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3310号 2023年3月17日

「強み」は大事。「弱み」の対処もやっぱり大事

(本日のお話 2250字/読了時間3分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は終日、外部顧問として
サポートさせていただいている会社の
人材開発チームの皆様への5件のコーチング。

また夜は、前職の上司とのお食事でした。



さて、本日のお話です。

今日も引き続き、
ポジティブ・コーチングのお話を
続けてまいりたいと思います。

今日は、多くの人から
実に、よくいただくご質問、

「強みが大事というけど、
弱みはどうすりゃいいの?」

という疑問をテーマに、
お届けできればと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは

【「強み」は大事。「弱み」の対処もやっぱり大事】

それでは、どうぞ。

■「強み」に注目する、
というアプローチは、

個人と
他者との関係性において
肯定的な感情を生み出します。

個々人が持つ、

自然な思考・感情・行動のパターン(強みのもと)
に注目し、

それらを認識し、
チームで相互補完しながら、
目標に向かって活動することができれば

「幸福感」を高めるとともに
より良い「パフォーマンス」にも繋がると言います。
(Steen, Seligman, Peterson, &Part, 2005)

■基本的に

ポジティブアプローチは
傷つくリスクはなく、ゆえに、
取り組みやすいものです。

「強み」というと、
その響きだけで前向きな空気がしますし、

「自分の強み」を言葉にすれば
自己肯定感が高まるし

他者から自分の強みを
言語化して伝えてもらえると
承認された気持ちがして、
ますます嬉しくなるものです。

身近な人から言われたら
その言葉がしばらく湯たんぽのように
心を暖かくしてくれたりもします。

強みの承認は、心地よく
関係性を向上させ、
チームの信頼を高めるアプローチの一つです。

■そして、

「強みに注目する」アプローチも
そんなに複雑なものではありません。

「強みの開発」では

1)強みのボキャブラリーを増やす
(=ストレングス・ファインダーやVIAなどを活用する)

2)それらを通じて
自分と他者の強みを理解する

3)お互いの強みを承認し、
どのように活かせるか対話する

というシンプルなアプローチです。

シンプルとはいえ

強みという観点自体が新鮮であり、
ポジティブな感情で取り組め、
いぇうに新たな視点を自分と他者に吹き込みます。

やり方さえ学べば

個人と職場において、
比較的容易にメリットをもたらしてくれる
価値のある施策となります。

■一方、その中で

このような疑問を持つ方も
いらっしゃるのではないでしょうか?

それが

「強みに注目するのはいいけれど
”弱み”はどうするのか?」

という疑問です。

確かに、もっともです。

例えば、職場でも、
あるメンバーを見た時に

本人のパフォーマンスを生み出す上で
障害になっている行動があったり、

または誰かを困らせてしまう
考え方や行動があったり

それが職場に負の影響を
与えているならば、

「強みが大事だよね!」

と悠長なことを
言ってもいられないのも
ある意味、当然です。

だって、

「パフォーマンスが出ない」

わけですから。

■ここで大事なポイントは

『「強みに注目する」とは
「弱みを無視する」こととは違う』

ということです。

強みを大事に、といったとて
弱みを無視して良いわけではないのです。



このことを理解する上で
「ヨット」をイメージいただくと
よいかもしれません。

ヨットは、風を受けて
船を前に進める「帆」があります。

『強み』とは「帆」です。

帆(強み)を上手く活用できれば
成果を出すための推進力として
スピードに乗って力強く前に進むことができます。

一方、

『弱み』は船体に空いた「穴」です。

帆(強み)を張ってグイグイ前に進もうとしても、
もし船体に「穴」が空いていたとしたら。

そこから水が侵入し、進むことはおろか
沈没の恐れすらあります。

弱みはまず対処をしなければ、
強みを活用することもままならないのです。

■この話をする時に

私(紀藤)の過去のエピソードを
思い出してしまいます。

私は営業を長らくやってきました。
そして、それなりの成績を出してきたと思います。
(未だに自信があるわけではないのですが、、、)

前前職では
求人広告の営業をしていたのですが、
前の上司にこのように言われました。

「お前は新規も取ってこれるし
大型案件も受注ができる。

でも脇が甘い。

申込書や原稿のミスが多い。
後工程が弱すぎる。

だから信頼されない」

簡単に言うと、
上司からのフィードバックは
こういうメッセージでした。
(うーん、胸が痛い)

つまり、

「営業として数字を出す”強み”はある。

しかし、事務作業が”弱み”。

そこが対処できていないと
ステップアップは望めない」

ということ。

まさに、

”「帆」(強み)は張っているけれど
「穴」(弱み)があいたままなので
全体としての評価が高まらない”

という例でした。

■改めてですが

「強みに注目する」

ことは大事です。

しかし

「弱みに対処する」

ことも同じくらい大事です。

誰かを困らせて
迷惑をかけていることがあるならば、

あるいはパフォーマンスに対して
障害となる問題行動があるならば

その部分については、

”弱みに対処する”

(例:
・誰かに委任をする
・仕組みを作る
・チェックシートや行動リストなどのツールで補填する等)

が必要なのです。

■また、もしマネジャーなど
部下を持つ人であれば、

信頼関係構築としての
強みに注目したアプローチは
重要である一方、

弱みの是正についても、
話し合う必要があります。

もちろん、好き好んで
嫌われたい人はいません。

反発や抵抗の可能性がある
厳しいことをズバっと言うのも、
上司も人。当然ですが躊躇します。

「強みに注目する」アプローチは
信頼関係を育むものではあります。

しかし時に、

言う方も言われるほうも痛みを伴い、
血を流しながら問題点の改善をしようとする
ハードな関わりが必要とされることもあります。

「強みに注目」し、

愛を持って「弱みに対処」する。

そして、

それぞれのヨットを
力強く前に進ませていく
人と組織づくりを目指したいものである

そんなことを思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

もしこちらが親切を続ければ、
たとえ良心のひとかけらもない人間でも、
必ず受け入れてくれるだろう。

マルクス・アウレリウス
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