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3289号 2023年2月24日

効果抜群?!「内観療法」という自己を発見する方法

(本日のお話 2452字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日の祝日は、
キャリアコンサルタントの試験勉強でした。

あと10日ということで
過去問題を問いてみましたが
自分の得意分野と苦手分野が
なんとなくわかった気がします。
(今更ですが・・・汗)

あるデータによると、
過去問を2~3年分解くと
「合格率が83%」となるとのこと。

あまり時間もないので
まずは3年分の過去問題は取り組もう、
と思った祝日でした。



さて、本日のお話です。

そんなキャリアカウンセリングの
お勉強の中で

「カウンセリングの理論」

について、
面白いものがありました。

その内容とは

『内観療法』

なるものです。

今日はそのお話についての学びと気づきを
皆様にご共有させていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは

【効果抜群?!「内観療法」という自己を発見する方法】

それでは、どうぞ。

■昔からたいへん
お世話になっている会社様で

『内観研修』

なるもの研修として
行っている会社があります。

やることは

・ホテルに一人一部屋ずつ入る

・自分の幼少期からの思い出を振り返る

・時折、全体であつまって
講師から進捗を確認される

・両親にお世話になったことなどを
ひたすらに振り返っていくことで
他者への感謝や、発見が生まれる、

そんなワークですよ、

、、、そんなことを以前
教えていただき、

「なるほど、
そういったワークもあるのか!」

と緩やかに
その存在を認知しておりました。

■その他でも、

あまり詳しくありませんが
座禅やヴィパッサナー瞑想など、

”ひたすらに、
自らの内側に目を向けていく”

ことによる気付きは
想像以上に大きいようで、

それゆえに廃れることなく
体験される人がいるのだろう、

と思っています。

■一方、

それらがどのような理論に
基づいているのか?

そしてそれが
どのようなルーツにあるのか?

などはあまり知られていません。

ゆえに

「瞑想=怪しい」

みたいに安易になってしまうのも、
なんとなくいただけない気もします。

■そんな中、

今回キャリアコンサルタントの
試験問題の中に、

『内観療法』

というキーワードが出てきたのでした。

よくわからず、
見事に間違えたので
そこから論文を調べてみたところ、

先述の内観研修の元となる
歴史やルーツが詳細に書かれており、
面白い!と一人高揚しておりました。

■ちなみに

『内観療法』とは何か?

について、論文

川原隆造.(2002).”内観療法の原理と応用.”心身医学 42 (6): 355–62.

では、このように説明していました。

**

「内観療法」は1941年に
吉本伊信により確立された治療です。

はじまりは、
浄土真宗の一派で行われた
修行法「身調べ」から始まった
仏法に近づくための精神修養法であったとのこと。

この「身調べ」で迷いをなくし、
悟りに至った吉本氏は
そこ得られた幸福感を
より広げていこうと考えました。

しかし、
宗教的色彩が強かったため、
(実際、宗教の精神修養法であるため)

宗教色をなくし、
かつ簡易化することで

『内観療法』

として発展をさせ、

家庭・学校・職場の
精神衛生面の向上に応用されていったとのこと。

詩人の石川啄木が
10日間集中してこれを行ない、
カタルシスと思われる爽快感を得たことから
旋風を起こした、、、

そんなエピソードも書かれていました。

■では、この「内観療法」、
具体的に何を行うのでしょうか?

その特徴は、
2つの構造からできています。

***

<内観療法の進め方>

1)「内観3項目」について考える

・「お世話になったこと」
「して返したこと(お返ししたこと)」
「ご迷惑をかけたこと」

を年代区分ごとに回想していく。

2)集中力を高める

○時間的条件として
15~16時間/1日 × 約7日間
1~2時間おきに面接を行う

○空間的条件として
入院、屏風又はカーテンで遮蔽、
行動・対人接触の制限を行う

3)治療者への関わり方

○謙虚で厳格な対応(父性的構え)
礼儀正しく・いたわり・慈しみの態度(母性的構え)で接する

○症状や病理には触れない(不問)

○個別性と集団性がある場を用意する

***

とのこと。

■あくまでも
始まりは「療法」です。

ゆえに、入院もあります。

そして集中できる環境で

過去から時代区分ごとに、
内観3項目を考えていくと、

最初は漠然として思い出せなかった
幼少期からの体験が、

次第に鮮明に昨日の事のように
思い出せるようになる、とのこと。

ちなみにポイントは

・「お世話になったこと」→2割
「して返したこと(お返ししたこと)」→2割
「ご迷惑をかけたこと」→6割

の比率で考えるとのことで、

特に「ご迷惑をかけたこと」
に重きをおいて考えることが
重要であるとのこと。

■その理由は、

”迷惑をかけたこと”

とは

”相手の立場に立たない限り
正しく考えることはできない”

からです。

そうやって
過去を振り返っていくと、

・自分が目を背けてきた
自己中心的態度

であったり、

・母や近親者から受けてきた愛情の数々

に思いを馳せることになる
といいます。

その結果として

「畏敬を込めた”他者の認識”」

を獲得でき、また

「他者視点を得ることによる
”新たな自己発見”」

の道が開ける、

そんなメカニズムを持つのが
内観療法である、

とのことでした。

■論文によると、
その効果についてこうまとめられています。

”治療過程では、

・恩愛感と自責感の情動体験、
・他者視点と我執からの解放

が見られる。

したがって内観療法では、

・人格面の成長と協調性

が認められる”

とのことでした。

■確かに精神的な世界は
手触り感がなく、

なにそれ、怪しい、、、
と思われた方もいるかもしれません。

ただ、心理療法としては
この論文の調査によると

・88例中73例(83%)が著めて効果あり、
・軽快は8%、中断と不変が9%。

と90%の症例に効果があり、

また

平均2.8年の観察期間を持っても
23例中16例(70%)が著効であった、

とありました。

■とのことで、本日は

心理療法の一つの
「内観療法」とその効果について
まとめさせていただきました。

私も、

他者の認識と自己の発見、

あるいは石川啄木の感じた
カタルシスと思われる爽快感、
を感じてみたいな、思いましたし

機会があれば1週間くらい
やってみたいと感じました。

(余談ですが、
3,4日目がかなり苦痛だそうです)

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

親孝行はあらゆる行いの根本である。

李滉

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