「たまねぎ理論」から学ぶ、人間関係を築くための3つのポイント
(本日のお話 2662字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は、早朝からインターバル走11km。
日中は終日、ストレングス・ファインダーの研修実施でした。
夜は執筆活動など。
ひたすら「強み」に関する概念を探す旅をしております。
ふと思えば、Gemini、ChatGPTなど、昨年に比べて、代表的な論文も驚くほど探しやすくなりました。
その関係もあり、情報の網の目が、遥か遠くまで見渡せるようになりました。
一方、それぞれの世界が広大すぎて、なんとなく知っているだけの知識が増えていることに、歯がゆさも感じます。
自分のものにするためには、実践と理論をつなげながら、自分なりの考えとして、まとめていく必要があります。
ただ、情報を知っているだけでは、正直なんの価値にもならない…、そんな時代になったようです。
書籍出版の旅は、無限に広がるオープンワールドのゲームのように、どこまでも続きそう。
でも、引き伸ばすわけにもいかないので、何とか一旦、目的地へはつきたいと思い、ペースを早めております。
(そうしないと、本が永遠に完成しない気がする……)
▽▽▽
さて、そんな中で本日のお話です。
強みの概念のジャンルには「人間関係を築く力」が含まれています。
その中で、「ラポール」なるキーワードがあります。
ひとことでいえば「心の懸け橋」のようなもの。
これは、心理学の世界では、二人の間に「心が通い合っている状態」や「互いに信頼し、安心して交流できる関係」を指します。
相手が自分を理解してくれているという「相互信頼」と、感情や考えがスムーズに伝わり合う「共感的な交流」の2つが揃ったとき、そこには強固なラポールが形成されています。
そしてビジネスの世界でも、「ラポールを築く」ということが重要であり、私も営業研修で、「クライアントと話を深めるための技術:ラポール」なるものを学んだ記憶があります。
こうしたことを自然とできる人もいるため、「ラポール力」とも呼べる強みについて調べていた時に、ある理論を知りました。
それが「社会浸透理論」というものです。
1973年に出版された以下の書籍で紹介された、非常に有名な理論です。
残念ながら、原著はとても高価(5万円)で手が出ませんでしたので、今日は私が調べた範囲の内容と、また、実体験をもとにした話を、書いてみたいと思います。
それでは、どうぞ!
■<本日の理論>
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タイトル:Social Penetration: The Development of Interpersonal Relationships(社会的浸透:対人関係の発展)
著者:Irwin Altman(アーウィン・アルトマン)、Dalmas A. Taylor(ダルマス・テイラー)
出版年:1973年
出版社:Holt, Rinehart and Winston
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■社会的浸透理論(たまねぎ理論)とは?
では、どうすれば初対面の相手とスムーズに信頼関係を築けるのでしょうか。
そのヒントとなるのが、心理学者アーウィン・アルトマンとダルマス・テイラーが提唱した「社会的浸透理論(Social Penetration Theory)」、通称「玉ねぎ理論」です。
この理論では、人間関係は玉ねぎの皮をむくように、表層的な話題から少しずつ深い話題へと進展し、最終的には相手の内面に触れるような深いレベルへと関係性が深まっていくとされます。
その鍵となるのが、「自己開示」です。
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<社会的浸透理論による関係深化のステップ>
●ステップ1: 表層(一般・初対面)
まずは表面的な話題を、狭い範囲で共有します。
(例:「今日は冷えますね」「どこから来られたのですか?」など、誰もが答えやすい話題)
●ステップ2: 中間層(特定・知人)
話題の幅が広がり、少しずつ個人の意見やエピソードを交えていきます。
(例:仕事の話、休日の過ごし方、最近の趣味など。)
●ステップ3: 深層(内面・親友)
価値観や悩み、将来のビジョンといった、深い話題を共有する段階。
例:人生の転機、家族への思い、仕事の葛藤など。
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ここで重要なのが、「自己開示の返報性」という心理メカニズムです。
つまり、人は「相手が心を開いてくれたら、自分も心を開かなければ」と感じる性質がある、ということ。
ですから、まず自分から少しだけ深い話をしてみると、相手もそれに応じて、心の内を見せてくれるようになります。
ラポール力が高い人ほど、「自己開示の深さと広さ」を意図的に調整し、相手との共通点を探しながら、短時間で深い関係を築いていくようです。
■営業で感じた「玉ねぎの皮」のむき方
私自身、これまで多くの営業の現場に立ってきましたが、この「玉ねぎ理論」は本当に実感として腑に落ちます。
初対面のお客様にいきなり「貴社の課題は何ですか?」と深層から入っても、相手は当然、警戒して心を開いてくれません。
まずは「今日は暑いですね」といった日常会話や、オフィスの雰囲気など、当たり障りのない話題から始めるのが普通です。
そして「実は最近、こんな取り組みをしていまして……」といった、自分自身のちょっとした自己開示を織り交ぜることで、相手の反応を待ちます。
(さらには、この自己開示に「専門性」を織り交ぜながら、「この人は詳しい人だぞ……!」と力量や経験値をにじませて、”親しめる先生的ポジション”に近づけると、信頼度はぐっと高まります)
そして、相手が話し始めたら、自分の話を控えて「主役」を相手に譲って、どんどん引き出していく。
最初は7割自分が話して、ラポールが形成されたと思ったら、段々とボリュームを落として3割くらいに自分の発言量を減らしていく。
このバランスこそが、ビジネスにおけるラポール構築のポイントなのだなあと感じ、今なお、そのやり方をしています。
■まとめ:鎧を脱ぐのは自分から
もし、「人とつながってはいるけれど、どれも浅い気がする」と感じているなら、まず自分から、小さな自己開示をしてみる。
そして、「玉ねぎの皮をむく」ような関係の深め方を、意識してみると良いかもしれません。
もちろん「自分よりもずっと視座が高い人」などは、どんな話に興味をもっていただけるのかが、本当のコアではわからないので、なかなか難しいところもあります。
そうしたときは、自分自身が「深さ」を強く持つ何かしらの領域で尖らせていき、自分のフィールドに引き込む技術も大事だよな…とも思った次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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