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2988号 2022年4月27日

コーチングをする側とされる側の切ないギャップ ~コーチングと従業員満足度・パフォーマンスの研究より~

(本日のお話 2356文字/読了時間4分)

■おはようございます。紀藤です。

先日より大学院にて
「マネジリアルコーチング論」なる授業が始まり、

それに伴って、良質なコーチングの論文を
先生からご紹介頂く機会を得ました。

コーチングについて、
携わっている管理職、コーチの方もいれば
そうではない方もいるかと思いますが、
なかなかに興味深い内容です。

「あー、人ってこういうもんだよね」

と思わず考えてしまいました。

今日はそんな論文の中からの学びを、
皆さまにご紹介させていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは

【コーチングをする側とされる側の切ないギャップ
~コーチングと従業員満足度・パフォーマンスの研究より~】

それでは、どうぞ。

■「コーチング行動は、
部下の従業員満足度に影響を与えるのか?」

このことについて調査をした論文があり、
この内容がなかなかに興味深いものでした。

この研究の目的は、

1,職場においてコーチングがどの程度行われているか
2,上司のコーチング行動と、従業員の職務満足度やパフォーマンスの関連はどうなのか

について調査をした論文です。

※参考論文: Ellinger(2003)『Supervisory coaching behavior employee satisfaction and warehouse』

■ちなみに調査対象は、
倉庫配送センターの約400名に対して
行われました。

ちなみに、なぜ
「倉庫配送センター」なのかというと、

倉庫作業員の報酬は低く、
年間の離職率が100%を超える(!)ことも
しばしばだからだそう。

過酷な労働の割に、
人の育成には時間が割かれていない。。。

そんな現状に対して
この研究は意義深いものだろう、
とのことで行ったとのことでした。

■研究の内容としては

1)コーチングに関する文献を徹底的に調査。
ビジネスシーンに適したコーチング行動を特定

2)模範的なマネジャーがどのように従業員をコーチしているのか
研究結果に基づいた「8項目のコーチング行動尺度」を開発

3)18の配送センターの従業員(438名)と、その上司(67名)に、
それらのコーチング行動の有無についてアンケートを実施

4)結果をデータ分析し、
コーチング行動と、従業員満足度の関係を調査した

というのがざっくりしたお話。

**

※ちなみに、

「研究結果に基づいた上司のコーチング行動」

は、以下の8つになります。

<1)例え話・事例>
「部下が学ぶために、例え話やシナリオ、事例を使っている」

<2)視野の拡大>
「部下が全体像を把握するために、視野を広げるように促している」

<3)フィードバック提供>
「部下に対して、建設的なフィードバックを行っている」

<4)フィードバック募集>
「部下の役に立つように、部下からのフィードバックを募っている」

<5)リソースの提供>
「部下がより効果的に仕事をこなせるよう、リソースを提供している」

<6)考えさせる質問>
「部下が問題を解決するために、解決策を提示するのではなく、質問をする」

<7)期待値の設定と伝達>
「部下に期待を共有し、その期待が組織の大きな目標に繋がることの重要性を伝えている」

<8)相手に踏み込み視点を変える>
「様々な視点を持ってもらうために、従業員と一緒にロールプレイグをしている」

**

■さて、では上記のような
「コーチング行動」を上司がとった結果、

部下の従業員満足度は
どのように変化をしたのでしょうか?



結論、データ分析を行った結果、

『従業員の職務満足度とパフォーマンスと
コーチング行動には相関があった』

ことがわかりました。

比較する要素として、その他の項目、
たとえば、

・従業員の給与
・職務についてからの時間
・教育レベル

などの影響も調べましたが、
職務満足度やパフォーマンスに対して
予測する変数ではありませんでした。

ゆえに、なお一層、

「コーチング行動」が
職務満足度やパフォーマンスにプラスの影響を与える」

と言えるとのことで、

この研究からすると、
コーチング行動を行うことは
マネジャーにとってもとても大切な行為である

と言えそうです。

■、、、が話はここでは終わりません。

個人的に一番おもしろいなあ、と思ったのが、

『上司と部下の認識が違うこと』

でございました。

どういうことかというと、
上記の8つのコーチング行動について、

上司には、
「”あなた”は、◯◯のコーチング行動を、行っているか?」と聞き、

部下には、
「”あなたの上司”は、◯◯のコーチング行動を、行ってくれているか?」と聞き、

比べてみるのです。

「7:強くそう思う ~ 1:強くそう思わない」にて聞いたところ、
こんなギャップが生まれる結果になりました。

**

例えば、

「上司は自分のパフォーマンスとスキルを向上させるために、
仕事に関連する学びの機会を把握できるよう、
積極的に支援してくれますか?」

部下の回答は平均「3.81」。

対して、上記の行動を
”自分自身がやっているか?”という回答について

上司の回答は平均「5.52」

でした。

そして、他の項目も同じように
ギャップがあったのでした。

■この事実から
何が言えそうかというと、

「自分はやっているつもりでも
相手には伝わっていない(可能性がある)」

と言うことが一つ、

そして、

コーチング行動は従業員の職務満足度とパフォーマンスに
プラスの影響を与えることがわかっていつつ、

このようなギャップが上司と部下に生じている傾向が
あるのであれば、

「上司はより意識して、
コーチング行動を実施していくこと」

でちょうどバランスが取れる、
とも言うことができそうです。

■この現象、まさに家庭でもあるやつです。

「俺/私ばかり、いつも家事やってるよ・・・」

と自分がやっていることばかり
大きく見えてしまうところ、

実際にやっている率を冷静に見てみると、
さほど行動していなかった、

みたいなことでしょうか

(自戒を込めて汗)

■効果があることだからこそ、

事実を見て、現場に活用できるように
なりたいものだな、と思った次第です。

コーチングの世界は
まだまだ広そうです。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

他の人に一生懸命サービスする人が、
最も利益を得る人間である。

カーネル・サンダース(1890-1980)

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