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『働くことのパーパス』

今週の一冊『働くことのパーパス』

2866号 2021年12月26日

(本日のお話 2156字/読了時間3分)


■おはようございます。紀藤です。

さて、毎週日曜日は
お勧めの一冊をご紹介する、
「今週の一冊」のコーナー。

今週の一冊は

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『働くことのパーパス』

ハーバード・ビジネス・レビュー編集部 (編集)


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です。



■働くことの目的(パーパス)とは何か。

時代は変わってきていて、
生きるため、食べるためだけに働く、

という考えは、
前時代的なものになりました。


”個人の人生の目的と
 会社における仕事の目的を、
 いかにすり合わせるかという問いが、
 
 働き方の変化が起こる中で
 大きなトピックになっている(本文より)”


とあるように、

働くことのパーパスが
組織運営においても注目されてきました。


今回ご紹介の一冊は

「ハーバード・ビジネス・レビュー」
(ハーバード・ビジネス・スクールの教育理念に基づいて、
 1922年、同校の機関誌として創刊され、
 エグゼクティブに愛読されてきたマネジメント誌)

から、上記のテーマでの
有用な論文を抜粋したものです。


それで一つの特集が組めるくらい
重要なテーマである、

とも言えるのかもしれません。



■さて、ちなみに

「働くことのパーパス」が
なぜ注目されるようになったのか。

それには2つほど理由がある、
と本書の序文で語られます。



まず

「1)価値基準が多元化し、
 全員共通の良いものがなくなったこと」
  
とのこと。

一昔前の日本型雇用における

・企業内のキャリアパスが明確に存在
 ↓
・給与とポジションによる権力・名声が
 階段を上がるにつれて高まっていく
 ↓
・よって仕事におけるゴールは
 自分で設定をする人はなかった

という状態を
皆がどこか共通理解として
思っていた全時代。

インターネットを通じて、
個人が自分なりに情報を集め

必要な仕事を見つけ、
選択するインフラが整いました。



■そして次に、

「2)社会の成熟化が進み、
 ビジネスにおいても、金銭的報酬と同じくらい
 やりがいや働きがいなどの意義が重要になってきている」
 
といいます。

曰く、

・社会が成熟化すると人は生存欲求よりも、
 その個別の意味=文化的欲求を求めるようになる
 
・インタネットネイティブ世代、
 いわゆるZ世代には、金銭的報酬の最大化よりも、
 自分がやりがいを感じられる仕事に優先順位を置く

(『文化進化論』ロナルド・イングルハートより)

とされており、

日本の社会は世界では北欧について
経済覇権を争っている中国や米国よりも
社会の成熟化が進んでいる、

とも言われています。



■しかし、現状はどうか、というと

「Q、あなたは生きがいを感じていますか?」

という質問については

約76%近くの人が
YESと答えることに対して、


「Q、あなたは今の仕事に
 働きがいを感じていますか?」

という質問については
ガクッと下がり”30%以下”になる、

という統計もあるとのこと。


つまり、

仕事のやりがいが
自分自身のいきがいと繋がっていない、

という現状も透けて見えるようです。



■では、どのようにして
著書のタイトルの

『働くことのパーパス』

を個人が見つけ、

そして仕事において
実現することができるのでしょうか?



この問いについて、
厳選された論文が答えの示唆を
与えてくれます。


以下、本書に含まれる
論文のタイトル・著者を
一部ご紹介いたします。


・「仕事への情熱を失ったら、四つの方法で乗り越える」
 (アンディ・モリンスキー/ブラインダイズ大学インターナショナルビジネススクール教授)
 
・「パーパスは見つけるものでなく、自らつくるものである」
 (ジョン・コールマン/著述家) 

・「「天職」ではない仕事に意義を見出す方法」
 (エミリー・エスファニ・スミス/著述家)

・「仕事もキャリアも人生も、パーパスがなければ輝かない」
 (ダン・ポンテフラクト/ポンテフラクトグループ創業者兼CEO)
 
・「目的を成果につなげる「パーパス・ステートメント」」
 (ニック・クレイグ/オーセンティック・リーダーシップ・インスティテュート プレジデント
  スコット・スヌーク/ハーバード・ビジネス・スクール准教授)
  
・「部下がパーパスに目覚める五つの質問」
 (クリスティ・ヘッジス/ザ・ヘッジス・カンパニー社長)
 

など、

大学の教授、著述家、経営者などが
考え方の示唆を提供してくれます。



■一週間に働く時間を
35~40時間とすると、

生涯で働く労働時間は

「80,000時間以上」

となります。

そうすると、個人としても
そこから給与以外の何を得るのか、

を考えることは、
やはり重要な問いだと思われます。



また、これまで
グローバルスタンダードであった

株主資本主義であり、
利益の最大化という考えが、

気候変動、持続可能性への懸念による
SDGs、ESG等の価値創造も
求められるようになりました。


つまり、
企業に求められるものが

「経済一本足打法」

だけではなくなっている、
とも言えます。


そうすると、

企業のパーパスもより
明確にする必要があり、

加えてそこにベクトルをあわせる
個人のパーパスも求められてくる可能性は
ますます高まるのではないか、

そのようにも感じます。



■ということで、

「働くことの目的(パーパス)」

を考えてみたい方は
参考になるお話が満載かと思います。
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<今週の一冊>

『働くことのパーパス』

ハーバード・ビジネス・レビュー編集部 (編集)

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