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3346号 2023年4月22日

「アシックス・ランニングラボ」にて、ガチ測定された話

(本日のお話 4729字/読了時間6分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日ですが、
午後早めに仕事を終えて、

銀座にある

「アシックスランニングラボ」
https://www.asics.com/jp/ja-jp/rtl/runninglab

なるところで、
ランニング能力のガチ測定を
行っていまいりました。

来月以降に出場するマラソンレース

・5/21:野辺山ウルトラマラソン(100km)
・6/11:飛騨高山100キロマラソン(100km)
7/15-16:みちのく津軽ジャーニーラン(263km(!))

に向けてちょっとでも調整をしていこう、
そんな気持ちで参加をしてみました。

結果、その内容が実に素晴らしく、

「ランニングを科学する」こと、
「フィードバックの威力」を

全力で体感したのでした。

ということで、
今日はその体験について
皆様にご共有させていただければと思います。

(ランニングにご興味がない方は
何のことやら、かもしれませんが、、、
ご容赦いただければ幸いです)

それではまいりましょう!

タイトルは

【「アシックス・ランニングラボ」にてガチ測定をされた話】

それでは、どうぞ。

■スポーツウェア等で有名な
「アシックス」さん。

ご存知の方も多く、
運動をされている方の中には
愛用している方も少なくないのではと思います。

(私も大好きなブランドです)

■そんなアシックスは
プロのアスリートの方に
様々なツールを提供しており、

また神戸にアスリート用の
ランニング研究所があるそう。

そこでは心肺機能や、筋力
ボディバランス、柔軟性などを測定し、

”ランニングを科学する”

ための各種設備が整っているそうです。



そして、10年ほど前から、
それを一般向けのサービスとして、

大阪と東京銀座に
2時間半でランニング能力を、
詳細に分析するサービスを始めました。

これまでに数千人を超える、
一般ランナーから競技ランナーまで
様々な人のランニング能力分析をしてきた、

それが、

『アシックスランニングラボ』

である、とのことでした。
(店員さん談)

■ふむふむ、実にワクワクしますね。

ぜひ測定されたくなります。

そして、このラボでは、

”「ランニング能力」を規定する
4つの能力”

を測定するのです。

4つの能力とは、

1)体格的側面(足型、下肢アライメント、体組成測定)
2)脚力的側面(脚力測定)
3)動作的側面(ランニングフォーム・ランニングキック力測定)
4)持久的側面(全身持久力測定)

であります。

上記が

「ランニングのパフォーマンス(記録)」

を決める
主要な4つの能力であることがわかっており、
これらを鍛えることで記録は必然的に伸びる、

これがランニングの科学の
中心に位置するメソッドとなります。

■もちろんその他にも、
記録に影響する要因はあります。

たとえば、

・コンディション(体調)
・モチベーション(やる気)
・戦略(ペース、水分・栄養補給)
・スポーツ用品(シューズ・ウェア)
・天候
・コース(高低差、路面状況)
(Asics,2008)

などなど。

ランニングパフォーマンスには
様々な要因が関わっているわけですが、

いくらシューズやウェアを工夫しても、
それは与える影響が限られています。

大事なのは
「ランニングの4つ能力」の軸を鍛えることが
まず優先です。

■では、

何を/どのように
鍛えればよいのか?

そのためには

「個々人の現状の能力を把握する」

ことが最初のステップです。

目指す記録に向けて、
それぞれを、どこまで伸ばせばよいのか、

これまた各種能力のバランスで
目安となるものがありますので、

”現状と理想のギャップ”

が見える化されれば、
トレーニングの方略も見えるようになります。

■そしてこのランニングラボで、

プロのアスリートが使う
様々な測定機器とインストラクターにより、

「ランニングの4つの能力」

を詳細に分析してくれます。

ちなみに、

所要時間は2時間半、
お値段は21,400円(税込)です。

そして、予約はいつも満席です。

■なんとか予定を会わせて、
私(紀藤)は測定をしていただきました。

以下、どんな測定を行ったのか
詳細を共有させていただきたいと思います。

(繰り返しですがご興味ない方、スミマセン)



まず、測定をしていただいた
インストラクターの方ですが、

インカレで陸上7種競技をやっていた
ガチのアスリートでした。

ゆえに、
知識と経験の両面から
非常に説得力があり、
かつスポーツへの愛もあります。

この時点でもう期待が持てます。

誰からフィードバックを受けるかは、
やっぱり大事なのです。



最初に行った測定は、

1)体格的側面(足型、下肢アライメント、体組成測定)

の計測でした。

いわゆる、

体組成計で、
身長・体重・筋肉量・体脂肪率などを
測定していきます。

骨格が歪んでいないか、
足の裏のアーチはあるのか、
外反母趾気味ではないか、、、などを

スキャナーなどを使って
計測をしていきます。

これによって、
自分の身体を補助してくれるギア(シューズ)を
選ぶことができるようになります。

(ちなみに私の場合、
体脂肪率14.9%、筋肉力平均より少なめ、
であるとのこと。

その場合、この貧弱さ(?)を活かして、
軽量化してスピードアップを図る
という戦略が有効らしいです)

■そして、次に行ったのが、

2)脚力的側面(脚力測定)

です。

こちらでは、ランニングに必要な

・足を伸ばす力
・足を曲げる力

を測定していきます。

足を器具で固定して
全力で足を上げ下げして、
太ももの前部分と、
後ろ部分の筋力を図ります。

(ガチでやると、
「フンッ!」と声をだす人もいるそうですが
私は恥ずかしくてできませんでした)

■そして、最後の測定の一つが

3)動作的側面(ランニングフォーム・ランニングキック力測定)

です。

トレッドミルの上にのって、
10分間走ります。

その姿を前・横・後・上から
360度のカメラを使って、

・身体の軸のブレ
・腕の振り
・歩幅
・膝の曲がり方
・足のひねり具合などなど

10数項目のチェックリストから
ランニングの効率性に
関わる身体の使い方を見ていきます。

「自分の走り方」を
そんな風に見る機会はないのですが、

映像は嘘をつかないので、
最高のフィードバックになります。

理想的なフォームとの差異を確認することで、
改善点が明確になるのです。

■最後は、

4)持久的側面(全身持久力測定)

です。

これは3)と同じタイミングで
トレッドミルで計測するのですが、

その際に、

「心電図測定」(健康診断でやるようなやつ)と
「酸素マスク」(のようなものもの)

を装着して走るのです。

そして、1分ごとに、
どんどんペースが早くなり、
もうムリっす、、、というところまで
ペースを上げていきます。

すると、吸った酸素量と
吐き出した二酸化炭素の量を計測でき、

”有酸素運動から
無酸素運動に移り変わるタイミング”
(=AT:無酸素性作業閾値)

を明確にすることができます。

無酸素運動になると筋肉に乳酸がたまり、
二酸化炭素が多く吐き出されるようになるそう。
この状態では持続して動き続けることが困難です。

ゆえに、その人の心肺機能から
有酸素運動が継続できるボーダーライン
を明確にすると、ランニングタイムが予測されます。

かつ、
自分がキツイと感じ始める心拍数
(=RCT:Respiratory Compensation Threshold)

も呼気量と心拍数のバランスで
測定をすることができるため、
その人にあったトレーニング強度を測定できるのです。

■これらから分析をした結果、

私(紀藤)の場合、
以下のことがわかりました。

・現在の身体持久力から
「3時間7分~12分」が
フルマラソンの予測タイムである”

とのこと。

これまでのベストは
3時間21分なので嬉しい情報ではありました。

しかし、あくまで

”持久力から見たポテンシャル”

であるそう。

(すなわちため、このままでは
達成することはできないということ)

■では、どうすればよいのか?

そのためには

「心」×「脚」
(心肺機能×脚力)

の強化が必要なのです。

そして、上記の能力が
測定結果で明らかにされていきました。

私の場合、以下の5点の”伸びしろ”が
指摘されました。



第一に、「股関節周りの柔軟性が不足している」こと。

足を取り巻く筋肉(6種)において、
全体的に5段階評価のうち、
4項目が”2”(体が硬い)でした。

このことにより、
膝の屈曲が不十分になり、
ストライド(歩幅)が短くなってしまう状態でした。
これは記録に直結します。

また疲労回復にも柔軟性は影響するため、
練習を重ねることが難しくなる、とのこと。



第二に、「左足の筋力が弱い」こと。

右に比べて、左足の筋肉が弱く、
毎回”右足で踏ん張る”フォームになっている。

加えて左足が、体の中心より着地しているため、
ランニング効率が落ちているそうです。

加えて身体のブレを
腰でバランスを取ろうとするため、
腰に負担がかかり腰痛の原因になるそう。
(めちゃくちゃわかります、、、)

そのため、左足の強化、あるいは
走る際に左右バランスを意識した着地を行うとよい、

という指摘でした。



第三に、「腕の振りが小さい」ことも挙げられていました。

これは、肩甲骨まわりの柔軟性が弱く、
腕を抱えるように走ってしまっている。

こうすると、ひじを振り子のように使えていなく、
全身を使った走りになっていないそうです。

足だけに頼って走ることになり、
無理して走る状態になっている、、

との指摘でした。



第四に「腰が反っている」とのこと。

これはフォームを見ると明確でしたが
どうやらへそ下の筋肉(腹筋の下)が弱く、
そこの力が抜けているため、腰が反り気味で走ってしまう、

このことにより腰への負担が大きくなり、
腰痛の現任になるとともに、

足の引き上げにおいても障害になる。
スライド幅にも影響し、記録が伸びないことに繋がる、

とのことでした。



そして最後が、
「ランニング軸が1軸である」、とのこと。

ランニングで足の振り出しが
極端に一本の線の上を走るようになっており、

それにより
足首のひねりが大きくなりがちである、
(=オーバープロネーションというそうです)

足の故障に繋がるリスクになるとともに、
足を振り出す距離が斜めになる(=長くなる)ので
非効率的になるため、記録に影響する、

などを指摘されたのでした。

■なるほど。。。

だから腰が走ると痛くなるのか、、、。

だから、右足によった感じの走りに
なってしまうのか。。。

体感覚で気づいていたことを
その理由を明確にされることで、

”何をどう変えればよいのか”

につながる感覚がして、
アハ体験の連続だったのでした。

■驚いたことは

「これほどまでに
ランニングが科学されていた」

ということです。

なんか崩れているとか、
なんかバランスが悪い

ではなく、

すべてデータに基づいて
フィードバックをされ、

データに基づいて
目指すタイムを実現するために
必要な要素が洗い出されていたのです。

その他にも
私の現状の状況を踏まえて、

どのような練習をするのか、
具体的なメニュー(必要な心拍、時間、内容)も示され
大変な説得力だったのでした。

■そして思うのが、

”こうしたフィードバックや
適切なトレーニングを知っているか否かで、
ランニング能力の向上に雲泥の差がでる”

であろうということ。

科学的な方法を知らずに、
闇雲に走りまくっていても、
タイムが伸びないというケースは
ザラに存在します。

人材開発の言葉を借りるなら
まさに「這い回る経験主義」です。

経験をしても、
振り返りやフィードバック
そこからの改善がなければ、

闇雲に経験を重ねるだけで
自らのパフォーマンス向上に
効率的・効果的につなげることはできません。

そこには、

・科学に基づいたフィードバック
・科学が得ている教訓との紐づけ
・そこからの導き出される具体的行動(トレーニング)

があるからこそ、成果につながるのです。

■そんな人材開発にも通ずる原則、
そして科学の力を、

アシックスランニングラボで
体感させていただいた、

そんな時間でございました。

これでトレーニングの方向性も
バッチリ定まったので、来月以降のレースに向けて、
しっかり仕上げていきたいと思います。

いやはや、勉強になりました。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

「そんなに難しいことはできない」と言う前に、
まずやってみることです。
結論はそれからでも遅くありません。

ラルフ・ワルド・エマーソン
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