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2624号 2021年4月27日

「エリクソンの8つの発達段階」から、人生のテーマを考える(後編)

(本日のお話 3904字/読了時間5分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は「エリクソンの8つの発達段階」という
お話をお伝えさせていただきました。

今日もそのお話の続きについて、
皆さまにご共有させていただきたいと思います。

それでは、早速参りましょう!

タイトルは、

【「エリクソンの8つの発達段階」から、人生のテーマを考える(後編)】

それでは、どうぞ。

■昨日のお話ですが、

エリクソンは「アイデンティティ」の概念を
提唱した精神分析の世界での有名人。

そのエリクソンが、

”人生には「8つの発達段階」があり、
それぞれのステージでテーマがある”

と言いました。

そして、その「8つの発達段階」を
理解しておくことで

・自分がどのステージなのか、
そのテーマを理解でき、参考になる

・世代の違う相手を尊重できる
(特に子育てには役に立つ)

ため、お勧めである、
というお話でした。

そして昨日は、

生まれてから小学生(0~12歳頃)までの
8つの段階の前半をお伝えさせていただきました。

※詳しくはこちら
↓↓
「エリクソンの8つの発達段階」から、人生のテーマを考える(前編)【カレッジサプリ】
https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/3830050/

■さて、後半戦は「アイデンティティ」です。

皆さまも聞き馴染みがある言葉かと。

平たく言うと、

「自分は何者か?」

という問いへの答えです。

そしてライフサイクルの
「8つの発達段階」の後半(段階5)は

この「アイデンティティ」から始まります。

それでは見ていきましょう!

(ここから)

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<<エリクソンの「8つの発達段階」(後半)>>
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【段階5:青年期(12-18歳頃)】

「テーマ: アイデンティティ対アイデンティティの混乱」
(identity vs. identity confusion))
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12-18歳頃、中学生~高校生くらいのテーマ。

それは「アイデンティティ」です。

この時期は本当に色々な悩みがありますね。

・性格・外見を比較してしまう
・勉強/運動ができるorできない
・自分ってなんなんだろう?

、、、そうやって

周りの目が特に気になったり、
自分自身がよくわからなくなったりして、
思い悩んでしまう。

そんな風に、

”自分自身のことを探求していく時期”

がこの時期になります。

特に「アイデンティティ」については、
2つの要素から成り立ちます。

1、自分自身が「自分は自分である」という意識を持っている
(=自己斉一性)

2,周囲から「自分は◯◯な人である」と認められている
(=社会的アイデンティティ)

の2つからあると言われます。

ちょっとややこしいですが、

「自分は自分!」&
「◯◯さんってこんな人だよね」

という自分の自己理解と、
他者の自己理解の本質が
自分の中で腹落ちしていると、

「自分は何者か?」

が理解できている状態に近い、
といえるかと思います。



、、、しかし、これが上手くいかないと、
対になる「アイデンティティの拡散」が起こります。

自分が何者かわからず、
混乱するのです。

そうすると、症状として

・自意識の過剰
(例:ひとりよがりのナルシズム)

・選択の回避と麻痺
(例:進学か就職か決められず、ひたすら怠慢し続ける)

・否定的アイデンティティの選択
(例:自分なんていないくていいんだ、と思う)

・時間的展望の拡散
(例:将来を考えない、自分が歳を取りすぎたと感じる、など)

となって、”危機”を迎える、
とエリクソンは言います。

(深いテーマなので
大人になっても悩み続ける話でもあるかと思いますが)

そして、その次は初期成人期です。

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【段階6:初期成人期(18ー40歳頃)】

「テーマ: 親密性 対 孤立」
(intimacy vs. isolation)
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さて、青年期の次は「成人」の時代です。

でも、40歳くらいまでは
”初期”成人期といいます。

恋愛したり、結婚したり、
そして父・母になったり。

そんな世代も増えてくる年代ですね。

ちなみに、ここのテーマは「親密性」です。

”自分のアイデンティティが確立している。
ゆえに、他者と親密な関係を結んでも、
自分自身が揺らがない”

のです。



もし自分自身の
「アイデンティティ」が確立していないと、
こんなことが起こります。

例えば、

・他者に過度に依存的になる
(自分の軸がブレているから)

・自分の嫌なところを相手に鏡のように投影させ、
相手を責めてしまう(本当は自分を責めている)

・相手が自分の領域に入ってくるのを恐れ、
過度に防衛的、あるいは表面的になる

というように。

これが、「親密性」と対になる
”「孤立」という危機”になります。

そう、
青年期のアイデンティティを乗り越えて、
初期成人期の「親密性」を獲得ができるのです。

人と深く付き合うことって
場合によっては傷つくし、怖いのですよね。。

だからこそ、”自分は何者か”という
アイデンティティが大事になるのですね。

この時期は、18-40歳まで、
それなりの時期続いていきます。

「人を愛する」って難しい。。。

さて、この次は、
もうちょっと大人になって40歳です。

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【段階7:壮年期(40ー65歳頃)】

「テーマ:ジェネラティビティ 対 停滞」
(generativity vs. stagnation)
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さて、大人の中盤戦は「壮年期」。

ここでのテーマは、

”generativity(ジェネラティビティ)”

です。

なんぞや? と思いそうですが、

この言葉がもつ意味は、

・生殖性
・生産性
・世代性
・創造と育成、
・生成力、生成継続性

など、実に幅広いです。

ただ、そこに含まれている意味は、

「世代を越えて継承する」

ということ。

それは親としての
遺伝的な次世代だけではなく、

会社の後輩を育てたり、
次の世代を考えるというステージもそう。

育てる。導く。継承する。

これがこの壮年期のテーマなのですね。



一方、対となる”危機”は、
「停滞」です。

”自己陶酔”とも
書き表されています。

どういうことかというと、
「継承」をしないので、

・自分の活動や命が、自分の中にだけで留まる。
よって発展せずに、終結してしまう

そして、

・ジェネラティビティを発達させていないと、
自分を子供のように甘やかし始めることが多い
(byエリクソン)

といいます。

「次世代を育て・導き・継承する」。

そのことで、自分自身も満たされ、
そして発展をしていく。

世代間のダイナミズムが大事、

とエリクソンは言っております。

、、、さて、次はいよいよ
最後のステージです。

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【段階8:老年期(65歳頃)】

「テーマ:自己統合 対 絶望」
(ego integrity vs. despair)
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大人の後半戦、「老年期」です

ちなみに老年期とは
「mature age」(成熟した世代)と書かれます。
老年じゃなく、成熟した年頃なのです!

では、成熟したこの時代に、
何がテーマとなるのか。

それは

「自己統合」

です。

すなわち、大きく言えば

”自分の人生の意味を見出す”こと、

と言い換えられるかと。

元々の英語の
「integrity(インテグリティ)」の意味は

”高尚な精神の状態を保っていること”

とされます。

・行動・言葉・思考が一貫している
・裏表がない
・強固たる信念があって揺らぐことがない

結果、言動が常に誠実であり高潔である

とのこと。

、、、なんていうと、
ものすごくハードルが高い感じですが

他方エリクソンは「受容」を
キーワードにしています。

もうちょっと広い意味で見ると、

(色々ある中でも)
”自分を受け入れていく”

とも解釈できるかもしれませんね。



そして、この「自己統合」と
対になる”危機”が「絶望」です。

見るからに重々しい言葉ですが、

”すべての希望を失ってしまった状態”

です。

具体的な心境とは、

「もう新しい人生やチャレンジをするには
時間が足りない。。。」

という感情です。

この感情は、

・何かに対する嫌悪や人間嫌い、

・制度や特定の人々に対する
慢性的かつ軽蔑的な態度

となって表出するそう。

しかし実際は、

「その本人が自分自身を軽蔑していることを表現している」
(byエリクソン)

とのことです。

「自己統合」か「絶望」か。

非常に考えさせられる
最後の段階でございますね。

※参考:『アイデンティティとライフサイクル』
エリク・H・エリクソン 著/西平直・中島由恵 訳)
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■さて、いかがでしたでしょうか。

うーん、、、私自身、
書きながら実に考えさせられました。

段階1~4くらいまでは

「子供の発達はこういうものなのだよな」
「自分も確かにそうだったよな」

と振り返って考えていましたが、

段階5のアイデンティティ以降は、

自分が迷いながら歩んでいる道と重なり、

「ここで言われているテーマは
(アイデンティティや、次世代への継承)
もっと深く考えていきたい」

と感じたのでした。

■ちなみに、エリクソンは、

”ライフサイクルの「8つの発達段階」は
各段階がそれぞれに関連しあっている”

と言っています。

つまり、生まれてから

少しずつレベルアップする形で
段階1~8へと進んでいく

という意味も持ちます。

もちろんこの「8つの発達段階」も
一つの視点にしかすぎません。

ただ、このような視点を持つことで、

”社会的な人間として生きる上で
一つの指針にはなり得る”

とも思います。

そして、生きる世代が違う、
自分と他者の違いにも、
寛容になることができるのであろう、

と感じます。

■ということで、
人生の泳ぎ方の一つの参照枠として、

【「エリクソンの8つの発達段階」から、人生のテーマを考える】

の巻でした。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

私にとって最高の勝利は、
ありのままで生きられるようになったこと、
自分と他人の欠点を受け入れられるようになったことです。

オードリー・ヘップバーン(イギリスの女優/1929-1993)

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