メールマガジン バックナンバー

3539号 2023年11月2日

「強みの介入」が、色んな幸福感にどのような影響を与えるのか?をガッツリ調査した論文

(本日のお話 2013字/読了時間3分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は2件のアポイント。
ならびに、以前から勉強会でご一緒させていただいている
経営者の皆様との懇親会でした。

「1年のニュースと、残り2ヶ月で何をするか?」

という前向きなテーマで話し始めましたが
皆様、たいへん精力的に活動をされており
大いに刺激になりました。

さらに土台を固めつつ、
自分も楽しみながら進んでいきたい、

そんな事を思った時間でした。



さて、本日のお話です。

今日も「強み」に関して
論文のご紹介をさせていただければと思います。

本日の論文は、2017年に発表されたもので

”強みの介入が、
一般的な幸福感と、仕事に関連した幸福感に
それぞれにどのような影響を与えるのか?”

を調べた論文となります。

ということで、早速まいりましょう!

タイトルは、

【「強みの介入」が、色んな幸福感にどのような影響を与えるのか?をガッツリ調査した論文】

それでは、どうぞ。

■「強み」✕「幸福感(ウェルビーイング)」。

もう、この領域では
かなり王道の組み合わせで、
よく見るタイトルだなあ、

なんて思っておりました。

、、、が内容を見てみると、

本論文では、調査方法が
かなり精緻に設計されており
その結果も大変説得力があるものでした。

論文のタイトルは、

『一般的幸福感、仕事に関連した幸福感への強みの介入の効果:ポジティブ感情を媒介として』

原題:Meyers, Maria Christina, and Marianne van Woerkom.(2017).
Effects of a Strengths Intervention on General and Work-Related Well-Being: The Mediating Role of Positive Affect.”
Journal of Happiness Studies 18 (3): 671–89.

です。

■さてではこの論文、
どんな特徴があるのでしょうか?

まず、わかりやすいのが
いわゆる研修評価でいう

”2群事前事後デザイン”

と呼ばれるものを使って
介入効果を分析しているところ。

2群事前事後デザインとは、すなわち、

1)今回の介入対象である実験群(実践群)と、
対照群(非実践群)をそれぞれ調査する(2群)

2)介入前の状態と
介入後の状態の変化を測定する(事前事後)

と呼ばれる方法になります。

そのようなデザインにすることで、

「今回の”強みの介入”が
影響をもたらしたのかどうか?」

を抽出して理解することができる、となります。

(そうしないと、

”たまたま今回の参加者がそうだったんじゃね?”
”働きかけの内容よりも、選ばれたという高揚感が
スコアを挙げたんじゃね?”

みたいなツッコミがはいる余地が出来てしまいます)

■では、今回の論文のポイントについて
以下整理してみたいと思います。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【論文まとめ「一般的幸福感、仕事に関連した幸福感への強みの介入の効果:ポジティブ感情を媒介として」】

<仮説>

「強みの介入」に参加することで、
一般的な幸福感(「心理的資本」と「人生満足感」)、および
仕事に関連した幸福感(「ワークエンゲージメント」と「バーンアウト」)が増加し、
「ポジティブ感情」がこれらの効果を媒介する

<研究方法>
・オランダ人 116名(社会人、71%が女性、平均年齢42歳)
・介入前、介入後、1ヶ月後のアンケートに回答した

・調査項目は以下の5項目である。

・一般的な幸福感
1,「心理的資本」
2,「人生満足感」

・仕事に関連した幸福感
3,「ワークエンゲージメント」
4,「バーンアウト」

<結果>

・強み介入に参加することで、
-従業員の「ポジティブ感情」が短期的に増加した。
-「心理的資本」が短期的・長期的に増加した。

・一方、強みの介入により
「人生満足度」「ワークエンゲージメント」「バーンアウト」、
それぞれに対する直接的な効果を示す証拠は得られなかった。

・ただし、媒介因子である「ポジティブな感情」を介した
間接的な効果を支持する結果が得られた

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

とのこと。

■この調査の結果は、

「強みの介入」は、
心理的資本、ポジティブ感情を直接高めるけれど、

ワークエンゲージメント、
人生満足度、バーンアウトは直接高めない、
(間接的には高まる)

という内容であり、

想像できる内容といえば
そのようにも思えます。

■一方、個人的に私が興味深かったのが、

本論文で用いられている
様々な解析手法でした。

私は統計的な読み解きが
本当に苦手であり、

・ANOVA(分散分析)とか
・多変量解析(MANOVA)とか
・反復測定ANOVA(Repeated Measures ANOVA)とか
・95%ブートストラップ信頼区間

とか専門用語を並べられると、
頭がフリーズモードになります(汗)

しかしながら、

そうした手法によって

・時間は影響はいかほどのものか?
・群の影響はいかほどのものか?
・交互作用はあるのか?

などを一つ一つ数字で記述されることで
確かに説得力を持って伝わってきます。

ChatGPTのおかげで、
たとえば上記の専門用語たちも

「中学生でもわかるように教えて」
と色々と質問しながら読むと、
かなりわかりやすく教えてくれます。

統計がよくわからずとも
なるほど、なるほど!と
だいぶわかった気になれました。

(本当に理解できているか知りませんが
まずは慣れということで、
ちょっとずつ理解を深めたいと思います)

勉強になる論文でございました。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

=========================
<本日の名言>

幸福とは、そのまま変わらないで欲しいような、
そのような状態である。
フォントネル 「幸福論」
==========================

365日日刊。学びと挑戦をするみなさまに、背中を押すメルマガお届け中。

  • 人材育成に関する情報
  • 参考になる本のご紹介
  • 人事交流会などのイベント案内

メルマガを登録する

キーワードから探す
カテゴリーから探す
配信月から探す