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3278号 2023年2月13日

論文まとめ「ファミリービジネスにおける緊張と目標達成の予測因子」

(本日のお話 1901/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日日曜日は、
朝から読書勉強会への参加。

その後、家族で公園にお出かけし、
午後は、知人の紹介でとある本の
出版セミナーのようなものに参加でした。



さて、本日のお話です。

今日はある論文のご紹介を
させていただければと思います。

ちょっとマニアックですが
面白い研究でございました。

それでは早速参りましょう!

タイトルは、

【論文まとめ「ファミリービジネスにおける緊張と目標達成の予測因子」】

それでは、どうぞ。

■「家族で経営する」、

という自営業的なビジネスは
意外と身近に存在しています。

商店街の八百屋さんもあれば

夫婦でカフェを経営したり、

あるいはもっと規模が大きく
何百人と雇用を生み出しつつ
経営幹部にはオーナー一家、

という場合もあります。

■個人的な話ではありますが、
祖父母は中華料理店を経営しておりましたし、

私(紀藤)の経営しているカレッジも
妻を含めたファミリービジネスです。

そうすると、

・仕事でピリピリすると
家庭内にも影響を及ぼす とか

・家庭内で大きな出来事があると(出産、病気など)
ビジネスにも影響がある

などなど、

ビジネスと家庭は切っても切り離せず
双方に影響があるものです。

■そんなファミリービジネスにおいて

「ビジネスの緊張」と
「目標達成」に対して

何が予測因子になっているのか、
を解き明かした研究がございます。

それが本日のご紹介の論文、

『ファミリービジネスの緊張と目標達成の予測因子』

Danes, Sharon M., Virginia Zuiker, Rita Kean, and Jeanette Arbuthnot. (1999).
"Predictors of Family Business Tensions and Goal Achievement.” Family Business Review 12 (3): 241–52.

というものです。

■ということで、

早速この論文の中身について
皆様にご共有させていただければと思います。

以下、まとめてみました。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【論文タイトル】
Predictors of Family Business Tensions and Goal Achievement
(ファミリービジネスの緊張と目標達成の予測因子)

【著者】
Danes, Sharon M., Virginia Zuiker, Rita Kean, and Jeanette Arbuthnot. (1999).

【研究の背景】
・ファミリービジネスに関する文献では、
ファミリービジネスにおけるコンフリクトについて多くの懸念が示されている。

・ファミリービジネスでは
家計管理者(家事を主に行う人)と事業経営者(経営を主に行う人)が存在している。
そして、家族とビジネスの目標の重複が、
ビジネスを強化する可能性も、危険に晒す可能性もある。

・それらは家族とビジネスの目標間の緊張によって生まれる。
しかし、このトピックに関する実証研究はほとんど行われていない。

【研究の目的】
・研究の目的は、ファミリービジネスにおけるビジネス上の緊張と
家族およびビジネス上の目標達成の予測因子を調査することである。

【調査方法】
米国において、414のファミリービジネスの家計管理者と事業経営者に
個別に電話インタビューを行った
(※家計管理者:食事の準備、洗濯、掃除、家族の活動計画、育児の監督を行う者
事業経営者:事業の経営を行う者)

○独立変数:5つの家族及びビジネスの特徴
(業種、事業年齢、事業規模、ストレス、家族の健康)

○従属変数1:7つのビジネス上の問題が生み出す緊張感

○従属変数2:最も重要な事業と家庭の目標達成の成功度合い

【研究の結果】

1)家計管理者は、事業管理者よりも
「高いビジネス上の緊張と高い目標達成度を認識」していた。

2)家計管理者は、事業管理者のどちらとも
「ビジネス上の緊張のレベル」が高ければ高いほど、
「ビジネス目標の達成度」は低くなった。

3)家計管理者は、事業管理者のどちらとも
「家族の健康スコアが高い」場合、
「ビジネス上の緊張は低く」なった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

とのこと。

■ぜひ見ていただきたいのが
「研究の結果」の部分です。

なんとなく、

”仕事とプライベート(家庭)は
切っては切り離せない”

という感覚はあります。

あるいは、

”家庭の健康度が高いと
仕事も比較的うまくいく”
(逆もまた然りかと思います)

というのも分かるような気がします。

このファミリービジネスの研究では、
まさにそのことが示されているようにも思いました。

■また

「ビジネス上の緊張の度合い」

すなわち、

・事業による家族間の不公平な仕事量
・家族と会社の資源の奪い合い
・ビジネス・コンフリクトの解決の失敗
・家族の間で、誰が何をするのかが混乱している
・家族に対する不当な補償
・決定権を持つ者の混同
・同族による事業の不公平な所有権

において緊張が高いと、

「ビジネスの最も重要な目標達成度」

が下がるというのも、
興味深いところです。

■こうした指標があることで、

ファミリービジネスにおいて
健康度の評価などにも役立ちそうだな、
と思いました。

家庭の健康、大事にしたいものですね。
(自戒を込めて)

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

結婚前には両眼を大きく開いてみよ。
結婚してからは片眼をとじよ。

トーマス・フラー
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