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3185号 2022年11月10日

コーチの自己効力感は、コーチングの効果に影響を与えるか? ー論文『エグゼクティブ・コーチングとワークプレイス・コーチングの大規模研究』より

(本日のお話 1954字/読了時間2分)


■おはようございます。紀藤です。

昨日は10名の個別コーチング。
また、夜からは10キロのランニングと
大学院の仲間との打ち合わせでした。



さて、本日のお話です。

本日も「コーチングに関する論文」をネタに
学びを皆様にご共有させていただければと思います。

今日のテーマは

「コーチの自己効力感と、コーチングの効果の関係」

です。


本日の論文は、

『エグゼクティブ・コーチングとワークプレイス・コーチングの大規模研究:
 関係性、性格の一致、自己効力感の相対的貢献』

Haan, Erik de, Anthony M. Grant, Yvonne Burger, and Per-Olof Eriksson. 2016.
“A Large-Scale Study of Executive and Workplace Coaching: The Relative Contributions of Relationship, Personality Match, and Self-Efficacy.”
Consulting Psychology Journal: Practice and Research 68 (3): 189–207.

より、引用させていただいます。


それでは早速まいりましょう!

タイトルは、



【コーチの自己効力感は、コーチングの効果に影響を与えるか?
ー論文『エグゼクティブ・コーチングとワークプレイス・コーチングの大規模研究』より】



それでは、どうぞ。



■コーチングの効果には、
様々な要因が影響しています。

その中で本論文における研究では

「コーチングの効果に対する
 ”有効成分”を分析すること」
 
を目的としました。

そして、

・34カ国1895組のクライアントとコーチから
 データを収集し、

・コーチ・被コーチ・スポンサーの視点から

・1)コーチと被コーチの「協力関係」
 2)コーチと被コーチの「性格」「性格の一致」
 3)コーチの「自己効力感」が
 コーチングの効果にどのように影響を与えているのかを調査した
 
という内容になっています。



■この論文の結論を
先に伝えてしまうと、


”「コーチと被コーチの協力関係」
 「コーチの自己効力感」が
 コーチング効果に影響を与えていた” 


という内容です。



■ただ、この論文において
特に注目したいキーワードが


『自己効力感』


というものです。

自己効力感には、

”ある行動を自分は遂行することができると
 自分の可能性を認識していること”
(Bandura,1997)

という定義があるように


要は「自分はできる!」と思える自信、
のようなものに近いかもしれません。



■そして今回の論文では

「一般化された自己効力感尺度」
(Generalized Self-Efficacy scale)

の10項目を説明変数にし、
コーチング効果にどのような影響を与えているのか、

を調べたのでした。



ちなみにその10項目とは
以下の内容になります。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<一般化された自己効力感尺度>

1 難しい問題でも、頑張れば必ず解決できる
2 もし誰かに反対されたとしても、私は自分の欲しいものを手に入れる手段や方法を見つけることができる
3 自分の狙いを貫き、目標を達成するのは簡単なことだ
4 私は不測の事態にも効率よく対処できる自信がある
5 私は不測の事態に対応できる臨機応変さがある
6 私は必要な努力をすれば、ほとんどの問題を解決することができる
7 困難に直面しても冷静でいられるのは、自分の対処能力を頼りにしているからだ
8 問題に直面したとき、私はたいていいくつかの解決策を見出すことができる
9 困ったことがあれば、たいてい解決策を考えることができる
10 何が来てもだいたい大丈夫だと思う

※Schwarzer, Ralf, and Matthias Jerusalem. 1995.
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

とのこと。



■そしてこれが、成果変数である

「コーチング効果」の4項目

1 内省的な空間を作り出すことに成功した
2 新しい洞察を生み出すことに成功した
3 新しい行動や振る舞いに成功した
4 コーチング全体の成果があった

に影響を与えていた、と言うわけです。




■そして、この論文の結果として

改めて整理すると以下の点について
述べています。

(コーチからみたコーチング効果において)


1)「コーチと被コーチの作業同盟の強さ(課題・目標・絆)」が
  コーチング効果に”有意に関連”している
 
2)「コーチの自己効力感」が
  コーチング効果に”有意に関連”している
  
3)「コーチや被コーチの性格、性格の一致」は
  コーチング効果に”無関係”であった
  
とのこと。


ちなみに、更に言えば、

・”コーチと被コーチが目標を握りあう”と
 ”コーチの低い自己効力感を補う”ことができる

という結果も出ていました。



■なるほど、、、。

「コーチの自己効力感」と「コーチング効果」
は関連しているようだ、

これは自己効力感が大事そうだ、

と思いました。


一方、気になることもあります。

それは上記の結果は

「”コーチからみた”コーチング効果である」

ということです。
(被コーチからの報告はなかったそうな)


■確かに言われてみれば

上記の一般自己効力感尺度に
肯定的な回答をする場合、
コーチング効果も高そうな印象があります。


そういった意味ではこの結果、
「自己効力感が高いとコーチング効果も高い」
というものも、

あくまでも一つの参考としてみる
というスタンスも大切なのかな

そんなことを思った次第です。

(英語が苦手なので、誤って読み解いていなければよいのですが)
いずれにせよ、興味深い論文でございました。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

できると思えばできる、
できないと思えばできない。
これは、ゆるぎない絶対的な法則である。

パブロ・ピカソ

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