効果的に学ぶには、「箇条書きの事実」ではなく、「一筆書きのストーリー」として学ぶ
(今日のお話 1734文字/読了時間2分)
■こんにちは。紀藤です。
金曜日は、大手IT企業の管理職の方向の
「7つの習慣 3日間研修」の懇親会に参加。
(O社様、いつもありがとうございます。
私自身、毎回パワーをもらっております。)
そして、週末は雨だったので、
カフェで読書など。
最近は、山崎豊子氏の長編小説集に、
物凄くハマっています。
今日は、山崎豊子氏の小説を読みながら感じた、
「学びを深めるためストーリー」
について共有したいと思います。
ではどうぞ。
■山崎豊子氏の作品と言えば、
『白い巨塔』
『華麗なる一族』
『大地の子』
などドラマ化もされた、
非常に有名な作品ばかりですね。
小説は文庫で平均5巻、
3000ページを超える大作が中心です。
しかもその時代時代の社会問題に、
鋭く切り込む作風が非常にリアルで面白く、
かつ社会を知るための大変な勉強になります。
■私はこれまでに読んだ山崎豊子氏の作品は
『大地の子』
『白い巨塔』、
この2つ。
そして今は『不毛地帯』を読んでおりますが、
私はこれまで読んだあらゆる小説の中で、
”最も勉強になり、
新しい視点を与えてくれた作品”
の一つである、
と強く思っています。
下手なビジネス書や歴史書より、
よほど世の中の見方や、歴史感、
戦後の時代の人の考え方など、
多くの新しい世界観を、
小説を通して得させてくれたと思うのです。
■ではなぜ、
そんな感覚を持ちえたのか。
なぜ、山崎豊子氏の小説には、
そのような新しい視点を与えうる力があるのか。
そう考えたときに、それは
<ストーリーの力>
にあるのではないか、
そう思ったのです。
山崎豊子氏の作品は、
その時代を追体験しているような、
リアルな取材を元に描かれています。
登場する人物や会社や出来事は、
あくまでフィクションとなっていますが、
多くは実在のモデルがあり、
現実世界とリンクして物語が展開します。
そしてこの行間に、
緻密で膨大な量の取材と、
実際の企業をモデルにした詳細な場面設定がある。
例えば、今読んでいる『不毛地帯』であれば、
・戦後の「シベリア抑留」にあった残留兵の悲惨な生活
・1950年代、大手商社の戦闘機受注をめぐる、政界工作の実態
・大手企業内での、ポジション争いにおける社内政治や社員の葛藤
などなどが、
「ただの事実の羅列」ではなく、
登場人物の想いと、
それに伴う絡み合う事件の連続という形で
小説という壮大な、
「一筆書きのストーリー」
にまとめられているわけです。
そうすると、
ただ文字を読んでいるのにもかかわらず、
小説を読みながら、
「戦争のむごさとは、かくも凄まじいものだったのか」
「利権の争いとは、こうまで生々しいものなのか」
というように、
時に動機が激しくなったり、
顔をしかめてしまったり、
悲しくなったり、それこそ
「疑似体験」しているような錯覚を覚えるのです。
そして、そのような「疑似体験」は、
今まで散々習ってきた”日本史の授業”より、
”よくわかる日本の歴史”という実用書より、
ずっとずっと勉強になると感じたのです。
■そしてそれは、
恐らく山崎豊子氏の小説が、
「事実の断片」でなく、
・当時の人の気持ち
・当時のビジネス環境
・実際にあった事件の繋がり
などを綿密に取材し、
詳細な物語設計を組み立て、
全てが、
”一筆書きのストーリー”
として、繋げて伝わってくるからこそ、
深く深く理解させてくれる、
深い学びを与えてくれる、
そのように思うのです
■忙しい毎日において、
ともすると私たちは、
「てっとり早く要点だけ知りたい」とか、
「ポイントだけでいい」とか
「重要なところを3つだけ箇条書きで教えて」など、
”箇条書きの断片”だけを知り、全体を理解しよう、
とすることがあるかもしれません。
でも、例え断片を知っても、
”その背景にある繋がり”を、
ストーリーとして落とし込んでいなければ、
表面的な事実の理解だけで終わってしまうのかもしれません。
だからこそ、私たちが
「何かを本質的に学ぼう」
「深い気付きを得よう」
とするのであれば、
【”箇条書きの事実”として学ぶのではなく、
”一筆書きのストーリー”として学ぶ】
ことこそが、学びを定着し、
自分の血肉にする上で大変重要なことではないか、
そのように思うのです。
学生時代、日本史で
「1192作ろうなんたらかんたら・・・」と暗記しても、
今、まるで理解できていない悲しき事実を思いながら。
ストーリーの偉大さに想いを馳せた次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今日も皆様にとって素晴らしい1日になりますように。