メールマガジン バックナンバー

2572号 2021年3月6日

「学習性無力感」を克服するための2つのアプローチ その2:本人の思考編

(本日のお話 2940字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は3件のアポイント。

また、夜からは、

「Essential Management School」lなる
”本質を学ぶ”、リベラルアーツ的なセミナーに
参加してまいりました。

”日本の良い会社だけに投資する”という
「鎌倉投信」を創業した新井氏を講師に招き

『お金の本質行動学』
https://ems-sc007.mystrikingly.com/

とテーマでこれから全4回
学んでまいります。

「お金」という人によって
実に様々な意味づけがされるテーマ。

これからどのように考えが深まるのか、
実に楽しみです。

このお話にについてはまた改めて。



さて、本日のお話です。

一昨日、昨日と、

『「学習性無力感」を克服するための2つのアプローチ その1:上司の対応編』
https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/3779928/

というお話をお届けしてまいりました。

本日も続けます。

それでは早速参りましょう。

タイトルは、

【「学習性無力感」を克服するための2つのアプローチ その2:本人の思考編】

それでは、どうぞ。

■「学習性無力感」とは、

「何をやってもどうせ無駄、、、」

と思ってしまう状態であると
お伝えしてまいりました。

もう少し正式に言い換えると

「自分の力でコントロールができない
状況が続くこと」

により学習性無力感は
引き起こされることになります。

逆から見れば、、

「自分の力でコントロールできる」
と思えていれば学習性無力感は
やってこない、と言えるでしょう。

■つまり、

「本人がどう思っているか」という”思考”が
このテーマに大いに関わっていると言えます。

そんな「本人の思考」をテーマにして
「学習性無力感」を考えたとき

重要な理論的なキーワードが
まず2つあります。

少し聞き慣れない表現ですが
意外と面白いので少しお付き合いください。



まず1つ目が

『統制の所在(locus of control)』

という考え方です。

「統制の所在(locus of control)」byロッター とは、

”私たちが環境をコントロールできる存在であると
感じられているかどうかが学習意欲に影響を与えている”

という理論です。

もうちょっと詳しく言うと、

・外的な統制
→ 成功や失敗の要因が外部にある(ポーン)

・内的な統制
→成功や失敗の要因が内部にある(オリジン)

の2パターンがあり

”やる気が出るのは、
「内的な統制」ができると思えるとき”

であることがわかっています。

■例えば、企業組織でもそう。

例えば、その会社の評価制度に透明性あり
評価のプロセスが明らかになっていて、

・”何をやれば評価が高まるのか”がわかる
・”評価を高める行動を自分ができる”

と思えば

「内的な統制」が出来る状態に近づき、
やる気が高まります。

しかし、逆に、

”上司の気分次第で評価が決まる”だと
「外的な統制」の状態になり、
やる気にならない、

となります。

学習性無力感を考える上で、
”「統制の所在」が”内的な統制”である

という視点が考えられます。

■そして、本人の思考から考えたときに
「学習性無力感」を考えるための2つ目の理論。

それは上記に近い考え方で、

『帰属理論』 byワイナー

というものがあります。

これは、社会心理学の分野での研究で、

”「原因の所在」と「安定性(可変性)」の
”2つの次元”の組み合わせで学習意欲は変わる”

とする考え方です。

(「統制の所在」のより詳しいバージョン、
とも言えるかもしれません)

■上記”2つの次元”の組み合わせは
以下の4つになります。

1,内的×安定(変わりづらい)→能力

2,内的×不安定(変わりやすい)→努力

3,外的×安定(変わりづらい)→課題の難しさ
4,外的×不安定(変わりやすい)→運

そして、学習の結果をもたらす原因が、
内部になるほど学習者の意欲は高まることがわかっており、

その原因は変えられないものではなく(安定)、
容易に変えられる(不安定)と考えているほうが、

更に学習者の意欲は高まることが知られています。

つまり、

「2,内的×不安定(変わりやすい)→『努力』」

に原因があると本人が思えたときに、
人はやる気が起こるわけです。

”原因が自分の中にある”
(=努力すればなんとかなる)

と思えれば、やる気が起こり

逆に、外的なものにあると思えば、
学習性無力感に近づいてしまう、

ということですね。

■、、、と、2つの
「やる気」に関わる理論のお話を
つらつらといたしましたが、

では、どうすれば
「本人の思考」からのアプローチで

「学習性無力感」を克服することが
できるのでしょうか?



結論からすると、

「結果をコントロールできると、
本人に認知させること」

ができればOKです。

学習性無力感の克服に
近づくことができます。

これを、また専門用語になり恐縮ですが

『随伴性の認知』

(環境や学習成果に対して
コントロールが可能であると認識すること、という意味)

と言います。

「随伴性の認知」が出来ない状況が長く続くと、
やる気を失い無気力になってしまうのは、
上記の2つの理論で理解いただいたとおり。

重要なのは本人に環境や学習効果を
自分がコントロールしていると認知させることなのです。

■そしてそのためには、
昨日の「上司の関わり」もすごく大事。

そして同時に、
「自分自身でそう思えるように仕向ける」のも
重要となります。

すなわち、

「自己効力感」

を高める自分自身の工夫が必要です。

これもまた、
自己効力感を高めるには、
以下4つの情報があると
(理論的には)言われております。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<自己効力感を高める4つの情報>

1)行為的情報…実際に自分でやってみることで得られる情報
(例/実際にやってみて成功体験が得られて、「やった!自分はできる!」と思える)

2)代理的情報…他者が成功したり失敗したりするのを見ることによって得られる情報
(例/他の人がやっているのを見て「なるほど、ああやればよいのか!」と思う。
あるいは「失敗したのは自分だけではない」と励まされる、など)

3)言語的説得の情報…言葉による説得によって得られる情報
(例/友人から「大丈夫!それくらい余裕だよ!」と励まされてできると思う)

4)生理的喚起の情報…声が震える、赤面するといった生理的反応に関わる情報
(例/赤面することを克服できた、声が震えることを克服できた!)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

、、、とのこと。

この4つ情報は、
確かにそのとおりなのですが、

「だからなんやねん」
「じゃあ、具体的に何をやったらいいのさ」

と言われそうな気もしなくもないので、
具体的な話もいくつか。

■詳細については、これまでの
メルマガにおいてお勧めのアクションを

記載してまいりましたので、
以下3つほど、バックナンバーより
ご紹介させていただければと思います。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<自己効力感を高めるお勧めの3つのアクション>

{1}1日10分の「うまくいったことエクササイズ」で、毎日元気になる方法(前編)
https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/9705/(おすすめ度★★★)

{2}「自己効力感」を手に入れる手っ取り早い方法とは、”運動をすること”である
https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/8599/(おすすめ度★★)

{3}自己効力感を感じたいのであれば、土日の朝8時に予定を入れること
https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/5092/(おすすめ度★)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

ということで、よろしければ
参考にしていただければと思います。

特に{1}{2}については、
実証研究もある話ですし
私も自分でやっていて効果を実感しています。

実におすすめ。

■まとめますと、

「結果をコントロールできると、
本人に認知させること」

のために、自分自身が

日々の小さい進歩に
自覚的になる事が重要です。

だって、

「自分はできないできない」
「あれもできなかった、これもできなかった」

なんて言っていると、
どんどん気持ちが無力感に苛まれて
しまいますからね。。。

■ということで、

一昨日昨日と合わせてまとめると
「学習性無力感」を克服するためには、

1)「他者からの承認(否定しない、褒める、認める)」

2)「本人の思考(自己効力感を高める工夫)」

の2つの側面からのアプローチが
重要である、ということで

に締めくくらせていただければと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

「そんなに難しいことはできない」と言う前に、
まずやってみることです。結論はそれからでも遅くありません。

ラルフ・ワルド・エマーソン(米国の思想家/1803-1882)

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