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4095号 2025年5月12日

太宰府天満宮の「芸をあんまりしない猿回し」から学んだこと

(本日のお話 1758字/読了時間2分)

■こんにちは。紀藤です。

このGWは仕事をしながら、沖縄→長崎→福岡と、各地を転々としておりました。

沖縄は仕事を含め、そして長崎では稲佐山の峠走や出島やグラバー園などの歴史散策、
福岡では、いとこが経営する産婦人科医にいき、そこで出産をした姉と赤ちゃんに会いにいくなど、なかなか盛りだくさんな1週間でした。

さて、そんな中で先日、福岡の「太宰府天満宮」へ見学に行きました。

学問の神様の菅原道真を祀る神社とのことで、絵馬には「京都大学に合格できますように」「警察官の国家資格に合格できますように」という多くの学問にまつわる願いが書かれていました。
あるいは「子どもの受験の成功を願う気持ち」があったり、絵馬に書かれたそれぞれの人生の物語や、努力の奇跡を想像して、グッと来るものがあったのでした。

▽▽▽

その中で、大きくふと「猿回し」をやっている芸人さんがいました。

太宰府天満宮と猿回しは直接は関係ないのですが、その時の様子を見ながら、考えさせられたことについて、今日は皆さまに共有させていただければと思います。

それでは、どうぞ!

■猿回し歴1年の元サラリーマン

「最も遅咲きのルーキー」として、その自己紹介の看板には、「元NECで半導体事業に関わったサラリーマン。早期退職でラーメン屋を開業するが、コロナ禍で廃業。その後、55歳から猿回しを始める」というような文言が書かれていました。

うーん、キャリアって実にさまざまだなあ。。。とその大道芸人さんの背景だけで、興味をそそられます。

その背景を見た上で、芸人さんらしからぬシリアスすぎる面持ちを見てみると(結構強面)、より信ぴょう性を感じてしまうのでした。

最初はまだらな人で、輪をくぐる芸などをやるのですが、お猿さんもあまり機敏な動きとは言えず、くぐる輪っかの高さを飛んでいる瞬間に低くしたり、芸としては、想像の範囲内、というイメージ。

ただ、途中から大きな芸を行う「前振りの話」から、空気が変わり始めました。

■「芸」をしないが人が集まる

「私は一年前に猿回しを始めました。そして、この彼(猿)も一年前に猿回しを始めました。どちらも一年生です」。

大道芸人という言葉に合わないプレゼンのような鬼気迫るトークが、東京のららぽーと豊洲にいた猿回し芸人さんとの雰囲気の違いを感じさせます。

2-3メートルくらいの棒が立てられ、そして、大道芸人さんがいいます。

「これから行う芸ですが、実は練習中には、失敗してばかりです。
棒の上に登って立つというものですが、10回やって成功率は3割くらいでした。

そして、その棒の先に二本足で立つことはこれまでできませんでした。
もし二本足でたったらこれは、奇跡です」

その間、芸は一切なし。オンリートークです。

しかし、聴衆は増えていきます。
そしてざわめきの中、芸が始まり、そろそろとお猿さんが棒を登り始めました。

頂点に座って、しばらくじっとしています。
すると、お客さんの中から「がんばれ!」という声が聞こえます。
芸人さんも必死そう。

そんな中で、二本足で立ち上がり、
観客から「おおー!」と歓声があがったのでした。

■人は芸ではなく、物語に魅せられる

さて、この一連の話から思ったこと。
それが「人は芸だけでなく、物語に魅力を感じる」ということです。

猿がすごいジャンプを見せるなどはある意味想像の範囲内です。

もちろんこのお話も、実際にどこまでが真実なのか、
それとも盛り上げるための創作されたフィクションなのかは、
確かめようがありません。

ただ、そこに「ほんとうにそうかも」と思わせる迫力のようなものはあったのが確かでした。だから、人だかりができて、その結果を目撃したい、という気持ちになったのかもしれません。

■「アマチュアだからこそ」の価値

高校の文化祭、高校野球、アマチュアの音楽の発表会。

技術は発展途上でも、魅力があるのは、
そこに「物語」があるからなのでしょう。

そして、物語を紡ぐことに、その不安定さの中に、
アマチュアだからこそ提供できる価値があるのだろうな、
そんなことを感じたのでした。

私事ですが、先日あったピアノの発表会でも、
さまざまな方からメッセージをいただきましたが、
こうした「物語」があったのかもなあ、などと振り返り思った次第です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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