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3537号 2023年10月31日

「強みの介入」のレビュー論文 ~8つの研究からわかったこと~

(本日のお話 2543字/読了時間3分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は、終日外部人事パートナーとして
関わらせていただいている企業様への

システムコーチングの実施、ならびに
『人材開発・組織開発コンサルティング』の読書会の実施、
その他個別コーチングなどでした。



さて、本日のお話です。

本日も「強み」に関する論文を
ご紹介させていただければと思います。

今回の論文のテーマは

「強みの介入」

です。

その当時の「強み介入」の研究をまとめ、
今後の研究で必要とされている論点が整理されていました。


ということで、今日はこの論文からの学びを
共有させていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは



【「強みの介入」のレビュー論文 ~8つの研究からわかったこと~】



それでは、どうぞ。



■本日ご紹介する論文は、


『「強みの介入」:成果を向上させるために知見を積ねる』

Quinlan, Denise, Nicola Swain, and Dianne A. Vella-Brodrick.(2012).
”Character Strengths Interventions: Building on What We Know for Improved Outcomes.”
Journal of Happiness Studies 13 (6): 1145–63.


です。

約10年前、2012年の論文となるので、
それから研究は進んでおり、
新たなこともわかってきていますが、

その当時の「強みの介入」について
どのような種類があり、どのような結果になっているのかを
まとめた論文です。



論文をいくつか読み進めていると、

”「強みの介入」がどこから始まって
 どのように派生しているのか”
 
を見つめることにもなり、
なかなか興味深いです。



■、、、ということで、この論文の
内容を簡単に紹介させていただきます。


まずこの論文では、

1,ウェルビーイングを高めるために
  強みの分類等を明示的に伝えている論文 

2,介入前後の測定と比較群を用いている論文

この2点を、ポジティブ心理学が登場して
約10年ほどの歳月を経た際の調査となります。

その結果、8件の論文が相当した、としました。



■その論文の内容を
ざっくりとご紹介すると
以下のような内容になります。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<「強みの介入」の研究> (2012年当時)


◯セリグマンら(2005)
・介入戦略:「自分の強みを新しい方法で活かす」

・介入対象:一般成人 577名
・介入期間:1週間
・介入結果:「1週間、強みを新しい方法で活かした人」は、幸福感において6ヶ月間有意な改善を示した
  ただし「より頻繁に使っただけの参加者」は一過性の効果のみだった。

**
  
◯オースティン(2005)
・介入戦略:「過去と未来の成功にどのような強みがあるのかを特定する」

・介入対象:高校1年生 527名
・介入期間:6週間
・介入結果:介入群の生徒は、学業効力、学業期待、学業自己啓発に関する自己認知の尺度において、
  対照群よりも有意に高い点数を示した。

**

◯ミッチェルら(2009)
・介入戦略:「さらに伸ばしたい強みトップ10の中から3つを選ぶ」

・介入対象:一般成人 160名
・介入期間:3週間
・介入結果:主観的幸福を評価する尺度において、対照群よりも有意に幸福感を向上させた。
  ただし、肯定的・否定的感情や生活満足度の尺度は向上しなかった。

**

◯ラスト、ディースナーら(2009)
・介入戦略:「強みと弱みorまたは2つの強み」を伸ばし、週ごとに強みの記録と振り返りを行う」

・介入対象:大学生 131名
・介入期間:12週間
・介入結果:介入群のほうが有意に幸福感が高まった

**

◯ラシッド(2004)
・介入戦略:「トップの強みを頻繁に活用し、弱みを1つ伸ばす計画を明確に立てる」

・介入対象:大学生 65名
・介入期間:15週間
・介入結果:対照群よりも有意に幸福感が高まったと報告された。
  ただし、上位5つの強みの変化だけであり、下位の強みやより劣る強みを伸ばしても、幸福感の変化は見られなかった。

**
   
◯プロクターら(2011)
・介入戦略:「新しい強みを学び、他人の強みを認識する」

・介入対象:高校生 258名
・介入期間:6週間
・介入結果:ー


◯セリグマンら(2009)
・介入戦略:「強みを特定し、それを新しい方法で活用する」
・介入対象:高校生 347名
・介入期間:9ヶ月
・介入結果:ー

**

◯ゴビンディとリンリー(2008)
・介入戦略:「強みの活用と幸福を支援するためのストーリーテリングと集会」

・介入対象:小学校 全体
・介入期間:6ヶ月間
・介入結果:生徒の自信、達成意欲、行動、教師との関係、レジリエンス、学校風土の改善に繋がった。


※介入結果「ー」の部分は、
 論文内から結果を読みとることができませんでした。。 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

とのこと。



■なるほど。

この研究でピックアップした論文では
また介入の手法も、

◯強みの特定
・「新しい強み」を学ぶパターン
・「過去や未来」から強みを見つける

◯強みの活用
・「上位の強み」を活用し、伸ばすパターン

◯弱みも含める
・「強みor弱み」を選んで伸ばす

などのパターンがあるようです。

かつ、介入期間も数週間から数ヶ月まで
実にさまざまですね。



■本論文では

「ポジティブ心理学」を
土台にした論文とのことで
ウェルビーイングへの影響を見ていますし、

対象も、

一般成人向け 2件
大学生 1件
高校生 3件
小学生 1件

と幅広く実施されているようです。



■こう見てみると、全体として

”上位の強みに注目し、活用する→ 幸福感が高まる”

ことは傾向として言えるのだろう、
と言えるのでしょう。



しかし、より細かく見ていくと
以下のことも言えるようです。

・「介入期間が長いほど効果サイズが大きい」
(※ポジティブ心理学介入のメタアナリシスと一致している
  Sin and Lyubomrsky, 2009)

また、

・「トレーニング6ヶ月後まで、効果は明らかにならない」
 (※新しい概念やスキルを導入する上では「スリーパー効果」が示されている。
  参加者がスキルを内面化し、使用する機会が必要 Jaycox et al, 1994)
  
なども示されていました。


あるいは、強みと言っても

・子供は「希望」「チームワーク」「熱意」が高い傾向
・大人は「審美眼」「誠実性」「リーダーシップ」「オープマインド」が高い

などの年齢による違いもあるようです。



■どの論文も、
いつ何時も絶対当てはまるものはなく、

論文の限界があるとされますが、
それらを含めて、共通性やさらなる探求が必要なことを
考えることができる内容だな、と感じました。


まだまだ日本での研究も少ないようですので
それらも調べてみたいと思った次第です。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

子供は誰でも芸術家だ。問題は、
大人になっても芸術家でいられるかどうかだ。

パブロ・ピカソ
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