メールマガジン バックナンバー

今週の一冊『2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義』

今週の一冊『2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義』

2349号 2020年7月26日

(本日のお話 2385字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日はストレングスファインダーのワーク
ショップの開催でした。

改めて”人の強み”に関してスポットを当てる
時間は本当に楽しく、人には実に多種多様な
魅力・強みがあるのだなあと、主催していて
毎回感動を覚えます。
あっという間の時間でした。そしてご参加
いただいた皆様本当にありがとうございました!



さて、本日のお話です。
毎週日曜日はお勧めの一冊をご紹介する、「今週の一冊」のコーナー。

今週の一冊は、

====================

『2020年6月30日にまたここで会おう
瀧本哲史伝説の東大講義 (星海社新書)』

https://www.amazon.co.jp/dp/4065194288/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_krwhFbFGD4HE6

====================

です。

■この著書は、2019年に病のため夭逝された
瀧本哲史さんが2012年の6月30日に東京大学で
行なった特別講義を一冊の本にしたものです。

参加資格は29歳以下。

約300人の10代20代に向けて語られた
「伝説の講義」とも呼ばれる内容の講演記録
です。

この本(講演)の最後に、瀧本哲史さんが

「日本は将来がない。未来がないオワコンで
あるという風潮があるけれども、投資家と
してまだまだ可能性はあると思っている。

そして2020年には、なんとなく日本の方向性
は見えているんじゃないだろうか?

だから10代20代の皆と8年間、自分たちが
できることをやって、未来が変わったかどう
か答え合わせをしようじゃないか。」

そう語って締めくくった講義でした。

故にタイトルが、
「2030年6月30日にまたここで会おう」
となっています。

■2時間の講演を一冊の本にまとめた
約200ページほどの短い本です。

8年前、かつ10代20代向けのメッセージです
が、この本はどの年代でも、「未来を諦めた
くないすべての人」にとってとても大切な
メッセージではないか、と感じさせられまし
た。

それは2020年6月30日を過ぎた今でも、
変わらず向き合うべき大切なメッセージです。

この本の中には、

・教養の大切さ
・武器としての「言葉」の大切さ
・交渉術について
・人生に取り組むスタンス「3勝97敗」

と、時代が変わってもかわらない
「武器」としてのOSとしての考えを
凝縮されたエネルギッシュな言葉と共に語り
ます。

それは本として、活字になっていても感じる
エネルギーです。

■詳細は、ぜひ著書を読んでいただければと
思いますが、その中で私が印象的だった内容が、

『人の振りをした猿になるな』

という話でした。

「人の振りをした猿」というのは、

”自分で考えて自分で決めていくことを
放棄した人(気づいていない人も含む)”

のことを意味します。

■瀧本氏いわく、

「現実の世の中には、高学歴で
優秀な経歴の大人たちの中にも
誰かの作ったルールを疑うことなく、
判断を社会や他者に委ねて自分で考えない人が、
実に多い」

と言います。

■確かに、誰かのルールを模倣したほうが楽。
意思決定をしないほうが楽です。

また何か始めようとするときも、

”失敗したくないから、
上手く言った例をまるパクリしたい。
それを教えてください”

とか

”この3つさえやれば副業は成功!
というわかりやすい基本パッケージを
与えてくれたらやります”

みたいな気持ちがあるのも、
まあ、理解できます。

でも、そんなのは嘘。

「副業で月30万円すぐに稼げる方法のDVD」とか
「FX で年1000万円を稼げる投資の裏技」

なんて情報商材があっても、
そんなうまい話があるはずもありません。
(あったら皆成功していますし、、、)

そういうものは,

”自分で深く考えることを諦めた
情報弱者を狙ったマーケティングでしかない”

と私も思います。

(、、、とちょっと本の話から、
脱線してしまいました)

■ちなみに滝本氏は、
「人のふりをした猿」にならないために、
以下のように、

「教養の大切さ」

を語りました。

(ここから)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ブルームによれば「教養の役割」とは

”他の見方・考え方があり得ることを示すこと”

であると語りました。

これは結構、超重要な定義でして、
僕も同意見です。(中略)

一見、今すぐに役に立ちそうにないこと、
目の前のテーマとは無関係に見えることが、
実は物事を考える時の参照の枠組みとして
非常に重要なんですよ。

経済学しか学ばない人、学べないような人は
実際あまり役に立たないんです。

見方が一方的だったり狭すぎて、
学問の新しい利用にはジャンルを
開拓していくことなんてできないんですよ。

これは仕事でも同じです。

わかりやすい答えを求める人向けにインスタン
トの教えとかノウハウを提供するのって簡単だ
けど意味ないんですね。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(ここまで)

■これを聞いて、非常に納得をしました。

安易な答えや、インスタントの教えや
ノウハウは、簡単だけど意味がない。

まさしくそうだと思います。

例えば、営業ひとつとっても
「結果」を生み出すための背景には

・商品に対する知識の深さ
・商品に対する信念・愛情
・業界に対する見識の広さと深さ

・人間心理の理解
・相手から本音を引き出すための傾聴の技術
・ニーズ発掘のヒアリング技法
・交渉術
・心理学
・マーケティングの思考、

・信頼関係を築くための人格
・相手に信頼されるための幅広い教養
・短期ではなく中長期の時間軸での関係構築

などなどが、複雑に絡み合って
一つの結果に繋がっていくものです。

なのに、ごく一部の「交渉術」だけ切り取って、
それを鍛えれば全てがうまくいく、なんて
そんなことはありえるはずもない。

■これは「営業」という話にフォーカスをしま
したが、その絞った領域でさえ広く深いもの
なのだから、それが「人生」というもっと
大きな変数でできたものであれば、安易な正解
などあるはずもないのです。

つまり、一つのことを知ろうとするのであれば、
隣接する全ての事を知ろうとする気概、
それが必要であると思いますし、

それが

「教養」

ということなのでしょう。

■瀧本氏は語ります。

「正解を求めるな」
「バイブルを求めるな」
「絶対読むべきん本など存在しない」

そして、

『自分が自立して考えよ』

と。

そんな厳しくも温かいメッセージと共に、
若者が自分で考え行動することで、
日本全国に少しずつリーダーが増えていく
のではないか。

そうすると、世代交代が起こったそのタイミ
ングで大きなパラダイムシフト起こり、物事
を変えることができるのではないか、

そんな願いを込めて、
熱いメッセージを伝えたのでした。

■また瀧本氏は、

「30代半ばから40代の人にこういった話を
しても多くの人はぼわーみたいな感じだと
思う」

「正直、やっぱり40代になると、だんだん
人生見えてくるんですよ。「自分の人生は
今の延長線上にしかない」っていうことが
わかってくるんです」

と著書の最後の一部で、
”若さ”の可能性を励ます意味で
上記のようなことを語っていました。

■実際、その通りなのかもしれません。

ただ、30代半ばから40代であっても、
むしろそれよりもっと上の世代でも、
「5年間何かのスキルを磨こう」と決めたら、

世の中を変えることはできなかったとして
も、少なくとも自分の航路と、自分の周り
は少しだけでも変えられるはず、

と青臭いようですが思います。

そして、その行為は自分の可能性に対する
尊重でもあるし、とても尊い行為だと、
私は感じます。

今、2020年6月30日が過ぎて、
滝本氏が今の状況をどう捉えているのか、
残念ながら聞くことはできませんし、

日本がどうかということも、
私にはわかりませんが、

少なくとも

「何かを始めていきたい」
「今の延長線上にない未来を描いてみたい」、

そう考えるすべての人に、
ぜひ届けたいメッセージだな、
そんなことを思います。

エネルギーを与えてくれる一冊です。

====================
<今週の一冊>

『2020年6月30日にまたここで会おう
瀧本哲史伝説の東大講義 (星海社新書)』



====================

365日日刊。学びと挑戦をするみなさまに、背中を押すメルマガお届け中。

  • 人材育成に関する情報
  • 参考になる本のご紹介
  • 人事交流会などのイベント案内

メルマガを登録する

キーワードから探す
カテゴリーから探す
配信月から探す