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3147号 2022年10月3日

「ソクラテス的質問」が、思考を刺激し、気づきを促す

(本日のお話 1956字/読了時間2分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日日曜日の午前中は
大学院のプロジェクトの介入として
コーチング実践研修の2回目でした。

日曜日の朝から、ご参加いただきました皆様、
ありがとうございます。感謝です。

また午後からは、近くの公園に
家族で遊びにいっておりました。



さて、本日のお話です。

引き続き、コーチングについて
探求をしているこの頃ですが、

同時に関連する書籍を読んでは
自らを律する日々でございます。

本当に、知らないことだらけです。
(伸びしろしかない、ということで
良い意味で、と捉えたいと思います)

そんな中で”コーチングの基礎スキル”
の一つとしての

『ソクラテス的質問』

なるものがあります。

シンプルな問いなのですが、
ゆえに、わかりやすく、
我々が日常でも応用できるものだと感じましたので、

今日はその内容を皆様に
ご共有させていただければと思います。

それでは、早速まいりましょう!

タイトルは

【「ソクラテス的質問」が、思考を刺激し、気づきを促す】

それでは、どうぞ。

■「質問」には、様々な効果があります。

単純に、

質問をすることによって、
質問をする側が得たい情報を得られる、

というシンプルなものもあれば、

質問をすることによって、
質問を投げかけられた相手が、

「問い」により、「考え」が始まり
「言語化する」こと(=答えること)で
自分の思考が明瞭になり、気付きが起こる、

という効果もあります。

また、

質問の答えを周りの人が聞くことで、
ある答えが他者の学びを促す、という
学習の連鎖も起こったりもします。

■そしてコーチングにおける技法
「質問」もまさにその効果を狙っています。

そして、その代表的な質問法に、

『ソクラテス式質問』(Socratic questioning)

なるものがあります。



このソクラテス式質問とは、

欧米の教育会で伝統的に用いられている
「ソクラテス式問答法」という授業法から
端を発しているようです。

『コーチング心理学概論 第2版』(西垣,2022 P51)では
このように説明がありました。

”(欧米の教育会では)
旧来の日本の高等教育にありがちな、
教師が一方通行的に話を進め、学生は黙って
それを聞きながらノートを取る、という形式の授業はほとんどない。

学生は、教師から与えられる知識や情報からではなく、
教師から投げかけられる質問に答えようとして考えを巡らし、
互いに討論しながら学ぶもの、とみなされている。

そこには教師と学生の間の知的緊張感によって作り出される創造と、
それを共有する喜びが存在し、これこそが学びの神髄とされているのである。”

■そして、このように続きます。

”ソクラテス式問答法は、授業だけではなく、
ソクラテス式質問という形で、心理療法の中にも取り入れられており、

特に古典的アドラー心理療法や認知療法、
認知行動療法で重視されている。

ソクラテス的質問は、
セラピストが問いを投げかけることで会話が進み、

クライエントが新たな視点を獲得したり、
気づきを得ることにつながる。”

ソクラテス的質問とは

「問いによって、考えが始まり、
新たな視点を獲得したり、気づきを得る」

そんな質問を意味する、

となります。

■では、ソクラテス的質問とは
具体的にどのようなものなのか?

以下、ご紹介します。

(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<ソクラテス的質問>

1,明確化のための質問
(例:あなたは〇〇についてどのように考えていますか?)

2,クライエントの推測に対する探求
(例:それはいつも起こっていることですか?)

3,理由と対する探求
(例:なぜ、そう思うのですか?)

※Center for Coaching(2014)より

<良いソクラテス的質問の特徴>

・簡潔で明確である
・開かれた質問である
・目的的である
・建設的である
・焦点が絞られている
・決めつけていない
・中立的である
・いつ.どこで.どのように.何を.なぜ(5W1H)を用いる

<その他の質問例>
:問題、感情、認知、身体、行動がより明らかになるような質問5項目

・感情 その時、何を感じたのでしょうか?
・身体 その時、何か身体に変化がありましたか?
・思考 その時、何か思い浮かびましたか?
・行動 その時、どんなことをしましたか?
・問題 その事を、もう少し具体的にお話し頂くとどうなりますか?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)

これらの質問が、

相手の視点を変える、
気づきを与える質問として、
効果的なものである、

とされています。

■普段の会話では、

こうした類の質問は、
なかなか用いないかと思います。

ただ、対話を通じて
相手に気づきを与える、
「学びの場」として活用しようとしたときは、

これらの考え方を知っておくと、

個人にとって学びが深い時間になり、
双方に発見の喜びを共有できる密度が高い時間を
創出することが可能になるのでは、

と思います。

問いとは、実に深いものですね。

ご参考になれば、幸いです。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

芸術は売れなくてもいい。好かれなくてもいい。
芸術は認められなくてもいい。成功しなくてもいい。
自分を貫いてぶつけて無条件に自他に迫っていくことが芸術だ。

岡本太郎

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