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3504号 2023年9月28日

現実において、皆が「勇者」になる必要はない

(本日のお話 2352字/読了時間3分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は1件のアポイント。

また研修プロジェクトに関する
事前インタビューの実施でした。



さて、本日のお話です。

先日、大学院の仲間と
お酒を飲みながら話をしていた際に、
「キャリア」の話になりました。

そこで出たお話が

「現実のキャリアにおいて、
皆が”勇者”になる必要はないよね」

という内容で盛り上がったのでした。

今日はそんな話を絡めて、
思うことをお伝えできればと思います。

それではまいりましょう!

タイトルは、

【現実において、皆が「勇者」になる必要はない】

それでは、どうぞ。

■小さい頃、

「ファイナルファンタジー(FF)」
(ロールプレイングゲーム)

に、没頭したものでした。

ドラクエ派とFF派。

それぞれ分かれておりましたが、
私は断然、FF派でした(どうでもいい笑)。

その世界観はとても魅力的で、
没頭をしすぎてスーファミ(スーパーファミコン)を
親に庭に投げ捨てられるまでやっていた記憶もあります。

■このRPGの世界観は、
実によく出来ています。

たとえば、
そのキャラクターを成長させるのには

「ジョブ」

という概念がありました。

ジョブの種類としては

・剣士
・魔法剣士
・忍者
・モンク
・弓使い
・踊り子
・吟遊詩人
・黒魔道士
・白魔道士
・赤魔道士

などが一例としてあり、
ゲームを進める中で、それぞれの
「ジョブ」を極めていくわけです。

■その中でも、主人公的なキャラには、
「経験値」を集約させて、

剣士→モンク→黒魔道士→白魔道士

と「ジョブ」をいくつもまたいで
様々な能力を習得させます。

すべての領域において
「最強」を目指すわけです。

まさに「勇者」的なポジション。

レーダーチャートのバランスがとれており、
すべての基準が高い、エリートビジネスパーソン(?)
みたいなイメージでしょうか。

■しかし、ゲームの世界においてでも
「勇者」になるためには条件があります
それは、

1、キャラクターが持つ潜在能力があること
2,大量の経験資源(バトル)を投入すること

です。

この組み合わせが揃って初めて
勇者への階段をのぼることができる、
とも言えるかも知れません。

では、それを実際に
すべてのキャラクターにできるかというと
やはりそれは難しい。

その潜在的な能力もバラつきがあるし、
経験資源の集中においても難しいのです。
(色んなキャラを等しく成長させないとボスに勝てない)

■、、、と、

ロールプレイングゲームの話を
熱く語ってしまいましたが、

この状況は現実における

「キャリアの道筋」

に実に似ていると思うのです。
(ジョブ、といっていますしね)

■キャリアの理論で有名な
キャリア・アンカーを提唱した
エドガー・シャイン博士は、

”組織内のキャリアを形成するには
3つの方向がある”

といいました。そしてそれを

『組織の三次元モデル』
(キャリア・コーン)

というモデルで示しました。

キャリアにおいける

1)「縦軸」
2)「横軸(円周上の横移動)」
3)「奥行き(中心に向かう)」

の3つで成り立つ、円錐図で表現されるモデルです。
具体的には、以下のような内容です。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『組織の三次元モデル』(キャリア・コーン)

1)「縦軸」 = 階層(組織の垂直方向)

職位や職階を上がる(下がる)移動。
(例:係長、課長、部長などの職に就く)

2)「横軸」= 機能(円周上の横移動)

職能(専門領域)での移動。
(例:営業部門から人事部門へ)

3)「奥行き」= 部内者または中心性(中心に向かう)

特定の職の部門で長く職務に就くことによって、その職のエキスパートになる。
重要な情報にアクセスしやすい位置となる(部内者化)。
地位・機能が同一のまま、組織にとっての自己の重要性が変化する。

参考:労働政策研究・研修機構(JILPT)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

■そして、組織内での
「出世ポジション」というのは、

営業→開発→経営企画→海外駐在など
いわゆる様々な職種を経験し(横軸の移動)

それを繰り返しつつ
主任→係長→課長→部長と
その階層を上がっていきます(縦軸の移動)。

まさに「(RPGのおける)ジョブ」を
変わって勇者に近づくようなイメージ。

横を移動しつつ、縦へも上がっていく、
そしてそれが、伝統的出世コースであり
かつては”目指すべきキャリア”とされていたもの、

とも感じられます。
(まさに『島耕作』のように)

■ただ、いわずもがな

そのような横と縦の移動を繰り返し、
「勇者」になっていく人はごく僅かです。

どちらかというと、
レーダーチャートが尖っており、
バランスに偏りがある人のほうが現実は多いでしょう。

(いわゆる、「超・モンク系」とか「超・魔道士系」みたいなイメージ。
あるところでは強いが、あるところでは全然力を発揮できない)

あるいは、
どの「ジョブ」もちょっとずつ経験する
幅が広い系の人もいるかもしれません。

好奇心の赴くまま、横移動を繰り返す中で、
自分の戦い方を見つける人もいるかもしれません。

■ここで思うのが
そうした「人のバランスの偏り」を含めて、
人には色々なカラーがあるということ。

そこでキャリアの道筋も
一つのモデルにとらわれるのではなく、

「”ジョブ”を極める」
(奥行一点張り)

という道は、メンバーシップ型→ジョブ型の流れにおいて
もっとこれから重宝されると思うわけです。

すると、
それぞれの”ジョブ”において
何が自分に向いており、

その道を極められるかを考えることが
私達に求められることなのだろう、と思われます。

現実においては
皆が「勇者」になる必要はない、、、

それぞれの人のパーソナリティのカラフルな違いと、
これからの時代の流れを考えて、そんなことを思った次第です。

自分の道を見つけ、歩みを進めていきたいものですね。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

事を成し遂げる秘訣は、
一時に、ただ一時をなすにあり。

エイブラハム・リンカーン
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