メールマガジン バックナンバー

『働く大人のための「学び」の教科書』

今週の一冊『働く大人のための「学び」の教科書』

2761号 2021年9月12日

(本日のお話 2935字/読了時間3分半)

■こんにちは。紀藤です。

本日より宮崎に来ております。
これから約2週間、宮崎にてワーケーション。
場所が変わるだけで、ワクワクします。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日はお勧めの一冊をご紹介する、
今週の一冊のコーナー。

今週の一冊は、

=========================

『働く大人のための「学び」の教科書』
中原 淳(著)



=========================

です。

■いやはや、この本は、

「全ての大人が読むべき一冊」

と思ってしまいました。

「100年時代」などと言われている中で、

「大人にとって、学ぶとは何か?」

「どうして私たち大人は、
学び続ける必要があるのか?」

「どうやって私たち大人は、
学んでいけばよいのか?」

について、

専門的な言葉は用いず、
しかしながら確固たる理論や研究結果に基づいた

「大人の学び方」

を明確かつ、具体的に示してくれています。

■本書の構成は、
4部構成になっています。



まず、Chapter1では、

「大人にとっての学びの必要性」

が述べられます。

言われてみれば当たり前なのですが、

環境の変化により、
時代がどんどん進んでいく時代では、
知識やスキルが陳腐化しやすくなるのです。

その中で、

”過去獲得した知識・スキルに頼って
逃げ切ろうとする”

場合、後ろからやって来る後輩(次世代の子ども)に
追いつかれてしまいます。

例えば、

・IT業界であれば、
これまで必要とされていたプログラミング言語。

それを使って仕事をしていたものの、
外的環境の変化により、
今ではその言語時代が新しいものに取って代わられた、

とか、

・家電の開発をしていたけれども、
外的環境の変化により
開発の拠点自体が韓国や中国に移り、
仕事自体が少なくなっていった。

かつて、重宝されていた
家電の開発に対する知識やスキルは、
求められなくなっていった…

とか、あるいは、

・研修講師でも、優れたオンデマンドの講義が
聞けるようになって、「講演スタイル」で食べていた
研修講師はニーズがなくなっていった

などの出来事が、

日本中、あらゆるところで起きているのです。

■そして、かつて活躍していたはずの人が、

”働かないけど、たくさん給与を
もらっているおじさん”

と扱われてしまう、

あるいは立場を失っていく。。。

すなわち、

「一時期活躍できていても、
新たな知識やスキルを獲得し続けなければ
必要とされなくなっていく」

ことが常態化している時代に、
我々は生きている、

と言えるのでしょう。

■では、そんな時代に生きる中で、
どのように学ぶ必要があるのでしょうか?

・今の仕事を一生懸命やる以外に、
何をする必要があるのか?

・本を読めばいいのか?

・本を読むと言っても、どんな風に
本を読めばよいのだろうか?

・誰と、どんな風に学ぶことが
効果的なのだろうか?

、、、こんなところが、
気になってくるわけです。

■そこでChapter2と3では

「大人が効果的に学びの原則」には、
一体何があるのか?

について

”「3つのOS」と「7つの行動」”

という形で示してくれます。

以下、簡単にご紹介いたします。

(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【大人の学び 3つの原理原則(OS)】

◯{1)背伸びの原理}

・背伸び=現在の能力では少し難しさを感じることで、自らがんばったり、
他人の助けを借りれば、実現は不可能ではないこと。

・楽しくて感謝されることに、まずはチャレンジする。

◯{2)振り返りの原理}

・3つの問いに考えを巡らし、振り返りをする。
1.What?(過去に何が起こったのか?)
2.So what?(どのような意味があったのか?何が良くて何が悪かったのか?)
3.Now what?(これからどうするのか?)

・リフレクションなくして、アクションなし
(振り返りなくして、挑戦行動なし。
振り返りがなければ、”這い回る経験主義”になってしまう)

◯{3)つながりの原理}

・成長には他者からの支援が不可欠。
信頼の置ける他人に助言を得たり、コメントを貰ったり、
励まされたりするサポートを糧に、人は学びを実現する。

・1.業務アドバイス(教え・助言)
2.振り返りの促進(振り返りの促し)
3.励まし・承認(感情のケア) の他者支援が大事

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【大人の学び 7つの行動(アプリ)】

◯{1)タフな仕事から学ぶ}

・自分の能力ギリギリのところで全うできる
タフな仕事が仕事の成長の源泉になる。

・会社が伸びていく方向に貢献できる
前例のないタフな仕事が◎。

・経験は「資本」である。

◯{2)本を1トン読む}

・本を読むとは「自分の中に地図を持つ」こと。

・本を読むことは「他者の経験や思考を代理学習する」こと。

・1分野多読がオススメ(1分野で10冊の本を読む)

◯{3)人から教えられて学ぶ}

・3つの場から学ぶ

・インフォーマルな学び→ 人づてに情報を入手し、学ぶ
セミフォーマルな学び→ 集まって学べるオフィシャル性のない教育施設を利用
フォーマルな学び→ オフィシャル性が高く敷居が高い大学院で学ぶ

・「誰から学ぶか」は最も重要。大人は選べるのだから。

◯{4)越境する}

・慣れ親しんだ場所をはらんれて、
違和感を覚える場所にいくこと

・外に出て「自分が通用しない経験」をすること

・大人の学びは痛みを伴う。
しかしそれが学びの可能性を広げる。

◯{5)フィードバックを取りにいく}

・第三者に自分を映し出す鏡になってもらう。

・行動レベルでよかったこと、
悪かったことをフィードバックしてもらう。

S(Situation/状況)=どこで、どんなときに
B(Behavior/行動)=どんな行動をしたことが
I(Impact/成果)=どんな風によかったのか、悪かったのか
を客観的に指摘してもらい、自分で立て直す。

・通用しなくなったものは「アンラーニング(学習棄却)」する

◯{6)場をつくる}

・人々が集うような機会、イベントを主催する

・学びの場を人々に提供すると、世界が広がる。

◯{7)教えてみる}

・他人を「変化させる側」に回る。

・教えることは「学ばざるをえない状況」を
自分で作り出すことになる

・ただし対話を行い、
学び手と一緒に変わるというスタンスがよい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)

さて、ざざっとまとめてみましたが
いかがでしょうか?

この3つの原則と、
7つの行動を全部やったとしたら、
成長しないわけがなさそうです。

そして、

「自分自身は
どれくらいできているのか?」

を考えてみると、
自分の状況が客観的に、
見えるような気もしますね。

■最後のChapter4では、

『学び上手さんの「学びの履歴書」』

ということで30代40代の人を中心に、
大人の学びをしている人の実例が紹介されます。

学びが明日すぐに開花するわけではなくとも、
どのようなインパクトをゆくゆく与えていくのかが、

リアルにイメージができて、
とても参考になります。

■、、、ということで、

「大人の学び方」

について

・職場学習の研究
・経験学習の理論
・越境学習の研究

など様々な背景から描き出した本書。

実にオススメでございます。

「大人の学び」が気になる
全ての方にぜひ読んでいただきたい、
と思わせられる一冊でした。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

==========================
<今週の一冊>

『働く大人のための「学び」の教科書』
中原 淳(著)



==========================

365日日刊。学びと挑戦をするみなさまに、背中を押すメルマガお届け中。

  • 人材育成に関する情報
  • 参考になる本のご紹介
  • 人事交流会などのイベント案内

メルマガを登録する

キーワードから探す
カテゴリーから探す
配信月から探す