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3053号 2022年7月1日

部下育成に影響を与える上司の個人特性とは? ~3つの要因から紐解く~

(本日のお話 2056字/読了時間3分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は3件のアポイント。
ならびに大学院の中間発表のまとめなど。

仕事の忙しい時期と重なると、
なかなか大変でございます(汗)

しかし、時間はなんだかんだ前に進みます。
質はまだまだにせよ、少しずつ、進んでいる気もします。

とにかく手と足と(いちばん苦手な頭も)
動かし続けたいと思います。



さて、本日のお話です。

最近、マネジャーの行動について
調べる機会が増えているのですが、

その中で、

『上司の部下育成行動とその影響要因』

と題された論文が、
「そうだよなあ」と妙にリアルで
興味をそそられるものでした。

今日はそのお話について、皆さまに
学びと気づきをご共有させていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは、

【部下育成に影響を与える上司の個人特性とは? ~3つの要因から紐解く~】

それでは、どうぞ。

■人材育成はとても大切です。

そしてそんな人材育成に最も長く、
そして最も頻繁に関わるのは
人事でも、外部の研修会社でもなく

「上司」

ではないでしょうか。

私たちは、

”職場でのリアルな業務経験から
もっともよく学ぶ”

とも言われます。
(経験学習、とか70:20:10の法則とか)

■その学び方はそれぞれです。

自分自身で試行錯誤する中で、
それぞれの文脈における正解を模索して
”持論”を形成することもあれば

先輩の背中を見て、真似をしたり、
あるいはそれについて上位者から
「こうやるんだよ」と指導を受けるメンタリングなどもあります。

いずれにせよ、私たちは
シャバ(職場での経験)を通じて、
学んでいきます。

■そんな中で、大きな要因が
やっぱり「上司」ではないかと。

部下育成に熱心な上司の下にいれば
学びは促進される可能性は高まる、

と言えそうですし、

部下育成に興味がなく、
放置プレイ全開の上司の下にいれば
学習の機会、振り返りの機会が提供されず、伸び悩む、

という影響も少なからずあるでしょう。

■そんな中

「上司の部下育成行動」について
ご紹介させていただいた論文、

[ 毛呂(2010),上司の部下育成行動とその影響要因]
において

”部下育成行動に影響する個人特性”

を述べている箇所がありました。

上司のどんな特性が、
部下育成行動に影響を与えるのか?

ここについて語られており
実に興味深いものでした。

以下、論文からの一部抜粋になりますが
内容をお伝えさせていただきます。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
論文『上司の部下育成行動とその影響要因』より

<部下育成行動に影響する個人特性>

1)キャリアに関する関心

・メンターが自発的にメンタリング行動(≒部下育成行動)を行う意志は、
その人自身の自己やキャリア、家族についての関心によって形成されると指摘(Kram 1985)

・自己のキャリア形成に対する意欲は
部下の育成を促進することが明らかになっている
(岡田・金井,2006)

2)仕事に対するコミットメント

・キャリア発達研究において、仕事への積極的な取り組みが
部下の育成を促進することが実証されている
(岡田・金井,2006)

3)部下に対する脅威感

・部下育成行動の促進には、部下に対する感情も
重要な要因と考えられている。

メンタリング研究では、
メンターの愛他性がメンタリングに及ぼす影響が実証されている
(Aryee et al.,1996)

キャリア発達研究では、部下への否定的な感情が
部下育成に及ぼす影響を実証している
(岡田・金井,2006)

※毛呂准子(2010).上司の部下育成行動に影響を与える要因
産業・組織心理学研究 2010 年,第 23 巻,第 2 号,103-115(P105)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
とのこと。

■この話を見て、

「やっぱりそうだよなあ・・・」と
心のつぶやきが胸の内側から
もれ聞こえた気がしました。

しばしば思うのですが、

「部下のキャリア相談をする上司は
自分自身のキャリアを考えているのか?問題」

を考えさせられることがあります。

ある上司が

「キミ(部下)は5年後どうしたいの?」

と投げかけいる一方、
どうやらご本人(上司)自身が
自分のキャリアを考えていないように見える、、、

みたいな状況です。

■部下から

「そんなあなたはどうなんですか?」

と詰められることはないにせよ、

「自己のキャリアへの関心」がない上司が、
部下のキャリア開発支援を行うかといえば、
やっぱり疑問です。

だからこそ、

組織としてキャリア自律が大事だ、
個々が自分のキャリアを考えるのだ、

というのであれば、まず上司が
自分のキャリアを考える必要がある、

と改めて思わされました。

■また別の要因の

「3)部下への脅威感」についても、
上げられていることも興味深いです。

部下についての否定的な感情は色々ある中でも、

”優秀な部下を自己の地位を脅かす存在”
と捉える可能性もある、と指摘されるようで

それは綺麗事でなく、
人間心理としてわかる気もします。

ゆえに、適切に自分を律する必要も、
あるのかもしれません。

■この論文で検証した結果

実際に、上記の上司の個人特性の3つ要因は
部下育成行動に影響を与えていることがわかりました。

■当たり前といえば
当たり前の話かもしれませんが、

改めてこのように整理すると、

・部下のキャリアを共に考える上司だからこそ、
自分自身のキャリアも考える必要がある

と言えそうですし

・部下への脅威感が部下育成行動を抑制するのであれば
「自分を超える部下を育てる」等、自分を律する

などの行動も
大切になってくるのではなかろうか、

そんなことを思いました。

■今回の話もしかりですが、

研究など、客観的な視点から
今起こっている事を見てみると、
自分をより望ましい方向に
持っていくことも可能になる、

と感じた次第でございます。

先人の知恵を活用し、
自分を律していきたいものです。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

きみは人生を安易にしたいか。
それならば常に群衆の間にとどまれ。
そして群衆といっしょになって、我を忘れよ。

フリードリヒ・ニーチェ(ドイツの哲学者/1884-1900)
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