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3280号 2023年2月15日

講師が試される瞬間 ーイマイチな回答をした反省を添えてー

(本日のお話 2214字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日はホテルの支配人を対象にした
「OKR研修」の実施でした。

目標設定の理論を組み込みながら
アレンジの上実施をさせていただきましたが

研修評価も上々で、
現場でも実践していただけそうで
嬉しく思いました。

(改めてご参加いただいた皆さま、
ありがとうございました!)



さて、本日のお話です。

個人的な話ではありますが、私(紀藤)は仕事柄
「研修講師」という役割を担っております。

楽しく、充実したことではある一方、
考えさせられること、
葛藤を感じることもある役割でもあります。

ということで、今日は
昨日の研修も振り返りつつ,
「講師」という仕事について振り返り
思うところをお伝えしたいと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは

【 講師が試される瞬間 ーイマイチな回答をした反省を添えてー 】

それでは、どうぞ。

■研修において、
私がよく参加者に投げかける質問に、

「ここまでで、何か質問や
確認しておきたいことなどありますか?」

なるものがあります。

大体、研修内容の単元の一つが終わる頃、
確認の意味で投げかけます。

■その時の参加者の表情で、

「腹落ちしてそうだな」

あるいは、

「疑問に思ってそうだな」

というのが雰囲気や仕草でわかるものです。
(実際は不明ですが汗)

■とはいえ、不思議なもので、

雰囲気から疑問に思ってそうな人に
「どうですか?」なんて水を向けると、

何か質問が出てくることが
比較的多いものですから、

そうした気になる感覚は、あながち
間違っているものではないのでしょう。

■、、、ただし、です。

そんな受講者から質問が出る瞬間は、
すなわち

『講師が試される瞬間』

でもあると思うのです。

一体多の研修の場から、
「一対一の場」として、切り取られた場面。

それは
設計されたプログラム通りにはいかない
その瞬間で相互作用で作られる

”即興の場”

です。

■その際の講師の対応は、
その本人に大きな影響を与えるのはもとより、

受講者の多くの人が
オブザーバー(観察者)として見ており、

まさに講師の実力が
見極められている場とも言えます。

生放送の芸人を見ていて

「この人本当に、ユーモアがある人だな」
(あるいは、台本どおりしかできない人だな)

と思うようなイメージでしょうか。

即興の場では、その人の実力が
透けて見えてしまうかのようです。

■ゆえに、

講師はいただいた質問に対して
常に「全身全霊で返す必要があります。

質問の瞬間に意識すべきポイントを
あえて言葉にするならば、

1、質問いただいた方への感謝と受容を持つこと

2、質問者の意図の背景を短時間で捉えられていること

3、その上で、質問に的確に回答+αをお渡しできていること

ともいえそうです。

たった1分足らずの時間だとしても、

講師への信頼、
研修の場自体への信頼が
その対応の仕方で決まってきます。

上手くいけば
他の方も、もっと率直な質問を
してくれるようになりますし、

逆であれば、
皆が貝のように口を塞いでしまいます。
(ほんとうにそう)

■逆に質問をいただいたときに、

・質問いただいた方に対する尊重がない
(口火を切っていただけたことへの感謝がない)

・質問内容について、
本人が聞きたいことと違う解釈してしまう

・質問者が答えてほしいことに答えていない

となったとすると、
その瞬間に講師と場に対する
「信頼残高」が引き落とされてしまいます。

■加えておそろしいのが、
もしそこで違和感があっても。

「お答えになっていますか?」

と聞いたとしても

「大丈夫です」

としか質問者からは返ってこないことも
大いにあるということ。

■質問者にとって、

「モヤモヤした疑問を言葉にして
明確に表現して他者に伝える」

という行為は難易度が高いこと。

一般的に、そもそも皆の前で
質問をするのもハードルが高いものです。

■ゆえに、

質問者がなんとか言葉にした質問に対して
「なんかコレじゃない感」があったとしても、
大丈夫です、と答えるしかない、
となるように思います。

■そんな風に、

研修講師にとって、
”質問がを頂いた瞬間”とは、

『講師が試される瞬間』

である、と思うのです。

■そして、その瞬間に対して
どのように参加者に向き合うのか?

モヤっとした空気が流れたときに無視して、

「大丈夫なのですね。
では次にいきましょう」

と見て見ぬふりをすることもできます。
しかし、それはバレるのです。

逆に、

「なんとなく、まだ気になることがあるようですが、、、
いかがですか??」

と掘り下げることもできます。

■前者を選べば

とにかく研修をスケジュール通りに
前に進めることはできますが、
”逃げた感”が伝わるでしょう。

後者を選べば

”参加者に対して誠実に相対し
勝負しているスタンス”

を伝えて信頼獲得につながることもありますが
勝負に失敗すれば、

”ますます沼にハマり、失態を晒してしまう”

という可能性もあります。

■、、、とつらつらと
講師を取り巻く状況や葛藤について
言葉にしてみましたが、

何が言いたいかというと

”「質問の瞬間」にこそ
講師の”誠実さ・意図・力量”が試されている”

ということです。

■特に、

自分でも完璧ではない、
まだわかっていないこともある中で、

その質問に答えることは
時に難しく、焦りを生み出します。

ゆえに

短期的には自分が今のもてるものを
ごまかさずに誠実に対峙すること。

中長期的には自分がそれらの質問に対して、
いつ何時も的確に答えられるプロフェッショナルになるために
学び続けること、、、

そんなことの大切さを、
昨日の研修を通じて感じた次第でございます。

■先日の研修において、

いただいた質問に
的確に回答できなかった人からの
アンケートの講師評価の項目が

「講師の説明はわかりやすかったですか?」
→ 6:どちらでもない

と回答された反省として
振り返ってみた、の巻ででした。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

人の言葉は善意にとれ、
そのほうが5倍も賢い。

シェイクスピア
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