人生とは「アイデンティティを統合する旅」である ー『中年からのアイデンティティ心理学』#12
(本日のお話 1756字/読了時間2分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は、午前中が立教大学のリーダーシップの授業。
午後からは、立教池袋高校のリーダーシップの授業でした。
火曜日は、「教員デー」となっておりますが、
これまでにない新鮮な体験をさせてもらっており、実に楽しいです。
高校生のむき出しのエネルギーを見ると、
大学2年生が大人に見えたりします。
色んな年代の人と話をすること、そうした人たちに伝わるように
どんな話やテーマを設けるかを考えること。
こうしたことが自分の幅を拡げてくれているとも思いますし、
そのような経験をさせてもらえていることに、深く感謝の念を覚えている次第です。
まだまだ前半戦、ここからも頑張りたいと思います。
*
さて、本日のお話です。
長らく題材にしてきました『中年からのアイデンティティ心理学』も本日で最後となりました。
この本を読んできた感想は一言。
「霧が晴れた」という感覚です。
本には、人の考えを変えたり、方向性を見定めるパワーがあります。
今回の書籍は「中年のアイデンティティ」という専門書ですが、理論的に、丁寧に描かれているからこそ、絶大なる信頼感を覚えます。
そして、そこから私が学んだことは「人生とは、アイデンティティを統合する旅路である」ということでした。
今日はこのお話について、最終章を踏まえて、学びをまとめていきたいと思います。
それでは、どうぞ。
■真に成熟したアイデンティティとは
本書で主張される「大人にとってのアイデンティティ達成」とは、まとめると、以下の2つです。
⑴個としてのアイデンティティ ー生きてきた時間を統合するー
一言でいえば「生きてきた時間を統合すること」です。
自分が生きてきた人生の節目で、生きてきた時間を振り返り、これまで気づかなかった自分の側面に気づくこと。
あるいは、若い頃は理解できなかった先生の言葉、親の言葉、友人の言葉に、中年期になって気づくこと。そうした、出会った人との時間を含めて「自分の中で統合していく」こと。
生きられなかったもう一人の自分に気づき、その願いを持ちながら、家族や仕事の役割、現実を見た時に、必ずしも好きなようにできるわけではないと知ること。様々な役割を持つ中で、本来の自分は何かを問うて、それらを統合させていくこと。
全てが実現できるわけではない現実の中で、なんとかおりあいをつけること。葛藤の中で「自分で、主体的に、納得していく」こと。
人は、自分をそんな風に、時空を超えて、人生の旅路が自分の中に統合されていくことが「個としてのアイデンティティ」を達成することです。
⑵関係性にもとづくアイデンティティ ―他者と深くかかわることー
そして、もう一つが「他者と深くかかわること」です。
1つ目が「ケアすること」です。
それは育児かもしれないし、介護かもしれません。
人は人を育てる事によって、自ら育つ。「育児は育自」というものです。
また、介護を通じて、人が頼り頼られ、そして老いの意味を見出すことにも繋がります。
2つ目が「自立した人と積極的に関わること」です。
たとえば、子どもが自立した後に、夫婦で共に関係を築き直すこと。
相手の人格を尊重し、自分にとってかけがえのない存在として相手をみて、関わること。
また、他者とかかわるというのは、仕事においては「後進を育てる」ことも含みます。
自分自身が専門家として高い山を目指しながら、一方、次の世代のために種を蒔き、苗を育てるという2つを行う。
こうしたことが中年期以降の「職業人としてのケア」とも言えます。
■「個の達成」と「深い関係性」に優劣はない
現在社会では、「達成」に価値が置かれる傾向があります。
「生産性を高める」「業績を上げる」「成果を上げる」。達成志向型の価値観に光が当たっている状況です。
それは「より強く高く速く」をモットーに、人間の弱さを否認するプロセスであり、「達成することが光、ケアすることが影」というような印象。
つまり、極端に言えば「偉いのは稼いでいる方だ」という価値観とも言えるかもしれません。ゆえにアイデンティティも、「個としてのアイデンティティ」に価値の焦点があたっており、「関係性にもとづくアイデンティティ」は影になっていたといえる。
ただ、本書では、そうではなく、「個としてのアイデンティティ」も「関係性にもとづくアイデンティティ」も優劣はない。人の弱さ・共感性、他者を受け入れる力。それらは等しく価値があるものであり、そうしたものをふくめて「人間存在を、光も影もひっくるめて、自分の中に統合していくことが成熟したアイデンティティのビジョン」である、と述べられていました。
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「心の発達」こそが、人生の目的である。
「人生という内面の旅」であり、「アイデンティティを統合する旅路」こそが人生。私は本書を読んで、そうした世界観に生きているのだな、と確信しました。ゆえに、生きる方向がより明確になって、生きやすくなった、そんな感覚を覚える素晴らしい一冊でした。
改めてこうした知見を言葉にしていただいたことに、感謝の念を覚えている次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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