今週の一冊『人を動かし、成果を生み出す リーダーシップの科学』
(本日のお話 2956字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
現在、長野県の野辺山に来ております。
本日朝5時から、野辺山ウルトラマラソン100kmのレース。
制限時間は14時間なので、19時までに帰ってこれれば、完走です。
私は、11時間30分を目標にしており、
上位10%以内を目指して走るので、
気持ちを折らずに、できるだけ脚を動かし続けるのが勝負です。
後悔ないよう、自分に負けないよう、走り続けてまいります!
*
さて、本日のお話です。
毎週日曜日は、最近読んだ本の中から一冊をご紹介する「今週の1冊」のコーナーです。
今回の本は、神戸大学の教授であり、リーダーシップの専門家である鈴木竜太先生による著書ですが、
一言で言えば「これまでに研究されてきたリーダーシップ論を網羅的にまとめた一冊」と言えます。
リーダーシップの歴史だけでなく、最新の研究で広がってきた様々なリーダーシップスタイルについても網羅的に取り上げられており、
さらに「これだけ多様化したリーダーシップを、どうやって磨いていくのか」という全体像も示されています。一般書と専門書のちょうど間にあるような、そんな一冊。
改めて、立教大学大学院 経営学研究科 リーダーシップ開発コースで学んだリーダーシップの理論を、再度復習するような感覚がありました。
ということで、早速中身をみてまいりましょう!
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『人を動かし、成果を生み出す リーダーシップの科学』
鈴木竜太(著)/ダイヤモンド社
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■本書の概要
本書の構成は、以下のような流れになっています。
まず第1~2章では「そもそもリーダーシップとは何か」「そしてリーダーシップ論がどのように広がってきたのか」を概観します。
そして、第3章では「リーダーがどういった行動をすると成果につながるのか」、
第4章では「リーダーとフォロワーの関係性によって生まれるリーダーシップ」
また、第5~6章では「フォロワーが暗黙的にリーダー像として期待するものと効果的なリーダーシップの関係」などが示されます。
リーダーの特性・行動・関係性といった観点から、これまでの研究の歴史が前半で丁寧に振り返られています。
画像として、それらを踏まえた上で、著者の鈴木先生がどのようにリーダーシップ育成を捉えているかという考えがまとめられています。
「リーダーシップ」というと、リーダーの数だけいろんな論があり、さまざまな本が巷に溢れています。
その中で、研究という領域で多くの人たちが理論と実践を通じて向き合ってきた成果がこの本にまとめられている。
そんな印象を受けました。まさに「リーダーシップの全体地図」と呼べる一冊です。
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<目次>
・はじめに
・第1章 リーダーシップとは何か
・第2章 リーダーシップ論の広がりと構造
・第3章 リーダーの行動と成果
・第4章 リーダーとフォロワーの関係性から見るリーダーシップ
・第5章 フォロワーがリーダーシップに与える影響
・第6章 リーダーのリーダーシップを決めるもの
・第7章 リーダーシップの思考法
・補章 リーダーのために、組織ができること
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■「リーダーシップの理論」を学ぶ意味とは
リーダーシップとは「フォロワーに影響を与え、チームの成果・目標に働きかけていくこと」であり、その成功の鍵は「適切な形でフォロワーに影響を与えること」にある。
もちろん、フォロワーに影響を与えたからといって、必ずしも望ましい成果が生まれるとは限りません。
しかしそれでも、「どんな理論があり、どんな方法があり、
自分はどんな武器を使っているのか」を理解することが、リーダーシップをマネージするための第一歩だと改めて感じました。
大学院の授業で「イメージできないことはマネージできない」と学びましたが、まさにそのとおり。
自分自身の影響力の源泉や、普段使っている武器が何なのかをイメージするために、本書はそのための語彙とフレームを与えてくれていました。
■「知的な想像者としてのリーダー」を目指す
本書を読んで最も刺さった言葉が、著者・鈴木先生が最後に述べていた「知的な想像者としてのリーダーになる」という言葉です。
「知的な想像者」とは、解像度高く、奥行きを持って、幅広く想像するということです。
具体的には、このように説明されていました。
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・解像度高く——ぼんやりとフォロワーの反応を想像するのではなく、具体的に自分のフォロワーの特性を踏まえて、自分がどう行動したらどんなことが起こるかを想像すること。
・奥行きを持って——フォロワーの即座の反応だけでなく、中長期的にどんな影響があるかを考えること。
・幅広く——フォロワーへの働きかけとして何をしたらどんな行動につながるかを、先を読みながら考えること。
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そしてリーダーシップの行動は、一つに限られるわけではありません。
関係性にアプローチしたり、倫理的な行動でアプローチしたり、ビジョンを示したり、複数の行動を掛け合わせながら展開していくものです。
だからこそ、「これさえやれば良い」というシンプルな答えはありません。
そのバックボーンにある様々な理論を理解し、頭の中に地図として持っておくことで、
自分の引き出しを増やしたり、もともと得意だったことをさらに強化したり、あまりやっていないことがあれば意図的に育てる——そういったことができるようになると思います。
リーダーシップの理論は、すぐに「こうすれば良い」という単純な話ではありません。少し抽象度が高く、回りくどく感じることもあるかもしれない。
しかし、「なぜこれをすると人が動くのか」を理解することによって、あらゆる状況で調整しながら自分のリーダーシップの幅を広げていくことができる。
だからこそ、こうした知識を学ぶことに価値があると、改めて思わされました。
■「健康志向リーダーシップ」「虐待的リーダーシップ」、様々な最新研究からの示唆
その他、個人的に面白いと感じたのは、特に昨今研究されてきた「リーダーシップの広がり」についてです。
最近有名なものとして、オーセンティック・リーダーシップやサーバント・リーダーシップなど、倫理的な行動でフォロワーに影響を与えるタイプのものが挙げられます。
あるいは、シェアド・リーダーシップなども最近では有名になりました。
その他にも、こんなのもあるのか!と思ったのが、「健康思考のリーダーシップ」「創造的なリーダーシップ」「パラドキシカル・リーダーシップ(矛盾する状況の中で、一貫性を保つ方が良いのか、個別対応する方が良いのかといったテーマを検証するもの)」などがあり、非常に興味深かったです。まさに、リーダーシップ百花繚乱ですね。
しかし、結局それらのものに影響を与えるのは、伝統的に研究されてきた、「フォロワーとの関係づくり」「ビジョンを示す」「知的刺激を与える」「目標を示す」などだったりするのも、面白いです。
あるいは「虐待的リーダーシップ」——いわゆるハラスメント的な行動をしてしまうリーダーはどのように生まれるのかを分析する研究や、そうした虐待的なリーダーを生みやすいフォロワーの特徴も、昨今では研究が進んでいるそうです。
また、「親が権威的だとリーダーシップが育ちにくい」「家庭が裕福だとナルシシズムが高くなり、リーダーとしての振る舞いにも影響する」といった研究もあり、リーダーシップというのは、その人がこれまで歩んできた人生の中で形成されるものなのだと、改めて感じた次第です。
■まとめ:理論と実践を照らし合わせて考える
今、自分自身の会社でリーダーシップを発揮することもあれば、大学の教員として学生と関わりながら影響を与えることもあります。
その中で、自分ができていること・できていないことを振り返るフレームが、リーダーシップの理論だと感じました。
たとえば、私の場合は基本的に、「ポジティブなスタンスで関わる」「相手に聞く・質問する」というあり方で関わることが多いのですが、この部分は比較的得意で、良い影響を与える事が少なくなさそうです。
一方、これがフォロワーである人にとって「期待されているリーダーシップ行動なのか」については、正直わかりません。だから、私自身がフィードバック探索をする必要がありそうです。
また、自分自身のスキルや知識という観点では、まだまだ磨き切れていない部分も多い。高らかなビジョンを掲げたり、「君ならできる」とグループを励ましたりといった行動も、もっとできるのではないか——そんなことも感じました。
本書に照らし合わせながら自分自身を振り返ることで、自分の幅を広げていきたい。そんなことを思った次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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