メールマガジン バックナンバー

1883号 2019年4月14日

今週の一冊『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』

(本日のお話 2466字/読了時間3分半)

■こんにちは。紀藤です。

昨日土曜日は、自宅の模様替え。
ワークスペースをより生産的にするために色々いじっておりました。

妻のおさがりの机をもらい、机が1.5倍の大きさになりました。
またディスプレイを追加し、プリンター、本棚の場所を変えたのですが、
非常に機能的になり、座ったままでいろんなことができるようになりました。

些細なことではありますが、小さな工夫をすることで格段に仕事がしやすくなるもの。
”当たり前のことを見直す”こと、改めて重要だなと思った休日でした。

まだ夜はムエタイジム、ならびにランニング。
その他、読書などでした。



さて、本日の話です。
毎週日曜日は、お勧めの1冊をご紹介する今週の1冊のコーナー。

今週の一冊は、

============================

『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』
(著:森下典子)



============================

です。


■この本は、映画化もされ、
樹木希林さんが出演された作品としても有名です。
ご覧になられた方も、多いのではないでしょうか。

私も友人から「ものすごく面白いよ!」と勧められたものの、
なかなか機会がなく、”積読”になっておりました(汗)

しかし最近、礼儀作法というものを学ぶ機会があり、
それがきっかけで本棚から引き出して、何気なく読んでみたのでした。

すると、その面白さにのめり込み、
あっという間に読みきってしまいました。

なんでもっと早く読んでおかなかったのか、、、
なるほど、映画化されるのも、頷ける。

むしろ、映画化され、多くの日本人に、
この本が伝わったことが嬉しく思える作品です。


■さて前置きが長くなってしまいましたが、
この『日日是好日』とは、一体どんな本なのでしょうか?

副題にも「お茶が教えてくれた」とある通り、

「茶道」

について書かれたノンフィクションのストーリーです。

作者の森下さんが、そのライターとしての才能を活かして、
「茶道」を通じて得たことについて、秀逸な表現で、
その経験と学びを”おすそわけ”してくれている、そんな本です。


■私達日本人は、歴史の授業でも「千利休」なる人物を習いました。
日常生活の中でも「お茶」が身近にあります。

”日本の文化とお茶”と言うのは切っても切り離せない関係であり、
誰もがその”お茶の世界”の奥深さを、感覚的に感じているのではないでしょうか。

・しかしながら、その「茶道」というのがどれほどの深さなのか?
・その「茶道」の道の先にどのような気づきがあるのか?
・何のために「茶道」というものが生まれたのか?

そのことを説明できる人は、少ないでしょうし、
言葉にする事はなおさら難しい世界だと思います。

しかし、この『日日是好日』は、
その見えない「茶道の世界」を私達に垣間見せてくれるのです。

そこが、本当に素晴らしい。


■しかし、です。
一点、伝え忘れていた大切なことがあります。

「茶道の学びを伝えてくれる」と上記で書きましたが、
実は、「この本は茶道の本ではない(!)」とも思うのです。
(ややこしくてすみません)

むしろ、「生き方の本」と言ったほうが、正しい。

どういうことかというと、
このタイトルの『日日是好日』に答えがあります。

単純に言ってしまえば、

「毎日が良い日である」

という意味。

この言葉の深みを、この本を読む中で、
少しずつ疑似体験することができるのです。


■私たちは一生の中で良い時もあれば悪い時もあります。

自然に春が来て、夏が来て、秋が来て、そして冬が来る。
実りの時期もあれば、耐え忍ぶ寒いときもある。

しかし、大きな流れの中で生命が回っていくように、
四季があり、十二支があり、循環していくように、
きっと私たち一人ひとりの一生にも、きっとそのような春夏秋冬があるものでしょう。

うまくいっていることがあっても、
それがずっと延々と続くと言う事はなく、浮き沈みがあるのが、人生。


そんな中で、ちっぽけな私たち人間ができることというのは
日々起こることを受け止めて、どんな日だったとしても、
「それでもいい日だった」と心から思えて生きること。

もしそんなことができたら、
幸せであろうが、不幸であろうが、それは良い人生だ、
と言うことができるのかもしれません。


■「茶道」と言う、決められた型・作法の中で、
雨を楽しみ、晴れを楽しみ、静けさを楽しみ、暑さを楽しみ、
暖かさを楽しみ、冷たさを楽しむ。

そんな一つ一つのことを「茶道」の世界の中で感じることによって、
どんなことも良い、毎日がいいし、そのことを感じさせてくれるのだろう、
そんなことをこの本は伝えてくれているように思います。

最後に、この本の中の一説をご紹介します。

(以下、本文より引用)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

会いたいと思ったら、会わなければいけない。
好きな人がいたら、好きだと言わなければいけない。

花がさいたら、祝おう。
恋をしたら、溺れよう。
嬉しかったら、分かち合おう。

幸せの時は、その幸せを抱きしめて、100%かみしめる。
それが多分、人間にできる、あらん限りのことなのだ。

(本文より)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■いまの幸せがいつまで続くかわからない。

私自身、最近そのことをよく、感じます。

両親が健康で、妻がいて、友人がいて、
みんな健康で、好きな仕事ができる。

でも、こんな事が、いつまでも続くかというと、
きっとそんなこともないのだろうな、と思うのです。

この幸せがなくなるかもしれない、という不安はあるけれども、
それでも毎日この幸せを噛み締めていこう。

私はこの本を読んで、そんな「日々の幸せ」に、
感謝する気持ちを強くしました。


この本のあとがきに、
”日本国民全員の副読本にしたほうがいい”
みたいなことが書いてありましたが、本当にそう思います。

日本の文化である「茶道」。
それがかくも素晴らしい文化と言うことを知らずにいた自分が、
もったいないなとすら思える本。

心より、お勧めの1冊です。

============================
<今週の一冊>

『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』
(著:森下典子)



============================

365日日刊。学びと挑戦をするみなさまに、背中を押すメルマガお届け中。

  • 人材育成に関する情報
  • 参考になる本のご紹介
  • 人事交流会などのイベント案内

メルマガを登録する

キーワードから探す
カテゴリーから探す
配信月から探す