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2633号 2021年5月6日

キャリア・アンカーから「自分のゆずれない軸」を考えてみる

(本日のお話 2917字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は1件の打ち合わせ。
また読書や15キロの室内ロードバイク。

余談ですが、

『Zwift』というアプリを
屋内ロードバイクに接続すると
室内で世界中の自転車乗りと競ったりできます。

結構、オススメ。
運動好きの方は、ぜひ。



さて、本日のお話です。

最近、友人の研修講師と
「キャリア研修」を作っています。

キャリアを考える上で、
有名な概念として、

『キャリア・アンカー』

なるものがあるのですが

その内容を昨日、
妻にも実験体(?)になってもらって
やってみました。

そして、その中で
色々と気づきがあったのでした。

今日はそのお話について、
学びと気づきを皆さまにご共有させて
頂ければと思います。

タイトルは

【キャリア・アンカーから「自分のゆずれない軸」を考えてみる】

それでは、どうぞ。

■「キャリア・アンカー」。

これ、一体何でしょうか?

簡単に概要を説明すると、
以下のようなお話です。

・「キャリア・アンカー」とは
”キャリアを考える上での、譲れない軸や価値観”のこと。

・船の錨(いかり=アンカー)に例えて、
キャリア・アンカーと名付けられた。

・マサチューセッツ工科大学の教授で
組織心理学者であるエドガー・H・シャイン博士が開発。

・数十年の幅広い研究の結果、
ほとんどの人は「8種類のカテゴリ」のいずれかに
当てはまることがわかった。

・40問の設問に答えることで、
自分の「キャリア・アンカー(譲れない軸)」の
ヒントが見つかる

というものです。

実際は、

セルフアセスメント
インタビューを併用して行います。

アセスメントだけでなく、

過去を振り返ることを通じて、
”自分の来し方”を探求することで

最終的に自分のアンカー(軸)を
決めていく、というプロセスです。

■ちなみに、キャリア・アンカーは
以下の8種類のカテゴリに分かれます。

皆さまは、どのタイプでしょうか?

↓↓
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【キャリア・アンカーの8種類のカテゴリ】

<1,専門能力・職人>

・「専門家」としての能力を発揮したい。
・現場で自分の分野のレベルを向上させ続けたい

<2,管理職>

・組織で高い地位につき、組織を動かしたい
・専門的な能力は、経営に至るための学習経験と捉える

<3、自律と独立>

・自分のペースやスタイルを守って仕事をしたい
・自営業、フリーのコンサルタント、大学教授など

<4,保障・安定>

・大きな変化を嫌う。将来が見通せる安定性が大事。
・安定していて、終身雇用が期待できる大企業・公務員など

<5,起業家的創造性>

・自分の能力・創造性で、新しいものを創り出したい
・事業を起こしていきたい

<6,奉仕・社会貢献>

・「世の中のためになること」を最も大切にする
・医療・看護・社会福祉・環境問題などで世界をより良くしたい

<7,挑戦>

・挑戦が人生のテーマ。自分を磨きたい。退屈はイヤ。
・「あえての困難」「解決は不可能そう」に挑戦したい

<8,生活様式>

・仕事とプライベートのベストバランスを大事にしたい。
・仕事以外の自分の生活を大切にするので、育休・有給は大事。

※参考:『キャリア・アンカー 自分のほんとうの価値を発見しよう』
(エドガーHシャイン/著、金井壽宏/訳)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■私も妻と共に、

40問の設問を10分くらいで
一緒に答えてやってみました。

結果として、

私(紀藤)は

<3、自律と独立>が1番高く

<7,挑戦>がその次、

妻は

<8,生活様式>が1番高く、

<7,専門能力・職人>がその次、

でした。

そして

「お互い結果違うね」とか
「アナタの結果そのまんまだね」

と話しつつ、

この内容を改めて
振り返ってみたのでした。

(ちなみに、最近の傾向だと
「8,生活様式」が受験者の半数くらいになるそう。
ワークライフバランスが大事にされてきた傾向でしょうか)

■「キャリア・アンカー」の中では、

”最終的にアンカーを1つに絞る”

ところが特徴的です。

もちろん、どれも大事で
一つだけが抜きん出ているわけではない。

それでも、絞るのです。



例えば、妻の場合、

<8,生活様式>= 5.1点

<7,専門能力・職人>=5.0点

と、0.1しか差がありませんでした。

しかし、ここで深ぼって

「何が”譲れない軸”なのか?」

を探索するのです。

■昨日も私が手順に従って、
妻にこう聞いてみるわけです。

「仮に、

”自分がめちゃくちゃワクワクする
デザインの仕事があったとして(妻はデザイナー)”

それで自分の能力も高められるとしよう。

しかしそれを選ぶと、
息子(=生後3ヶ月。可愛い盛り)
との時間が減るしたら、

果たして、どっちを優先するだろうか?」

、、、と。

妻いわく

「うわー、それ悩む…」

とのこと。

ただ、大事な価値観を、
僅差でなんとも甲乙つけがたい価値観を、

天秤に欠けてみて
シミュレーションをしてみるのです。

そうすると、当然
ものすごーく悩みに悩みます。

■しかし、大切なのは、

「自分の譲れない軸」が何かを、
突き詰めて探求することです。

例えば、

”自分が過去どんな選択をして、
その時に、どちらの方が楽しかったか?”

とか

”過去の選択を振り返って
納得感が高かったときはどちらだったのか?”

とか

”自分の長期的な目的を
どんな風に考えているのか?”

などなど。

そうすると、

自分なりの選択基準の手がかりが
少しずつでも明確になってきます。

■結局のところ、
全ては自分の人生です。

自分のキャリアの選択の結果は
自分で引き受けるしかありません。

特に今のようなVUCAなどと言われる時代ですと、
更に選択肢は広がっていきます。

その中で、誰がなんと言おうが

「自分が納得できて幸福である選択」

を自信を持って決められること、
その軸を持とうと探求することは

続いていくであろう仕事人生の中で
極めて重要な問いであると思うのです。

■私自身、憧れること、

実現したいことがあって、
その両立に悩むことがあります。

例えば、

「会社大きくしたい」

「マネジメント能力ももっと磨きたい」

「社会貢献もしたいな」

と思うことはもちろんありますが、

『何が”ほんとうに譲れない”か?』

と考えたときには、

「自分が自由に仕事のペースを守れる」
(3,自律と独立)

たしかに重要だと
テストを通じて改めて思いますし、

それを実現し続けるためにも
自分の専門能力を高めよう、

とも思ったのでした。

■キャリア・アンカーは、
8種類のどれが優れているわけでもありません。

研究結果に基づいている
信頼性がある内容ではある一方、

時代は変わっているので、
2021年の今、そのまま全部当てはまるとも限りません。

しかし、

「自分のほんとうの価値を知る」

ための良いツールであることは確か。

■ということで、

もしご興味があればぜひ
『キャリア・アンカー』、
ぜひやってみると面白いかと。

プロセスとしては、

1,10分程度のアセスメント

2,インタビューしてくれるパートナー
(同僚/友人/家族)

がいればできます。

インタビューの時間は
真剣にやると3時間位かかりますが、

それでも自分自身を振り返り
お互いを理解し合う
とてもよい機会になるかと思います。

参考書籍はこちら
↓↓

『キャリア・アンカー―自分のほんとうの価値を発見しよう』
エドガー・H. シャイン


よろしければ、ぜひ。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>
ただ自分自身であることに満足し、
比較したり競争することがないのであれば、
すべての人が君を尊敬するだろう。

老子(古代中国の思想家/紀元前6世紀頃)
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