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3440号 2023年7月25日

「研修をする人」から卒業しよう、と思った日。 ~『人材開発・組織開発コンサルティング』/第一章 企業における人材開発・組織開発の役割を読んで~

(本日のお話 3833字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

先日より祖父のお見舞いと
ワーケーションを兼ねて宮崎に来ております。



さて、本日のお話です。

みちのく津軽ジャーニーラン(263km)のお話が
先日で終了となりました。

今日からは新シリーズ(?)とのことで

私も学んでおりました
立教大学大学院 経営学専攻リーダーシップ開発コース(LDC)の主査
中原先生が執筆された、

人材開発・組織開発の「日本初の教科書」である

『人材開発・組織開発コンサルティング 人と組織の「課題解決」入門』
(中原淳/著)


を題材に、

第一章からまとめと感想を
記述していきたいと思います。

私もまだ途中ではありますが、
本書は、人材開発・組織開発に携わる方にとって
バイブル的な一冊になると感じております。

それでは、早速まいりましょう!

タイトルは

【「研修をする人」から卒業しよう、と思った日。

~『人材開発・組織開発コンサルティング』
第一章 企業における人材開発・組織開発の役割を読んで~】

それでは、どうぞ。

■「経営に資する人事」。

立教大学 大学院(LDC)で
胸に刻まれた言葉の一つです。

私(紀藤)は人事ではありませんが、

「外部支援者としても
経営に資する」

ことはできているのだろうか?

と、常に考えさせられるようになりました。

■ふと振り返れば、

前職で働いていた
人材開発の会社でも似たことは
語られていました。

「ビジネスインパクトを与える提案を」
「クライアントが成すべき仕事(Job to be Done)は何かに注目せよ」

そう、言われていましたし、
それを枕詞にして、提案もしようとしていました。

、、、ただ、振り返れば

(お恥ずかしながらですが)

・ビジネスインパクト
・クライアントが成すべき仕事

というのが何を意味するのか、
はよくわかっていなかった、

と言わざるを得ません。

結局、

「プラスチック・ワード」
(=ツルツルしたプラスチックのように
表面を撫でても上滑りして、本質にはたどり着かない言葉)

のように、

重要なことを言っているようで
何も語ることができていない、

という状況だったのかもしれない、
そのように思い返して感じます。

もちろん提供してきた研修が
「価値がない」とは全く思いませんが、

「経営に影響を与える人材開発の施策」

として

・どうして必要といえるのか?
・それが与えるインパクトとはなにか?
・そもそも企業活動における立ち位置とは?

を明確に言葉にできなかった、
というのは認めざるを得ません。

■さて、前置きが長くなりましたが

そんなことを考えさせられたのが、

『人材開発・組織開発コンサルティング』
~第一章 企業における人材開発・組織開発の役割~

です。

第一章のタイトル通り、

「企業における人材開発・組織開発」が
どのように役立つのかについて述べられています。

例えば私(紀藤)が曖昧にしていた

「ビジネスインパクトとはなにか?」

のような曖昧な言葉を、
誰もがわかるように噛み砕いてくれた章、

とも言えるかと思います。

■では、この章では

どのようなことが書かれているのでしょうか。

私が印象的だったところを
中原先生の言葉をお借りしつつ、
まとめさせていただきます。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【第一章 企業における人材開発・組織開発の役割 のまとめ】

<1,「人材開発・組織開発コンサルティング」について>

◯定義
・人材開発・組織開発の科学知・臨床知を学び続ける人々が、
その専門性を発揮しつつ、クライアント組織の戦略実現のために、
クライアントに寄り添いながら、
クライアントが自らの抱える人材課題・組織課題の課題解決を行えるように、
支援していくこと

◯ポイント
1)プロのコンサルタント、コンサルティングファームに勤務する人の専売特許ではないこと
人事部・経営企画部に所属していなくとも、人材開発・組織開発を学ぶ人には
実行できる知見である。

2)組織の中の、人材課題・組織課題の課題解決を目指すこと
(現状:As is → ありたい姿:To Beを見極め、その距離(GAP)を
科学知と臨床知を用いながら埋めていくこと)

3)現状とありたい姿の距離(GAP)を埋めていく作業は、
現場にいるクライアントや関係者に寄り添いながらサポートしながら行われること
(コンサルタントとクライアントの対話が必要)



<2,企業の戦略における人事>

◯企業活動の5ステップ
・企業活動は、ざっくり以下の5つのステップである
「1)市場を探る」
「2)戦略を立てる」
「3)戦略を現場が実行する」
「4)現場が商品・サービスを市場に届ける」
「5)提供した商品・サービスに対して対価を受け取る」

◯企業活動を支えるヒト

・このサイクルを回し続けるために必要な資源が、
いわゆる「ヒト・モノ・カネ」である。
その中で「人的資本経営」と呼ばれるように、
”ヒト”への要素への注目が高まっている。

しかし、”ヒト”は「取扱い注意」の資源である。
なぜならば変わりやすく、怒ったり、泣いたり、
元気になったり、元気がなくなったりするからである。
ゆえに、ヒトとは「最も扱いにくい資源」であるとともに
「最も期待に満ちた資源」であるといえる。

そのヒトに対して、科学知と臨床知を駆使して、
「人の能力ややる気を伸ばし、組織を動かす」営みが人材開発・組織開発である。

◯戦略実現に貢献する人事

・人事部というと「戦略」の対極のイメージで語られることも多い。
一般には、採用や研修、労務管理などを行う保守的なオペレーション部隊
というように。もちろん、それも重要な仕事である。

・しかし、近年は人事に対する期待役割が変わっている。それが
「人と組織の観点から経営や現場にインパクトを与える」ことである。

・「戦略人事」。その意味は
”企業の戦略実現に必要な人材を確保し、彼/彼女らに行動してもらい
経営にインパクトを出す”こと。

・大変革の時代で、”AIに仕事を代替される”ともいわれるが、
業務の中には、対人関係調整や、即興的反応を必要とする仕事が多い。
人でしか対応できない仕事、そこにこそ人材開発・組織開発が求められる。



<3,人材開発・組織開発が果たすべき役割>

◯人材開発・組織開発は学んで終わりではない

・「経営戦略を実現する上で
人材開発・組織開発が果たすべき役割はなにか?」、
つまり”経営にインパクト”をもたらすことが大事だが
とかく忘れがちである。

・人材開発= 個人に対して、知識やスキルを学んでもらう、
マインドに変化をもたらすなど「人が学ぶというメカニズム」を「手段」として利用する。

・組織開発=「人と人の関係を変える」ことを「手段」として用いることで
組織がしっかりとワークするように働きかけ、企業の戦略実現に寄与する。

・しかし、経営にインパクトを与えるには
”自分の人材開発・組織開発だけに頼らないこと”が大事である。
多くの人と組織の課題は、人事施策とセットにして初めて課題解決ができる。

◯人材開発・組織開発がもたらすインパクトとは?

・1)人的資源におけるインパクト
(例:離職率・定着率・組織エンゲージメントなどのKPI)
2)職場へのインパクト
(例:ストレスチェック、職場ごとのエンゲージメントなど)
3)経済的なインパクト
(例:売上・利益などの経営指標)

・人材開発・組織開発がもたらすインパクトとは
「間接的なメカニズム」を通して、利益・売上につながる。

戦略と市場→ 現場の行動変容(望ましい行動)→ 成果(利益)

この現場の行動変容に働きかけるのが
人材開発・組織開発であるため、「直接的ではない」ことを
留意しておく必要がある。

・それが「この研修やっていくら儲かるの?」という愚問に対しての
一つの答えである。(また、その他の間接的に成果に与える変数を
全て考慮することは極めて難しい)

※参考・引用:
『人材開発・組織開発コンサルティング 人と組織の「課題解決」入門』(中原淳/著)
P1~P47

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

とのことでした。

■うーん、なるほど。

そうでした、そうでした。

改めて授業で学んだことを
復習する機会になりました(苦笑)

そして、

「経営戦略に資する人材開発・組織開発」

というキーワードが
改めて胸に刻まれたようです。

■大学院の授業では、

最初の春学期に「経営学」について学びます。

また、

経営学(MBA)を卒業された同期や
バリバリのコンサルや経営をされていて
経営戦略を実感値として理解されている同期が語る

”人材開発・組織開発”

が説得力を持っていた用に感じたのも
「経営に資する」という部分のつなぎが、
明確だったからなのかも、、、

そんなことを思い出しながら感じていました。

改めて、

”経営として目指す場所”
(市場の理解、戦略の理解、現場の理解など)

の理解がとても重要であることを
と振り返り感じます。

■ふと思えば、

「研修講師がやりたかった」

というのが
独立・起業した元々のきっかけでしたが、

今回のお話のように、
「研修」という手段が

経営という文脈で考えた時、
どの目的の、どの位置に、
その手段が位置づけられるのかを考えないと、

「研修のための研修屋さん」

になってしまっては悲しすぎます。。。

本当の意味で
クライアントの伴走者になるには、
経営や戦略人事、制度を含めた
より大きな枠組みを知る必要があるのだ、

そのことを痛感しました。

■改めて

”「研修をする人」から卒業しよう”

と思わされた次第。

組織と関わるからには
意図されたインパクトを
与えられるようになりたい、思いました。

明日は

「第二章 人と組織の課題解決」

を読み進めてまいりたいと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

経済学は己自身の世帯を
やりくりする科学なり。

セネカ
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