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4135号 2025年6月21日

大学生のグループワークから思う「相手の意見を批判する」際のお作法

(本日のお話 2053字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は2件のアポイント。
その他、研修のプラン作成など。

さて、大学のリーダーシップの授業も、いよいよ佳境に入ってきました。
来週には、みなさんが練り上げてきたプランを発表する「予選」が控えています。

そのスライドの提出締め切りが土曜日ということもあり、1年生・2年生からフィードバックが欲しいと依頼され、溜まっていた仕事がどんどん後ろに押し出されております(汗)。

とはいえ、学生の皆さんも一生懸命頑張っているので、自分としてもできる限り応えたいと思いながら過ごしている今日この頃。

さて、本日のお話ですが、そんな大学のグループワークの中でよくある「ある場面」について、感じることがありました。

それが「相手の意見を批判するときのお作法」に関するお話です。

そして、これは大学に限らず、あらゆる組織・チーム・人間関係の中で起こり得ることだと感じたので、今日はそのことについて書いてみたいと思いました。ゆるりと、お読みいただければ幸いです。

それでは、どうぞ!

■チームの状態を1ヵ月に1度、振り返る

大学のリーダーシップの授業では、クライアント企業から提示されたテーマに対して、チームで課題解決を考えていくことが中心です。

興味深いのが、そのチームプロセスの中で、チームビルディングがうまくいかなかったり、コミュニケーションの中で気になるやりとりがある、などが大なり小なり、発生するということ。そして、その状態をメンテナンスするために、定期的に相互フィードバックを行う機会があります。

たとえば、あるメンバーが「みんなでのディスカッション中に、いつもスマホをいじっている」「全然参加しているように見えない」「何を考えているのか分からない、もっと喋ってほしい」――といった声が挙がることもあります。

そうしたフィードバックを受けた人は、「そうなのか…!」と気づいて行動を変えることもあれば、スルーする場合もあります。ただ、どちらにせよ「周りから見えた自分像を知る」ことで、それが自分を変えるきっかけになることは間違いないように感じます。

■「批判する人」に対する批判

さて、そのようなチームプロセスにおける、相互フィードバックのやり取りの中で、「よくあるな」と思うのが、「批判する人のマナー」に関する意見です。

いわゆる、「批判するなら代替案をくれよ」というお話です。

「なんか違うんだよな」「そのプランじゃ現実性がない」と言うことは簡単です。しかも、批判はインパクトがある上、発案者の”アイデア”というのは、それほど煮詰まっていないため、論拠立てて批判への反論処理をするのは、難易度が高いことも少なくありません。

一方、批判するほうが「なんか違う」というだけでは、やや言葉が足りません。もし、そう思うならば「何に対してどう違うのか」「理想に対してどんなギャップがあるのか」を具体的に伝えなければ、建設的なディスカッションにはつながりません。

言われてみれば当然のことですが、その一手間を惜しんで「なんか違う」とだけ言ってしまう人が、意外と少なくないようです。

そしてこれは大学生だけでなく、社会人においても同じような場面をよく見かけます。特に、立場が上だったり、相手が言い返しづらい状況にあると、「何か違う。もう一度考えてみてよ」で終わらせてしまうケースも多くあります。

■かといって「詳しく言い過ぎてもダメ」

…とはいえ、上記のケースで、上司が部下を育てたい場合だと、逆効果になる可能性もあります。

「たとえば、こういう理由で…」「具体的にはこういう例があって…」と詳しく説明しすぎたり、理想と現状のギャップを端的に説明しすぎてしまうと、相手が考える余地を奪ってしまう可能性がある、とも思われます。

抽象的でフワフワした考えを、なんとか言語化しようとするそのプロセスこそが、相手に伝わるコミュニケーションを磨く機会になるわけですので、こちらの言語化が的確であればあるほど、その方向に引っ張られてしまい、自分自身で考える機会が減ってしまいます。

つまり、「何か違う」では曖昧すぎるけれど、「ここが違う。代替案はこれこれ」と言いすぎてもよくない。「『なにが違う』と『具体的にはこう』の間のグラデーション」の中で、どこまでを言葉にするのか。

それは、相手と自分の関係性、それがチームメンバー同士なのか、メンターとメンティーなのか、あるいは相手の経験レベルや思考力・状況、または締め切りまでの時間なども踏まえながら、柔軟に判断し、伝えていくことが求められるのだろうなと感じるのでした。

■まとめと感想

と、上記は全部自分への反省でございました。

大学生のプランの締め切りが間近ということもあり、自分の意見を細かく伝えすぎてしまってはいないかと、少し反省しております。

ふわっと伝えると伝わらない、かといって具体的すぎても思考の余白を奪ってしまう――その間で、どのように相手に寄り添っていけるのか。この問いを、これからも自分の中で大切に考えていきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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