チームワークにおける3つの問題点とは 〜「集団圧力/集団浅慮/社会的手抜き」に注意!〜
								(本日のお話 2885字/読了時間5分)
 
 
 ■こんにちは。紀藤です。
 
 昨日は終日、会社の経費処理を
 ひたすら行っておりました。
 
 よろしくないのですが、
 領収書など8ヶ月分溜めており
 印刷した領収書の山にもがいておりました。
 
 こういうことがサラリと出来る経理の人、
 本当に尊敬します。
 
 やっぱり人は得手不得手があるんだなあ、、、。
 (しみじみ)
 
 *
 
 さて、本日のお話です。
 
 昨日、「集合知の力」として、
 
 『グループ・ダイナミクス』
 (=人が集まることにより起こる様々な現象)
 
 として、ジェリージーンズの実験のお話を
 いたしました。
 
 ジェリービーンズの数を当てる、というような
 状況推定問題などの場合、
 
 個人の予測よりも、
 様々な視点を持つ複数で予測し
 平均をしたほうが「常に」正解に近い数字になる、
 
 そんな興味深い実験です。
 
 
 ※詳しくはバックナンバーをご覧ください↓
 
 
 
 
 
 本日は、その逆で、
 
 「人が集まることが
 ネガティブな結果になりうる」
 
 ケースについて、
 
 ”皆で協力することに潜む3つの問題点”
 
 について、
 組織行動論の観点から、学びを皆さまに
 ご共有させていただければと思います。
 
 
 タイトルは、
 
 
 【チームワークにおける3つの問題点とは 〜「集団圧力/集団浅慮/社会的手抜き」に注意!〜】
 
 
 
 それではどうぞ。
 
 
 
 ■上述の「ジェリービーンズの実験」のように
 
 ”人が集まる”ことは
 望ましい成果を発揮することが
 ままあるものです。
 
 まさに「三人寄れば文殊の知恵」ですね。
 
 これは皆の力が合わさって、
 いうならば、
 
 ”ポジティブなグループ・ダイナミクス”
 
 が発動された状態と言えるかと思います。
 
 
 
 ■、、、しかし、一方、
 
 「船頭多くして船山に登る」
 
 という諺もあります。
 
 すなわち、
 
 ”人が集まる”ことで、
 むしろ成果から遠ざかるような
 ネガティブな方向に力が働くことがある、
 
 という話。
 
 
 皆が集まったけど、
 
 ・責任の所在が曖昧になったり
 
 ・同調圧力で異論を出せなくなったり
 
 ・何となく他のメンバーの意見に乗っかったり
 
 、、、となってしまい、
 (↑こういうの、ありますよね(汗))
 
 
 これ、むしろ、個別に責任を与えて
 進めたほうがよかったんじゃないか…
 
 なんて思ってしまうような、
 組織でよく起こりがちなあるある現象。
 
 
 いわば、
 ”ネガティブなグループ・ダイナミクス”
 が発動してしまった状態とも言えるかと。
 
 
 
 ■さて、どうして
 
 ”三人寄れば文殊の知恵”になるはずが、
 ”船頭多くして船山に登る”になってしまうのか?
 
 何が「皆で協力すること」を妨げるのでしょうか? 
 
 
 、、、このことについて
 
 『組織行動論』
 (=組織の中の人の行動を研究した理論)
 
 が明らかにしており、
 実に興味深く、納得させられるお話があります。
 
 「チームワークにおける3つの問題点」として
 以下、まとめます。
 
 
 (ここから)
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 【チームワークにおける3つの問題点】
 
 
 <問題1)集団圧力 >
 
 …個人に対して集団の規範や意見に同調するような
 圧力がかかってしまうような現象のこと。
 
 ※ 集団のメンバー間で共有されている適切な振る舞いに関する基準を「集団規範」といいます。
 人は集団規範に併せた行動をとりがちになります。
 そして、集団圧力となり、その場での適切な振る舞いをしようとします。
 
 その理由は”自分が浮いた存在になりたくない”、“集団に受け入れられたい”
 ”他のメンバーから逸脱したくない“という欲求があるからです。
 
 
 
 <問題2)集団浅慮>
 
 …1人1人は優秀であっても、
 人が集まって集団で決定することによって、
 愚かな決断を下してしまうこと。
 
 
 ※結束力が高く、有能な集団であればあるほど、
 メンバーが自信過剰になり、異質な意見が排除されやすくなります。
 深く考えないまま決定がなされ、訂正もされづらくなります。
 
 ※1986年 NASAのチャレンジャー号で起こった爆発事故は、
 実はリスクがあることを知っていた、と言われています。
 その中で、他のメンバーが見ているから大丈夫だろう、という
 「集団浅慮」が働いていた、と言う視点もあります。
 
 
 
 <問題3)社会的手抜き(リンゲルマン効果)>
 
 …個人が本来できるはずの努力をしない、
 あるいは能力を発揮していないために、
 集団のパフォーマンスが本来あるべき水準を
 下回ることがあるというもの。
 
 
 ※研究結果によると、
 集団のサイズが大きくなればなるほど、
 個人が単独で作業した場合の努力量と、集団で作業した場合の努力量の差が
 大きくなることがわかっています。
 
 
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 (ここまで)
 
 
 ■、、、さて、いかがでしょうか。
 
 何となく、解説を読んで頂くと
 組織で皆さまも思い当たる節が
 あるのではないかと思います。
 
 
 これはいい悪いではなく、
 
 ”組織の中にいる人が、
 社会心理的に、このような行動を
 とりがちである”
 
 という人間の心理を
 表しているだけの話。
 
 
 ただ、放っておくと
 上記のような
 
 問題1)集団圧力
 問題2)集団浅慮
 問題3)社会的手抜き
 
 が起こってしまう可能性が高いため、
 そのことを想定した上で、
 対策を打っておきたいもの。
 
 
 
 ■ではどうすれば、
 
 【チームワークにおける3つの問題点】
 が起こらないように対策できるのでしょうか?
 
 
 これもいくつか言われている話があり、
 以下の”条件設定”をすることで
 集団での協働を機能させることができるといいます。
 
 
 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 
 <皆での協働を機能させるための”条件設定”>
 
 1,「フラットなコミュニケーションを活性化させる」工夫をする
 
 2,多様なタイプのメンバーを揃える
 
 3,メンバーが多数派の意見に流されないように工夫する
 
 4,自信過剰に陥って異質な意見を排除しない
 
 5,他の誰かの努力にただ乗りしない
 
 6,積極的にディスカッションに加わる工夫 
 
 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 
 、、、とのこと。
 
 
 ■ちなみに特に大事なのは、
 
 ”フラットなコミュニケーション”
 
 だそうです。
 
 確かにそもそも
 「言いたい事も言えないこんな組織じゃ、、、(POISON?)」
 みたいな状況が想像できますよね。
 
 ゆえに、今話題の
 「心理的安全性」(自分が傷つけられないと感じる)も
 上記のチームの協働を機能させるという観点でも
 とても大事な要素なのでしょう。
 
 
 
 
 ■人が集まる事による可能性は、
 素晴らしいものがあります。
 
 ゆえに組織は、チームは
 1人では決して出来ない、
 目を見張るような成果を出すことができます。
 
 
 一方、起こってしまいがちな問題点もある。
 
 ゆえに、
 
 ・集まることによって起こりうる問題点を知る
 (whatとwhy =何が、なぜ起こるのか?を知る)
 
 ・集団の協働を機能させるための条件を知る
 (how= どうすれば対処できるのか?を知る)
 
 を学ぶことで、
 より効果的・効率的に
 チームの力を発揮することができますし、
 
 ゆえに「組織行動論」など、
 学ぶ価値が非常に多いなあ、と
 私自身学びつつ感じております。
 
 ということで、
 チームの力、ぜひ
 活かしてまいりましょう!
 
 
 最後までお読み頂き、ありがとうございました。
 本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
 
 ===========================
 <本日の名言>
 ただ傍観して、不平を言っていてはいけません。
 あなたがたは「誰か」が行動を起こすのを待っているのでしょうか。
 行動を起こさなければならないのは、あなた方自身なのです。
 
 ワンガリ・マータイ(ケニアの環境保護活動家/1940-2011)
 
 =========================== 
              
            