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2102号 2019年11月22日

人生の一大テーマ、それは「事後性の克服」である

(本日のお話 2898字/読了時間4分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は、1件のアポイント。
並びに、夕方から1件のミーティングでした。

その他、期末の請求書の処理など事務作業など。
(うーん、実に苦手です、、、汗)



さて、本日の話です。

先日「レジデンス(再起力)」なるテーマで、
講演を聞きに行きました。

その際の話が、本編もそれ以外のQ&Aも、
とても学びになる話が盛りだくさんでした。

昨日に引き続き、本日も先日の講演から学んだことを、
皆様にご共有させていただきたいと思います。


タイトルは、


【人生の一大テーマ、それは「事後性の克服」である】


それでは、どうぞ。



■「競争戦略」の分野で有名な、
一橋大学教授の、楠木建先生という方がいらっしゃいます。

『ストーリーとしての競争戦略』という、
ビジネス書では異例の20万部のベストセラーを書かれた方。


大学の教授で、元プロ歌手。

本を大量に読んでいる読者家とも知られ、
そして言葉の使い方が秀逸かつ、
ユーモア溢れる方です。

先日のレジデンスの講演でも、
パネルディスカッションで司会を務められており、
会場を学びと笑いに包んでおりました。


■その楠木先生が、講演のQ&Aに置いて、
ある質問を受けたのですが、

そその質問に対する答えが非常に興味深く、
なるほどな、と学びになるものでした。

(※以下より、記憶を頼りに書いております。
 ご了承の上、読み進めてくださいませ)


その質問とは、24歳の若い男性から投げかけられた、
以下のようなものでした。


「自分は、まだまだ仕事をスタートしたばかりで、
 何を軸にやっていけばいいかもわからない。

 どんなふうに物事を選択して、
 生きていけばよいのでしょうか?」


という質問。

■深く、答えるのが極めて難しそうな質問です。

それに対して、楠木先生が答えた回答は、
以下のような話でした。


「私は、人生の一番のテーマと言うのは
 『事後性の克服』、だと考えています」


「事後性とは、読んで字のごとく、

 【大切な事は振り返ったときに「後からわかる」ものである】

 という話です。

 今すぐに克服できないから、「事後性」と呼ぶ。

 しかしながら、おっしゃるとおり、何が大切なのか、
 ある程度わかって歩んでいきたいというのもわかります。

 でも、言ってしまえば
 「経験して、振り返ってみないと何が大切だったかはわからない」
 のですよね」


「じゃあ、どうすればよいか?

 そのために明確な答えは、
 結局「事後性」だから、残念ながらないのだけれども、
 一つ、役に立つとするならば、

 『本を読むこと』

 は「事後性の克服」に有用だと考えています。」


「なぜならば、その著者が、
 自分の人生を振り返り、経験を振り返り、
 一通りやったことを振り返って書いたことだから、
 そこには「誰かの事後性の学び」が書かれていることになる。

 ゆえに、自分に、自分が直接経験することができずとも、
 『本を読む』ことを通じて、「事後性の学び」を、
 疑似的に経験することができるでしょう」


、、、確かに、と思えます。


「ちなみに、どんな本を呼んだ方が良いかと言うとですね、
 最近出した私が書評についてあれこれ書いている
 『室内生活』と言う本がありますので…笑」

※『室内生活──スローで過剰な読書論』(著:楠木建)
  https://www.amazon.co.jp/dp/4794971575/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_oyY1DbMRPSTEA


と、ユーモアを持って話を締められていました。

(上記の本、ちょっと読み進めてみましたが、
 大変おもしろい雰囲気を感じる本でした)


■「事後性の克服」。

つまり、

「自分が経験してみないとわからない」
「大切な事は事後的にわかる」

ということを、理解し、
消化していくこと。

この話、よくわかるなぁと思ったのは、
私だけではないのではないでしょうか。



ちなみにこの話は、
ワークショップやセミナーなど、
「学び」の特に良い例として当てはまります。

ワークショップやセミナー塾と言うのは、
基本的に結構お高いものも多いです。

普通に、数十万、場合によっては、
三桁万円を超えるものしばしばあります。

高ければいい、というわけでもないですが、
受けてみないとわからないことも多々あるのが、この世界。


■高いセミナーを見つける。
でも面白そう。失敗したくないので、一生懸命調べてみるのです。

・その内容がいかなるものか?

・評判はどうなのか?

・どんな講師が話をするのか?

・今の自分が求めている答えやヒントが、そこにあるのだろうか?

・何かの焼き増しなのだろうか?

・本当にここでなければ学べないものなのだろうか?

、、、と。

いろいろ調べ、考えてみるものの、
自分の価値観の根源から揺さぶるような、
大きな体験になるかどうかは、結局
「受けてみないとわからんな、、、」となるです。


実際私自身、

”あんまり期待していなかったけれども、
 行ってみたらものすごく大きな衝撃を受け、
 人生の転機になった”

ということもあれば

”高かったけど、ただの時間の無駄だった”

ということもあります。


ただ言えるのは、

【大切な事は経験してみて、
 振り返ったときに「後からわかる」ものである】

ということだけ。

「やってみないとわからない」。

これが学びのゲームの、ルールなのです。



■、、、しかしながら、です。
世の中にはこういった考えを持つ方もいます。

どんな考えかと言うと、


「役に立つかどうか確信がないから、学ばない」


という考えです。


・このセミナーが、本当に役に立つかどうかわからないから、”いかない”。

・この本読んでも、投資した時間分、
 得るものがあるかどうかわからないから、”読まない”。

・気になる人とご飯を食べにいってみようかと迷うけど、
 本当にいい時間になるか自信がないから、”いかない”。

・面白そうな場所や地域があっても、
 お金をかけていく価値があるかわからないから、”いかない”。


…というように。

「価値があるか、”確信がないから”やらない」という意見です。


■ですが「学びの事後性」という観点から見れば、

「やってみないとわからない」わけですから、
この意見は延々と平行線をたどることになります。

確信がないからいかない。
でもその確信はやってみないと生まれない。

そうやって、ただただ平行線をたどった結果、
「何もやらない状態」が続くだけになります。


■もちろん「何かする」決断のためには、

今やっている仕事、学業、家庭とのバランス、
限られた時間の中で、
時間とエネルギーのリソースをどのように振り分けるのか、

という悩みも同時に出てきます。

ゆえに、何でもかんでもとにかくやりまくればいい、
というわけでもなく、優先順位付けや、選択も大事です。

でも、

「やってみないとわからない」

ので、必要以上に考えすぎても、
そこから先は何も生まれないのも事実です。


■ゆえに、ある程度悩んで、
「ここに何かあるかもしれない」という予感を少しでも感じ、
それが自分の中で留まり続けるのであれば、

「とりあえず進んでみるべき」

だと私は思います。

繰り返しますが

「学びは事後的にわかる」

のですから。

「やってみないとわからない」

のですから。



■「あの経験には意味があった」と思えそうなことを、
とにかく可能な限りやって、やって、やりまくる。

経験の母数を増やすことで、
「事後的な学び」を得られる可能性を
高めていくことができるはず。

それこそが、自分の経験値を上げる、
最良の戦略ではないでしょうか。


皆様は、「大切な事は振り返ったときにわかる」ということを、
どれくらい意識して意思決定していますか?

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<本日の名言>

危険を冒して前へ進もうとしない人、
未知の世界を旅しようとしない人には、
人生は、ごくわずかな景色しか見せてくれないんだよ。

シドニー・ポワチエ(米国の俳優/1927-)
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