たまたま”それが爆発的に売れた。
・”たまたま”よい人財が仲間に入り、助けられた。
・”たまたま”タイミングを掴むことができた。

実は「運」の要素がほとんどで、
「成功」していたことが事実だとする。


しかし「ヒットした」ことに対して、
人は無意識に”原因”を求めたがるものです。

・彼は、普段から努力をしていたからヒットしたのだ
・彼は、高学歴で才能があったからヒットしたのだ
・彼は、公平で、冷静な判断をできる、信用ある人物だったヒットしたのだ

というように。


■そして、「ズルい&したたかな人」、
しかし、結果を出そうと希求する人は、
その”人間心理”を、大いに活用して、逆バージョンを行う。

例えば、

・大いに「学歴」アピールをする
・サラリと「過去の実績」を打ち出す
・上司へ上手に「自分が成し遂げた成果」を伝える
・どれほどのことをしたのか「数字」で語る

そして、「信用できる人物である」ことを証明し、”チャンス”を獲得していく。

、、、

こうしたアピール行為は、「あからさま」に見えるかもしれません。

でも人は、そんな「あからさま」なアピールでも、
人は無意識に影響されてしまう。
そして気づいていない人も多い。

実際に、

・「容姿が良い」だけで、その人のことを高く評価してしまう傾向がある

・「元Googleで働いていた」というだけで、他の分野においても優秀な人、と思う

・「元◯◯会社の取締役です」というだけで、信頼がある人と思われる

という「心理的な影響」を受けてしまうことは証明されています。


■そして、一番のポイントは


【人は、「実力」だけではなく、「錯覚」によって判断してしまう】

ということ、そして、

【「錯覚」によって、得られるチャンスや環境が決まってくる】


ということなのです。


人は、「実力」で判断されるわけではないのです。

周りに人が引き上げてくれたり、あるいは、より大きなプロジェクトを任せられるかどうかは、
「錯覚」によってもたらされる。

人は「周りの大いなる勘違い(錯覚)」によって、大きなフィールドが与えられ、
そして実際に実力が伸びていくのです。

それが”厳しくもリアルな現実”であることを、
多くの具体的事実と理論により、暴いていきます。



■しかし、言い換えれば、その「錯覚」を引き起こさせる力というのは、
自分のキャリアにおけるチャンスを広げ、そして利益を生み出すのです。

そして、それは数十万円とかのレベルではなく、
何千、何億という規模での違いを、1つの人生にもたらします。

たとえ「錯覚」を用いた”金メッキ”のようなものであっても、関係ない。
実力がなかろうが、実力があるように見せて、機会を得る。
そして、のし上がっていくことに繋がる。

それはいわば、

【錯覚資産】

といっても過言ではない、、、
そのように著書では語るのでした。


■美しいこと、清く、正しく。

これは、大切なことです。

しかし、同時に、いくら清く正しいことを考えていても、
”社会を支配する「錯覚」というメカニズム”を知らなければ、
その思いを形にすることもできなければ、影響力を高めることもできない。

いい思いを持っていても、チャンスを得なければ、
日の目を見ることはできない。

偶然でキャリアができるのであれば、
その偶然を少しでも味方にできる工夫は、必要なことかもしれない。。。

そのことを具体的かつ、わかりやすいイラストも含めて考えさせてくれる一冊です。

カバーイラストはかなりフランクですが、中身は相当、濃いです。


しっかり読んで、この考えを理解すれば


『錯覚だらけの社会をサバイバルするための武器』
(=身を守る、身を立てるための武器)


になり得るだろう、そのように感じる一冊です。


私自身、考えさせられると共に、
この「錯覚資産」を上手に活用しつつ、自分の可能性を最大化させるチャンスを獲得し、
もっともっと大きくしていきたい、そんな事を考えた次第です。


この本だけで、5号分くらい書けそうなくらい深く、実用的な本です。
”俯瞰した視点”を持ちたい方は、ぜひご一読を。


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<今週の一冊>

『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』

(著:ふろむだ)



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