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2963号 2022年4月2日

高業績チームの「ポジティブな関わりの比率」から学ぶこと ~ロサダの研究より~

(本日のお話 2019文字/読了時間2分半)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は3件のアポイント。
夕方からは16キロのランニングと、
その後、大学院の勉強会など。



さて、本日のお話です。

先日よりお届けしております、

「組織におけるストレングス・ベースの
リーダーシップ・コーチング」

『Strength-Based Leadership Coaching in Organizations
An Evidence-Based Guide to Positive Leadership Development』


について、本日もお届けしたいと思います。

本日の内容は

「第9章  ストレングス・ベースのアプローチによるチーム開発(中編)」

です。

チームに対して、強みにフォーカスをした
アプローチを用いるにはどのようにしたらよいのか、
その考え方やツールをご紹介しているこの章。

興味深いデータも揃っております。

早速みてまいりましょう!

タイトルは

【高業績チームの「ポジティブな関わりの比率」から学ぶこと ~ロサダの研究より~】

それでは、どうぞ。

■「チーム」によって、
成果に大きな違いがある。

このことはスポーツの競技でも、
実際の職場内を見てみても、
どこそこに見受けられますね。

■チームを構成する要素は、
その代表的なものが

”メンバー”

であり、

そのメンバーが、
SSSクラスに最強の能力を持った
スター選手ばかりだとしたら、

当然チーム内容のリソースは
高まっていきます。

■、、、しかし、興味深いのは

「強い選手ばかり集めたチームが
必ずしも勝つわけではない」

ということ。

こういった事例は、
枚挙に暇がありません。

(野球とかサッカーとか
その他スポーツ競技でもよくありますよね)

■その理由は

「グループ・プロセス」

にあるといえます。

グループ・プロセスとは、例えば、

・コミュニケーション
・暗黙の前提
・雰囲気や文化
・関係性

、、、などなどです。

目に見えないけれど、
確かに存在している、アレです。

■では、

「グループ・プロセス」の観点から、
高業績のチームを見てみると、
どのような特徴があるのでしょうか?

このことについて、
興味深い実験があるのです。

大手情報処理企業の、
60のビジネスユニットに対して行われた研究です。
(Losada and Heaphy,2004)

そしてそのことから、

『高業績チームは、
ポジティブな関わりが多い』

などの特徴がわかったのでした。

以下、簡単に実験の詳細を
お伝えさせていただきます。

(ここから)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<業績ごとのチームの「ポジティブ比率」の研究>
(Losada and Heaphy,2004)

○{目的}

・高業績チームは、どれくらい積極性比率が高いのか?
(つまりポジティブな関わりが多いか)を調査する

○{対象}

・大手情報処理企業の上級60ビジネスユニット

○{実験の方法}

・収益性、顧客評価、360°データなどの客観的な成果指標に基づいて、
業績・中業績・低業績に分けられた

・高業績チーム15チーム、中業績チーム26チーム、低業績チーム19チームが
「チーム内の会話の質」について評価された

・肯定的コメントor否定的コメント」どちらが多いか
「自分or外部」、どちらに話題が行くか、
会話のトーンは「質問的or擁護的か」という3つの観点で調査した

○{結果}

・高業績チームは、中業績・低業績のチームよりも

1)「自分 or 外部」の言及のバランス」が取れていた
2)「自己擁護 or 質問」の言及のバランスが取れていた
3)「ポジティブなコミュニケーション」がより多く見られた

ことがわかった、といいます。

※詳細の結果は以下の通り

*「自分-外部」比率について
高業績チーム 1:1  中業績チーム 3:2  低業績チーム30:1

*「自己擁護-質問」比率について
高業績チーム 1:1  中業績チーム 3:2  低業績チーム 20:1

*「ポジティブ-ネガティブ」比率について
高業績チーム 5:1  中業績チーム 2:1  低業績チーム 1:3

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)

■さて、いかがでしょうか。

これ、実に興味深いなあ、
そしてなんだか明るい話だな、

とひとり、興奮してしまいました。

特に、

”「ポジティブ-ネガティブ」比率について

高業績チーム 5:1 中業績チーム 2:1  低業績チーム 1:3”

という部分などはそう。

■今回の調査において、

高業績のチームはポジ:ネガ=5:1

の割合であったというのは、

ついできないことに目が行ってしまい、
欠点追求、是正、否定型で
時に萎縮してしまうこともありうる状況に

新しい考え方(ポジティブな関わり)という、
一つの風を吹き込んでくれるようにも
思ったのです。

■どうしても人は

”できないこと”

に目が向いてしまうことはあるし、

人の弱さゆえか、時にマウントをとる
(相手を下げることで有意に立つ)

ということもありえます。

しかし、一つの調査データから
このような結果が見えると、

少し捉え方を変えることも
可能になるのでは、

と思ったのでした。

■ちなみに、もっと最近の研究では

「ポジ:ネガの比率=3:1」

が最も成果が高まる、と
言われております。

相手の強みを認める。

良いところを承認する。

そんなコミュニケーションを、もっと増やす。

そんなポジティブな視点に軸足を起きつつ、
チームを効果的にしようと思うことで、

更に成果を高めるチームに近づくことが
できるのかもしれませんね。

参考になれば幸いです。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

感謝しているのにそれを伝えないのは、
プレゼントを包んだのにそれを渡さないことと同じである。

ウィリアム・アーサー・ウォード(イギリスの哲学者/1921-1994)

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