MBTIの歴史と概念が分かる本 ー『心理学的経営 個をあるがままに生かす』からの学びー
(本日のお話 3345字/読了時間5分)
■こんにちは。紀藤です。
先日は朝から20kmのランニング。
その後、広島に新幹線で移動して、アポイント1件、
オンラインミーティグなどでした。
広島に来たのは、大学院時代の仲間の会社の皆さんに、
「MBTI®を活用した自己理解とチームビルディングのワークショップ」を実施するためです。
そんな新幹線の道中に、リクルートの創業時代を作り、また適性検査SPTなどを開発した大沢武志氏のバイブル的著書『心理学的経営 個をあるがままに生かす』を読んでいました。
===================
『心理学的経営 個をあるがままに生かす』
大沢武志(著)
===================
1993年に刊行された書籍ですが、かの有名なリクルートの経営の骨幹を作った考えがなんだったのかがわかることもそうですし
全体の1/4ほどの紙幅を使ってMBTIのことが書かれてもいます(第六章 個性化を求めて)。
その内容が、MBTIについて端的かつ、その奥深さが丁寧に説明されているように感じ、大変参考になるものでした。
本日はその本書の内容から、印象に残ったことをいくつかご紹介させていただければと思います。
それでは、どうぞ!
■個性を生かすとは
「個性を生かす」という言葉は、言うのは簡単ですが、実際のそれを経営に落とし込むのは難しいもの。
そのことを、本書では以下のような言葉を用いながら、問題提起として章始めます。
(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「人間は自分自身になろうとして生きる」とは哲学者キュルケゴールの言葉だが、自分自身とは一体何ものなのか。
自分自身になろうとして生きる道程は、自己の内面への旅であり、自分の存在基盤としてのアイデンティティの確立を求めて本来の自分を探し続ける過程そのものが生きるということなのだろう。(中略)
そして今、急速な勢いで全世界に利用の輪が拡がりつつあるパーソナリティ・テスト(※)について触れていきたい。
それはこれまでの心理学的検査の概念を超えて、独自の存在として一人ひとりの人間理解に迫り、個性を介して新たな自己洞察へと人々を導くツールとして、
全世界で企業のみならず、教育、福祉、医療などの様々な分野に取り入れられ、活用されている。
※ここでいうパーソナリティ・テストとは「MBTI」のこと。ちなみに”テスト”ではなく、正しくは”指標”であることは後に述べられている。
P159より引用
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)
自分自身とは何かを探求する旅自体が、「生きる」ということである。
そして、現代では外の世界に対応する、世の中の流れについていくことで、
「内側の世界に目を向ける」ことがないがしろになっているからこそ、内面に目を向けることが必要ではないか⋯と問います。
そして、こうした言葉を経営に活かそうとしたリクルートが、誰もが知る大躍進に繋がっていったということも感慨深いです。
「個性を生かすこと」と「成果を出すこと」の両輪を回すことに繋がるのかな、と希望を感じさせられます。(もちろん、そんなに単純化はできませんが)
■MBTIの成り立ちと基本概念のまとめ
本書では、MBTIの内容について端的かつ丁寧に説明されています。これを読むだけでも、現在流行っている(そして誤解を生んでいる)WEBテストとの違いがわかるかと思います。
以下、簡単に内容をまとめます。
(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・開発の背景: イザベル・マイヤーズとキャサリン・ブリッグス母娘が、C.G.ユングの性格類型論をもとに開発。
・歴史: 1962年にアメリカで出版。当初は開発者が正規の心理学者でなかったため、認知に時間を要した。
・日本への導入: 1964年に紹介され、1968年には日本版の研究のために開発者への面会が行われた。
・普及と組織: 1975年に第1回全米学会を開催。世界70カ国以上(※)で利用されている。(※現在は50ヶ国)
・開発者の想い: 1981年に逝去したマイヤーズは、人間一人ひとりの「天賦の個性」を尊重することを説いた。
・根底の哲学: 「個の福祉」を目的としており、1988年には厳格な倫理憲章が制定されている。
・基本概念: 性格を「心の働き」として捉え、16のタイプに分類する。
・態度の指標: ユングの提唱した「外向―内向」を基本的な態度として重視する。
・心のプロセス: 人間の行動は「知覚」と「判断」という2つのメンタル・プロセスの組み合わせで説明される。
・知覚(情報の集め方): もの、人間、出来事、観念などをどうとらえるか、どう意識するかという心理的働きのこと。「感覚(S)」と「直観(N)」という2つの方法がある。
ー感覚(S)型: 五感を通して現実をありのままに捉え、目に見える事実や現実に関心を持つ。
ー直観(N)型: 無意識的な連想や可能性に目を向け、目に見えない関連性や空想を好む
・判断(結論の出し方):知覚したものについて結論を下す心の働き。「思考(T)」と「感情(F)」という2つの方法がある
ー思考(T)型: 客観的、論理的、分析的に結論を出そうとし、冷静な判断を好む。
ー感情(F)型: 主観的、人間関係の調和、相手の気持ちを考慮して結論を出そうとする
・指向(Preference): 人は誰でも両方の機能を使えるが、どちらを「使いやすい」と感じるかの偏りがある。
・発達の仕組み: 得意な方法(指向)を繰り返し使うことで、その機能がさらに強化・発達していく。
・個性の形成: 知覚と判断の組み合わせにより、一人ひとりの独特な性格タイプが形成される。
・ダイナミズム: どの機能が「優勢」であるかによって、その人の性格の主軸が決まる。
・MBTIの目的: 単なる分類ではなく、自己理解と他者への理解を深めるためのツールである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)
■MBTIで自分自身を探求する
本書では、特にMBTIの検査を受けた後に、どのように自己理解を深めるかについても言及されています。
以下、引用いたします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
大切なのは、MBTIの結果を受けた本人にフィードバックしながら、当人にとって最もよく納得できる自分本来のタイプを探してもらうことである。
四つの指向の特徴を説明し、各指向ごとに自分の特徴を振り返り、インディケーターの結果が納得できるものか否かを考えてもらう。
そして本当の自分のタイプ、自分本来のタイプ、自分で受け容れることのできる自分を見出してもらうのである。
これをベストフィットタイプと呼んでいるが、「個性化」を考える際にも重要な一つの手続きとなるものである。
P168
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「自分で受け入れることのできる自分を、自分自身で探究して見出す」。
まさに、このプロセスこそが簡易的なWebテストと違い、自己理解を深めるということなのだと、感じさせられます。
また、本書ではさらに踏み込んで、「支配機能(主機能)」と「補助機能」、「劣等機能」の違いと働き方についても、具体的な事例を含めて説明されていたりします。
さらに、1973年ごろに当時のMBTI日本版(性格類型検査TI)が開発された間もない頃、大手銀行の管理職150名に受けてもらったところ、全体の25%がESTJであり驚いたというエピソードも紹介されています。
こちらについて、以下のような補足が書かれました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
EESTJやENTJというタイプの特徴は、組織人として規律を遵守し、丹念で周到な計画のもとに整然とスケジュール通りに仕事をすすめることを得意とするところにある。
このタイプは、いわばビジネスの世界の優等生で、効率性や経済合理性を尊重する組織の求める行動様式への適応性にすぐれているといえる。
P179
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その他、日本,イギリス、アメリカの管理職の特徴、また日本を代表する起業家がどんなタイプなのかも記載されており,その解釈も併せて書かれており、なるほど…と興味深く思いました。
(たとえば、ソニーの井深大氏はINTP、盛田昭夫氏はENTPなど)
■まとめと感想
この書籍が1993年刊行とのことで、まだ派遣社員もアルバイトなどの雇用形態もまだまだ拡大途中であり,
その中で、40代ごろまではモーレツに働いて、会社に尽くすような働き方をし、その後にふと「自分とは何者か」と内省するようなタイミングが来る、というように述べられています。
社会や環境からの「こうあるべき」という力は、自己概念も変えうることがあるものです。
そうした仮面を一つずつはがすように探究をして、そこにある自分こそ個性が何かを見つけること、
そうした内面への探究は、選択が広がっている時代だからこそ、さらに必要になってくるのでは、そんなことを思った次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
※ 本日のメルマガは「note」にも、図表付きでより詳しく掲載しています。よろしければぜひご覧ください。
<noteの記事はこちら>
