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4268号 2025年11月1日

連日の研修は「ライブツアー」のようだ

(本日のお話 2254字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

先日、以前から開発してきた「強み発見ワークショップ」を、3日連続で合計60名の方に実施させていただく機会をいただきました。

来年に出版予定の著書の内容を、ワークショップという形で試す機会を得たのは、まさに奇跡的なご縁にも思えるほど。関係する皆さまに実際に体験していただけたことは、個人的にも実にありがたいことでした。

一方で、心境としては「入れ込みすぎの馬」のような状態で、不安と期待が入り混じる3日間でした。こうした感覚は、久しぶりな気がして、希少でした。

ということで今日は、この機会を通じて感じたこと、そして教訓として残しておきたいことをまとめてみたいと思います。

■鉄板:挑戦は「7:3」がバランスがよい

人材開発・組織開発という、果てのない旅路の中で、まだまだ未熟な自分ではあります。⋯とはいえ、起業してから7年。これまでにも、自分なりにさまざまな研修プログラムを作り、実施してきました。

しかしながら今回は、久しぶりに「超不安な研修」でした。というのも、プログラムのコアにあるツール自体を自分で開発しており、それが実際に“機能するかどうか”は、やってみないと分からない部分が多かったからです。

通常、研修を実施するときは、個人的には「7割が確実な構成(鉄板)」「3割が新しい挑戦」くらいのバランスで設計すると、目的も達成しつつ、自分も手札が増える感じがして、そのパターンを守ってきました。ですが今回はその逆。「7割挑戦・3割鉄板」という感じです。なんだか、独立直後のような案件だなあ、と思っていました。

■連日の研修は「ライブツアー」のように

さて、今回の研修は、20名×3日間で合計60名での実施でした。ふと思うと、3日連続で同じプログラムを行うのは、ほとんど初めてでした。

そして初日、自分でも口惜しいほどの「イケてないデリバリーをしてしまった」と感じました。「伝えている言葉が本当に届いているのか」という不安と、「ツールの機能性を冷静に見極めたい(熱意だけで誤魔化したくない)」という思いが入り混じり、「ただの元気がないファシリテーション」になってしまいました。

初日のアンケートや、参加してくれた大学院の仲間からのフィードバックをもとに修正し、2日目以降は構成を調整しました。これらを反映したところ、同じプログラム構造でも、参加者の表情・質問の数・自己効力感などが明らかに高まったことを感じました。最終3日目は、こだわりの強い参加者が多く、最初は少し硬い雰囲気でしたが、途中から一気に空気がほぐれ、熱を帯びていくのを感じました。

こうして3日間を通じて感じたのは、「まるでライブツアーのようだ」ということ。ふと思えば、アーティストのライブでも、ツアー初日とファイナルでは「慣れ」が反映される。あるいは集まったときの観客との相互作用も不埋めて、そのライブの雰囲気が変わる。経験を通じて洗練されていくのは、なのとなく、ライブっぽいな、と思ったりもしたのでした。

連日で研修を行うことの魅力は、この“経験学習のサイクル”を高頻度で回せることにあるのだと実感しました。

■振り返りは「2種類」で回すべし

さて、初日の研修を終えたあと、生成AI(Gemini)に話しかけながら、自分の思いを整理してみました。
そのときに気づいたのが、「効果的な振り返りは2種類使い分ける」ということです。

ひとつ目は、「具体的改善型」の振り返り。
プログラムの構成やデリバリー方法を具体的に見直すタイプです。

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・研究データのレクチャーは“端的に”伝える
・もっと自信を持って“言い切る”
・Q&Aの時間をしっかり確保する
・アクションプランを考える時間を設ける
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みたいな、これは“結果を生み出す”ための重要な振り返りで、コルブの経験学習モデルにも通じるものがあります。



そしてもう一つが、「感情的リフレクション型」。
自分の内側を見つめる振り返りで、なんとなくギブスのリフレクティブサイクルモデルの「何を感じたか」を思い出します。

「なんだか元気がないファシリテーションになった」背景には、自分の感情が深く関わっていました。「ふがいない自分が情けない」という気持ち。
その奥には、「洗練された言葉で納得感を届けたい」という“卓越性を求める欲求”が潜んでいたことに気づきました。

また、初日で“テンションを上げなかった”理由の裏には、「プログラムが本当に機能するかを冷静に試したい」という意図があったことも見えてきました。このように、自分の“内側の声”を丁寧に言語化すると、不思議とスッと手放せる感覚がありました。

以後は、「研修報告書の振り返り」と「感情・内省の振り返り」という二層構造で整理していくスタイルが、スッキリするな、などと思うのでした。

■まとめと感想

今回のプロジェクトで、合計60名分のデータが集まり、開発中の「強み尺度」もある程度の機能性が見えてきました。

今後の解析次第では、強み理解度や活用度への影響も明らかになると思いますし、どの要素をブラッシュアップすべきかも見えてきそうです。その内容を、これからまとめていきたいと思っています。

どこまでできるかはまだ分かりませんが、“試行錯誤の感覚”を忘れないうちに早めに言葉として残しておきたい、そんなことを感じている次第です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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