メールマガジン バックナンバー

3173号 2022年10月29日

自分のズレを知りにいくー多面評価のススメー

(本日のお話 1854字/読了時間2分)


■こんにちは。紀藤です。

昨日は名古屋への出張。
某ソフトウェア会社の営業リーダーの皆様へ
コーチング研修の実施でした。



さて、本日のお話です。

現在読み進めている本で

『現場でよくある課題への処方箋 人と組織の行動科学』
伊達 洋駆(著)
 

なる本があります。

現場の課題に対する処方箋が
組織行動論のエビデンスに基づいて
先行研究の論文を元に記載されており、
ありそうでなかった一冊。

職場の課題に取り組む上でも、
また学術的に課題を分析する上でも
とても参考になる一冊であり、興味深く拝読しています。



今日はこの本の中から

「多面評価」についての書かれた項目から
引用させていただきつつ、学びを皆様に
ご共有させていただければと思います。

それでは参りましょう!


タイトルは、



【自分のズレを知りにいく ー多面評価のススメー】



それでは、どうぞ。



■「どんだけ自分のこと見えてないの?
  裸の王様だね!」
  
、、、

私が25歳の頃、2日間の泊まりの
フィードバック研修を受けた時、
講師に夜、言われた言葉です。

未だに衝撃を受けた時の記憶が
癒着した後の傷のように
残っている感覚があります。

その時の出来事が、
自分にとって与えた影響は、
良くも悪くも大きかったなと、振り返り思います。



■「フィードバック」は
効果が高い人材育成手法として
知られています。

ただし、インパクトが大きいゆえ、
適切に扱わないと、副作用の方が大きくなる
”劇薬”にもなりかねません。

ショックを受けすぎて
職場の人への不信感が高まる、などなど。
 
(現に私も上記のときは、
 その言い方はないんでないか?と思い
 その後私は講師の人に心を閉ざし、
 ”やり過ごすモード”になりました・・・汗)



■しかし、
効果的なことも、多分にあるのです。

複数の他者からの評価(フィードバック)が
どのように育成につながるのかについて

先述の著書『人と組織の行動科学』にて
このように説明されています。

以下、引用いたします。

(ここから)
***
<多面評価による解決策>

多面評価によって

・周囲からの自分に対する評価
・自分自身による自分に対する評価

の2つを突き合わせることができ。
「自分に対する評価」がより適切なものになるからです。


例えば、「自分は部下をしっかりサポートしている」と
思っている上司がいたとします。

しかし、多面評価を行ったところ、
部下は必ずしもそう思っていませんでした。

自分が思っているよりも、
部下をサポートできていなかったということです。

多面評価によって、
自分に対する評価がきちんとできるようになると、
自分に足りないものも見えてきます。

足りないものを磨いていけば、成長につながります。


※引用:伊達 洋駆(2022)『現場でよくある課題への処方箋 人と組織の行動科学』(P82)
***

(ここまで)



■そうなのです。

悔しいのですが、まさに

”自分が思っているよりできていない”
 
という現象、私のときも、
突きつけられたことは逃げようがない事実でした。


■そしてこれは私だけではなく、

自己評価の傾向データを見ると

”自己評価のほうが
他の人による評価よりも高くなりがち”
 
であることがわかっています。


■また自分の話ばかりでで
恐縮でございますが、

私も先述のフィードバック研修の際、
その多面評価の結果を見ると

周りの人はことごとく
低い点数(5段階評価で2点)なのに
自分は全般的に、4-5点をつけていました。

そもそも自分のことを見えていないし、
自分のことをよく見ようとするバイアスが
かかっていました。

特に能力が低い状態だと、
その傾向が高い、と言われます。

まさに当時の私です。



■そして、その部分を容赦なく
講師の人にツッコまれました。

今振り返り思えば、
以下のようなメカニズムを
狙ってのアクションであったことがわかります。

著書より再度、引用させていただきます。

(ここから)
***

”<自己評価を是正するために多面評価が有効>

 人は放っておくと、自己評価が高くなりがちです。

 多面評価は、周囲による評価を合わせて
 本人にフィードバックすることで、
 自信過剰傾向にメスを入れ、
 自己評価を妥当なものに変換させます。

 自己評価が他の人による評価より高い人ほど、
 多面評価の後に効果が見られやすいこともわかっています。

 自己評価を是正するための方法が
 「多面評価によるフィードバック」を活用するわけです。”(P83)

***
(ここまで)



■実に、わかります。

インパクトがあるからこそ効果もある。

私も衝撃とともに、向き合わざるを得なくなり、
やはり記憶に残る育成の機会にはなりました。

一方、振り返ってみても
その意図を丁寧に説明された、
という記憶はないですし、

”攻撃のためのフィードバックでは”

と当時の私は捉えていたところもありました。

それは私が精神的な未熟のところもままありましたが、
その点については、他のルートもあり得たのかも、と思います。



■多面評価によるフィードバックも、
人材育成のための手法です。

ゆえに、

”さらなる成長のための機会”

として受け取ってもらうことが
大事になるでしょうし、

インパクトが大きい手段として、
丁寧に扱うことが大切なことだな、
そんなことを改めて思った次第です。

※ちなみに、
 多面評価は「上司以外」(同僚や部下)からの
 項目が入っていたほうが評価結果を好意的に感じるそうです。
 部下からの率直なコメントが大事なのですね。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

==========================
<本日の名言>

ものごとを正しく見るには、たった1つのやり方しかない。
ものごとの全体を見ることだ。

ジョン・ラスキン(イギリスの思想家)

==========================

365日日刊。学びと挑戦をするみなさまに、背中を押すメルマガお届け中。

  • 人材育成に関する情報
  • 参考になる本のご紹介
  • 人事交流会などのイベント案内

メルマガを登録する

キーワードから探す
カテゴリーから探す
配信月から探す