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3067号 2022年7月15日

「コーチングコンピテンシー自己効力感尺度(改良版)」のご紹介

(本日のお話 2164字/読了時間3分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は2件のアポイント。
並びに夜は、人事のプロフェッショナルとして
長らくお付き合いさせていただいている方の
転職祝いを兼ねた懇親会でした。



さて、本日のお話です。

大学院の研究で
「マネジリアルコーチング」(管理者のためのコーチング)
をテーマにしているため、
様々な観点からコーチングのあれこれを調べております。

昨日は、Helsin(2006)の論文より
過去の文献レビューから導き出した

『コーチング行動の測定尺度(10の質問項目)』

なるものをご紹介させていただきました。

※詳しくはこちら↓↓
https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/4241504/



ただ、上記はあくまでも一つの切り口。

また別の論文では、
違った観点でのコーチングの尺度を
開発していたりします。

今日は特に

・プロフェッショナルなコーチとして独立していらっしゃる方、
・コーチングスクールで学び始めた方
・コーチング未経験者の方

等にとってお役に立ちそうな尺度がありましたので

本日は論文

『コーチングコンピテンシー自己効力感尺度改良版(CCSES-R)の妥当性』
西垣悦代・宇津木成介(2015)

より引用させていただきつつ、
学びのご共有をさせていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルはそのまま、

【「コーチングコンピテンシー自己効力感尺度(改良版)」のご紹介】

それでは、どうぞ。

■コーチングには

1)マネジリアルコーチング
2)プロフェッショナルコーチング

の2種類が存在します。

前者は、

”企業の管理職がコーチングのスキルを活用して、
日常のマネジメントの中で業務目標を達成しつつ、
部下・後輩の指導育成に取り組むこと”

を意味し、後者は、

”プロのコーチが、クライアントから報酬を受け取り、
目標達成や問題解決のサポートを行うこと”

を指します。

(参考:本間正人・松瀬理保『コーチング入門 第2版』)

■そして、

「マネジリアルコーチング」は、

・クライアントとの関係が上司・部下
・仕事でのパフォーマンスを高めること

が支援の主な目的に対して、

「プロフェッショナルコーチング」は、

・クライアントとの関係は様々
・クライアントの可能性を引き出す支援をする

というより幅広い文脈で支援をしている
傾向があるように思われます。

■どちらも名称はコーチング。

なので、基本的なスキル
「観察・傾聴・質問・承認」などは
共通するとしても、

詳細を見てみると
必要とされるものがやはり変わってきます。



例えば、
「マネジリアルコーチング」では

”業績を改善するために有益なアドバイスをしている”

という項目が挙げられています(Heslin,2006)

これは上司部下では
情報提供的な話も重要視されますが、

国際コーチング連盟で示される
コーチングのコンピテンシーでは
強調されてはいません。

やっぱり若干違うのですね。

■そういった観点で、
「マネジリアル(管理者のための)」
という文脈に依存しないコーチのコンピタンスとは、
いったいどんなものなのでしょうか?

そんな中

独立したコーチとして活躍する人が保有する資格団体で
最も有名と思われる「国際コーチング連盟(ICF)」が示す

”コーチングのコア・コンピテンシー”を軸に考えた
コーチング尺度が開発されています。

それが、今回ご紹介の論文の

『コーチングコンピテンシー自己効力感尺度_改良版』

です。

特徴は「自己効力感」に注目していること。

自己効力感とは、
特定のタスクを成功させるための自分の能力に対する人の信念(Bandura、1977)

とされていますが、簡単に言えば、

「国際コーチング連盟が示す、
コーチング・コアコンピテンシーの中で、
自分はこれができる!と思えること」

と言えるかと。

「これできそう!」という自己効力感が高ければ、
実際に行動に移す可能性も高まるわけで、
それはコーチング行動の重要な先行指標になる、
といえるかと思います。

■では、どのような項目があるのか。

以下見てみましょう。

(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【コーチングコンピテンシー自己効力感尺度(改良版)】

<会話のスキル因子>

・「要点整理」をする
・「質問」をする
・「目的説明」をする
・「たとえ」を持ちいてる
・「明確化」する
・「直感」を用いる
・「タイミング」を重視する

<関係形成と行動支援因子>

・「行動支援」をする
・「目標設定」をしている
・「表現の受止」をする
・「計画を調整」する
・「柔軟な対応」をする
・「気づき」を伝える
・「存在に敬意」を持つ
・「信頼を形成」する
・「非言語」を扱う
・「言葉遣い」に気をつける

<基本態度因子>

・感情に巻き込まれない
・先入観を持たない

(※論文内で「 」の単語しかなかったため、
具体的な質問表現については補足しています)

※西垣悦代・宇津木成介(2015)
『コーチングコンピテンシー自己効力感尺度改良版(CCSES-R)の妥当性』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)

とのこと。

なるほど、、、

直感、存在に敬意、など
比較的抽象度の高い言葉も含まれていることに気づきます。

マネジリアルコーチング行動の測定尺度より、
より「あり方」「関わり方」にフォーカスしているように思えます。

■同時に上記尺度について
このようにも論文で書かれています。

本尺度は国際コーチング連盟の
コア・コンピテンシーを元にして作られており、

・487名のコーチの回答結果より、
内的一貫性が確認された

・同尺度の得点上位群と下位群の間には、
独立コーチかどうか、有志確率、収入、コーチ歴、コーチング実践時間、
コーチングスクール学習経験の有無に有意差が見られる

ことがわかっています。
(つまり信頼おける尺度である、と言えます)

そして、この本尺度は

”コーチング未経験者、
コーチングを学び始めた人などが
使いやすいようにこの尺度を開発した”

と補足されており、
多くのコーチングに関わる人が
参考にできそうなツールとも言えそうです。

■、、、ということで、

コーチングを学んでいる方は、
広く上記についてセルフチェックをしてみると、
自分の上達が見て取れるかもしれません。

そして、コーチングの旅は、
まだまだ続きそうです、

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

善と悪とは誰にでもわかる。
混ざった時に区別できるのが賢者である。

サキャ・パンディタ(チベットの宗教者/1182-1251)

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