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3422号 2023年7月7日

本の読み方には2通りある?! ~「古教照心」か「心照古教」か~

(本日のお話 2254字/読了時間3分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は2件のアポイント。
また、夜は勉強会の参加でした。



さて、本日のお話です。

昨日参加した勉強会が
ある雑誌の読書会でございました。

その雑誌とは『致知』です。

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが
「人間学を学ぶ」というテーマです。

”東洋思想や歴史、
他者の人生哲学から学ぶ”

という趣のある月刊誌。

思想に関わるものは
人によって好みの違いが
分かれるところではあるかと思いますが

”人としての原理原則”

にも触れる、とても大切な内容だなあ、
と私は感じております。



そんな勉強会の中で、
先日のテーマが

「学びを活かす」

だったのですが、

その中で皆で話し合った記事の中に

「確かに」と納得させられ、同時に、
「今後も覚えておきたい!」と、
思わされる言葉に出会いました。

今日はその言葉と
そこからの学びについて、
皆様にご共有させていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは

【本の読み方には2通りある?! ~「古教照心」か「心照古教」か~】

それでは、どうぞ。

■戦後、政財界のリーダーが
師と仰いだとされる安岡正篤氏。
(1898~1983)

知る人ぞ知る東洋思想家です。

その安岡氏が半世紀以上前に講話された内容で
『活学(学びを活かす)』という
お話があります。

その冒頭で、
「本の読み方」について
以下のようなお話をされました。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

本の読み方にも二通りあって、

一つは同じ読むと言っても、
そうかそうかと本から始終受ける読み方です。

これは読むのではなくて、読まれるのです。
書物が主体で、自分が受身になっている。

(中略)

もっと上品に古典的に言うと
「古教照心」の部類に属する。

しかしこれだけではまだ受身で、
積極的意味において自分というものの力がない。

そういう疑問に逢着(ほうちゃく)して、
自分で考え、自分が種になって、
今まで読んだものを再び読んでみる。

今度は自分の方が本を読むのです。

虎関(こかん)禅師は、
「古教照心、心照古教」と言っておるが、
誠に教えられ考えさせられる、
深い力のある言葉です。

自分が主体になって、
自分の心が書物の方を照らしていく。

※引用:『致知』(2023年7月号.P21~22)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

■曰く、

「古教照心」(こきょうしょうしん)

=書物を読んで「なるほど」と思う
受け身の読み方のこと



「心照古教」(しんしょうこきょう)

=「心古教えを照らす」とあるように
自分が主体的に本に向き合うことで、
自分の心が教えを照らすようになる、という考え方

この二通りの読み方が、本にはあるよ、
と言っております。

■なるほど、、、、

本からの学びの奥深さを、

『古教照心、心照古教』

という2つの言葉に照らし合わせて、
語られていること、、、、

これまでの読書体験を振り返っても
実に納得してしまいます。

■私の卑近な例で恐縮ですが

私も本を読む時、その多くは

”次から次に新しい本を読む”

ことが多いです。

湯水のように増え続ける情報に、
出版され続ける新しい考えについていこうと
あれやこれやと手を広げます。

ですが、思えば

”著者が人生をかけて書いた重みがある良書は
一度読んだだけで全部理解できる”

という方がおこがましく思えます。

■ゆえに、時折

”この本はもう一度読みたい”

と思える本に出会うことがあるものです。

例えば、私だったら

『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー)

は前職の仕事柄よく読みましたし、
読むたびに、違う視点をもらいました。

あるいは先日、

『リーダーシップの旅』(野田稔、金井壽宏)

をふと読み返してみたのですが、

当時は「なるほど」と
ひたすらインプットしかありませんでしたが

”リーダーシップ”というキーワードも
自分なりに勉強したり、考えた上で

改めて読み返してみると、

「あれ、こんなこと
書いてあったっけ?」

と当時自分の心が反応しなかった部分に
興味を惹かれることがあり、
新鮮に感じたのでした。

”心教えを照らす”なんて
偉そうな事は言えませんが、

少なからず変化している自分が
著書と向き合った時に、
それは新鮮な体験になることを感じました。

■「学ぶ」ということは、

”新しい知識を獲得する”

だけを意味しません。

「知識を学ぶ」とか
「スキルを獲得する」ことも大切な学びです。

しかし、

「様々な経験をする中で
己自身を振り返る」

ことも、重要な学びです。
(まさに『経験学習』というやつですね)

そして、自分を見つめるための
一つの方法として

”かつて読んだ書を
もう一度今の視点で読んでみる”

ことは、当日の自分と
今の自分の世界のみえ方が、

どう変わっているかを試す、
一つの試金石のようです。

■そんな風に
「学ぶ」という観点をより広く捉えて、
「本を読む」としたときに、

例えば一度目は

・「古教照心」(こきょうしょうしん)
(書物を読んで「なるほど」と思う受け身の読み方)

でちろん良いのでしょうが、

これは良書だと思えるような
本と出会った時は、

二度目、三度目、改めて読んでみて、

・「心照古教」(しんしょうこきょう)
(自分が主体的に本に向き合い、自分の心が教えを照らす読み方)

を積極的に試すことも、
とても価値があることだと思えます。

そんな二通りの読み方ができるようになると、
より良質な学びにつながるのかな、

そんなことを思いました。

■今一番読み返している本は

『鬼滅の刃』(やっぱ面白い)

ですが、それ以外の書も、
「心教えを照らす」というスタンスで
向き合ってみたい、

自戒を込めて感じた次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

いつも自分をきれいに明るく磨いておくように。
あなたは自分という窓を通して世界を見るのだから。
Better keep yourself clean and bright; you are the window through which you must see the world.

ジョージ・バーナード・ショー
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