未来は読めないが、選ぶことはできる。 ーリアル・オプション理論を学んで思ったことー
(本日のお話 2110字/読了時間3分)
■こんにちは、紀藤です。
昨日は2件のアポイント。
並びに研修の準備や企画の作成でした。
生成AIにより、本当に3倍くらいのスピードになっています。
研修の台本も、ワークも、時間の計算も、
相談しながら進むことで、逡巡することが減っているので、
最高に楽しくて仕方ありません…!
もっともっとできることがありそうです。
また、夜は10kmのランニングでした。
*
さて、本日のお話です。
先日より続けております60万字の対策『世界標準の経営理論』の全章レビュー、引き続きお届けしてまいります。
本日は第10章、「リアルオプション理論」について取り上げてみたいと思います。
正直に言えば、こうした“横文字のホニャララ理論”というものが出てくるだけで、うげっと思う自分がおります…(汗)
特に経営学系の理論というのは、学生時代も社会人になってからも、どこか自分には縁遠いもののように思えて苦手意識がありました(経営学修士のはずなのに)。
…が、結局こうして読んで記事にしててしまうのは、こうした理論も読み進めてみると「ああ、なるほど、たしかに!」とぼんやりと感じていたこと整理され、シンプルに言語化される快感があるからでしょう。
だから、よくわかんないなあ、と思いつつ読み進めてしまっております。
そして今回のリアルオプション理論も、そんな「なるほど体験」をくれたひとつでした。
ということで、早速見てまいりましょう!
■リアルオプション理論とは何か?
リアルオプションという言葉のルーツは、もともと金融工学にあります。株式市場などで使われる「オプション取引」の考え方を出発点として、それを事業投資や経営判断に応用したのがリアルオプション理論の流れです。
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簡単に言えば、”未来が不確実な中で「様子を見ながら、次の一手を選べる自由」を持っていることの価値”を評価するための理論です。
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たとえば、すぐにフルMAXで投資をするのではなく、まずは小さな一歩を踏み出し、様子を見てからさらに投資するかどうかを決める、みたいなイメージ。
不確実な世の中において、柔軟性や判断の余白を持たせてくれるための考え方が、リアルオプション理論です(と私は理解しました)。
■コーヒー工場の事例に見るリアルオプション
たとえば、本書でも紹介されていた事例がわかりやすかったです。
ある日本のメーカーが2020年、新興市場のミャンマーにてコーヒー事業を立ち上げようとしていた話です。現地にインスタントコーヒー用の工場を建設しようという計画で、初期投資額はおよそ100万ドルだったとのこと。
この時、通常の投資判断で使われるのが「DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)」です。これは将来のキャッシュフローの総額から初期投資を差し引き、その値がプラスであれば投資すべき、マイナスであれば見送るべき、というものです。
しかし、ここで問題になるのが、未来の不確実性です。これまでの市場からの予測では平均8%の成長が見込まれていました。しかし、未来はわかりません。実際には15%成長するかもしれないし、逆に2%しか伸びないかもしれません。
そうなると、当然ながら収益の見通しもブレてきます。赤字リスクも無視できません。こうした不確実な状況において、「全部賭けるかゼロにするか」ではなく、「まずは一部を投資して様子を見る」という判断が重要になってきます。
たとえば、最初に40万ドルだけ使って工場の一部を建て、市場の反応を見てから残りを投資するか決める。そんな段階的な判断が可能になるのが、リアルオプション理論の活用例です。
■リアルオプション理論の3つのメリット
この理論が私たちに与えてくれるメリットは、主に以下の3点が挙げられていました。
(メリット1)ダウンサイドリスクの抑制
市場が期待外れで2%しか成長しなかった場合でも、全額を投資してしまっているよりは、損失を最小限にとどめることができます。
(メリット2)アップサイドチャンスを逃さない
逆に市場が15%成長した場合には、段階的に追加投資をすることで成長の波に乗ることができます。つまり、保守的すぎず攻めの一手も残しておけます。
(メリット3)柔軟な戦略的判断が可能になる
撤退、現状維持、追加投資など、選択肢を残したまま進めることができます。白黒を早々に決めるのではなく、グラデーションの中で動けるのが最大の魅力であるようです。
■リアルオプションが活きる「不確実性の4つのレベル」
本書では、不確実性を4つのレベルに分けて考えていました。
レベル1:確実に見通せる未来
レベル2:いくつかの可能性が想定される未来
レベル3:可能性の範囲は分かるが、確度が低い未来
レベル4:まったく読めないカオスな未来
リアルオプション理論が特に有効なのは、”レベル2やレベル3の「ある程度のシナリオは想定できるが、確定はできない未来」”です。
まさに今の時代の多くのビジネスが、このレベルに当てはまるのではないでしょうか。
■まとめと感想
読んでいてふと思ったのですが、これは決して大企業の投資判断だけの話ではないように思いました。
たとえば私自身、いま「Udemyで動画講座を出してみようかな」などと考えていたのですが、それにどれだけの時間とお金をかけるべきかという判断も、リアルオプションの考え方で捉え直すことができるなあ、などと思うのでした。
たとえば、いきなり時間をかけて、全講座分を撮りきるのではなく、まずはパイロット版として短めの一本を作って、反応を見て、手ごたえがあれば追加で撮影を進めていく…みたいなのもリアルオプション的考え方です。
このように、自分の資源(時間・お金・エネルギー)をどう振り分けるかを考えるとき、「リアルオプション的発想」は、私たちの日常の意思決定にも十分応用できるのだと感じた次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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