目立って出世する⁈ パーソナルブランディングとキャリアの関係とは ーアムステルダム自由大学の研究ー
(本日のお話 2356字/読了時間2分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は、1件のアポイント。
その他、ひたすら執筆でした。
来週から研修パラダイス(ありがたいことです)なので、
今週までに何とか進めておきたいところ…!
がんばります!
*
さて、本日のお話です。今日はある論文のご紹介です。
「自分をアピールする」「注目を集める」こと。
謙虚さを美徳とする日本では、距離を感じてしまう行為かもしれません。
しかし近年は、柔軟な労働環境の広がりとともに、
一人ひとりの独自性を打ち出すことはより求められるようになっているようにも感じます。
言葉を変えると「セルフ・ブランディング」とも言えるかも知れません。
そのような背景の中で、「パーソナルブランディングとキャリア満足度」について調査した論文があります。
論文タイトルは『目立って出世する:パーソナルブランディングがキャリアの成功に与える影響』です。なんだか時代を象徴するようなタイトル……。
さてどんなことが書かれているのでしょうか。ということで、早速中身を見てまいりましょう!
■今回の論文
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英語タイトル:Get Noticed to Get Ahead: The Impact of Personal Branding on Career Success(目立って出世する:パーソナルブランディングがキャリアの成功に与える影響)
掲載誌・出版年:Frontiers in Psychology, 2019年12月
著者:Sergey Gorbatov / Svetlana N. Khapova / Evgenia I. Lysova
所属:School of Business and Economics, Vrije Universiteit Amsterdam
(オランダ・アムステルダム自由大学 経済経営学部)
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■30秒でわかる論文のポイント
・本研究は、新たに開発・検証された尺度を用いて、パーソナルブランディング(PB)の予測因子と成果を検討した研究です。
・欧米およびアジアという異なる culture 圏を対象に、合計N=477名を対象とした2つの研究が実施されました。
・主な結果として、PBは「知覚された雇用可能性(自己の市場価値の認識)」を完全に媒介して、キャリア満足度を高めることが示されました。
・また、PBの最大の予測因子は「キャリア達成への意欲」であり、一方でキャリア・フィードバックは意欲と負の相関を示すなど、興味深い知見が得られています。
■研究の背景/目的
ギグ・ワークの増加や雇用の流動化により、個人にはより「市場志向」であることが求められるようになっています。
PBは、自身の独自性を戦略的に構築・発信するプロアクティブなキャリア行動として注目されてきましたが、これまで定量的・実証的研究は十分とは言えませんでした。
本研究の目的は、PBの尺度を開発し、その先行要因と成果を理論モデル(計画的行動理論など)に基づいて明らかにすることです。
■研究の方法
◯尺度開発
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・先行研究から39項目を作成
・因子分析を経て戦略的 / 差別化 / テクノロジー活用の3因子・18項目からなるPB尺度を確立
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◯研究1(N=263:オランダ中心)
・PB尺度、知覚された雇用可能性、キャリア満足度の関係を構造方程式モデリング(SEM)で検証
◯研究2(N=214:中国中心)
・計画的行動理論(TPB)に基づき、キャリア達成意欲、キャリア・フィードバック、キャリア自己効力感とPB意図・行動の関係を検討
■主な結果
◯(1) PBとキャリア満足度の関係について
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・PB → 知覚された雇用可能性 → キャリア満足度
という完全媒介モデルが支持された
・PBそのものが直接満足度を高めるのではなく、
市場価値への自信を高めることで満足度に寄与していた
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◯(2)PBの予測因子について
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・キャリア達成意欲:PB意図の最も強力な予測因子になる
・キャリア・フィードバック:PB意向と負の相関がある
(助言が多いほどPBの必要性を感じにくい可能性)
・キャリア自己効力感:PB意図には直接影響しないが、
PB行動とは正の相関がある
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■パーソナルブランディング尺度(18項目)
以下がパーソナルブランディングを測定する18項目です。
6項目×3つのカテゴリにわかれています。
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◯(1)戦略的(Strategic):6項目
(自身の専門的なイメージを計画的に構築・管理する行動を測定します)
・自分のプロフェッショナルなイメージを高めることができる経験に、目的を持って取り組んでいる。
・プロフェッショナルなネットワークを拡大するよう努めている。
・自分のネットワークに対してプロフェッショナルなイメージを伝えるためのルーチン(習慣)を確立している。
・自分のプロフェッショナルなイメージを積極的に作り上げている。
・ターゲットとなる相手の期待を管理するために、自分のプロフェッショナルなイメージを先見的に調整している。
・自分自身について発信する情報の種類について、戦略的に考えている。
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◯(2)差別化的(Differentiated): 6項目
(他者との違いを明確にし自身の価値を周囲に認知させる行動を測定します)
・自分の仕事の質をアピールするために、他者からの推薦を積極的に求めている。
・自分の専門分野において、他者と比較して際立ったプロフィールを持つように努めている。
・自分の成功体験を、プロフェッショナルなネットワークに周知させている。
・同僚やライバルとは異なる形で自分を提示(プレゼンテーション)するよう努めている。
・自分が価値のある仕事を提供していることを、一貫して伝えている。
・自分の活動が(周囲から見て)認識可能なものになるよう心がけている。
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◯(3)テクノロジーの活用(Technologically savvy): 6項目
(デジタルツールやSNSを用いて、自身のブランドを分析・発信する行動を測定します)
・自分のプロフェッショナルなネットワークに対する影響力を評価するために、データを利用している。
・自分が専門的にどう見られているかを評価するために、オンラインツールや指標を利用している。
・自分のパーソナルブランディング活動の有効性を体系的に分析している。
・ソーシャルメディア(SNS)上で、自分の専門的な活動について積極的に発信している。
・自分のオンライン上の学歴・職歴プロフィールが完全な状態(有益で魅力的、かつ写真がある状態)であることを確認している。
・自分の仕事のプロジェクトのサンプルや説明をオンラインに投稿している。
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■まとめと感想
個人的には、雇用流動性が高く、外部市場が開けているほど、よりフィット感のある研究だと感じました。
日本にそのまま当てはまるとは限らないかもな、と思う一方、自営業という立場で見ると、本研究の示唆には非常に納得感がありました。
(まさに全部大事…!)
そして、パーソナルブランディング尺度が明確になることで、「自分自身を一つの商品として前に出す際に、何を意図的に行えばよいのか」が見えてくる気もします。
これから副業なども含め、「個人が何ができる人なのか」を伝えていくことが、更に必要とされるように感じます。
能力があっても、それを得る機会がなければ、機会を創出することも、それによってスキルを磨くこともできないもの。
そのため、「意図して注目を集める」というスキルとして、実践的に活用できそうだと感じた次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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