今週の一冊『最強の経験学習』
(本日のお話 3015字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は朝4時から8kmのランニング。
夏は暑すぎるので、早朝ランが気持ち良いです(暗いですが)。
少し前から「いちご」をプランターで栽培をしているのですが、たわわに実り始めました。
甘酸っぱくて、スーパーよりも酸味が強いのですが、「自分で育てた」というトッピングほど、美味しく感じさせるものはありませんね。
一方、アブラムシが爆発的に繁殖しており、殺虫剤でやっつけておりました。
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さて、本日のお話です。
本日日曜日は、最近読んだ本の中から1冊をご紹介する「今週の1冊」のコーナーをお届けいたします。
本日ご紹介するのは、「経験学習」で有名なデイビッド・コルブとK・ピーターソンによる一冊です。
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『最強の経験学習』
デイビッド・コルブ、K・ピーターソン(著)
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さて、「経験学習」という言葉、人材開発に関わっている方なら、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
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経験する → 振り返る → 教訓を引き出す → 次の行動に生かす
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シンプルに言えば、そんな学び方です。もちろん私もこのことはそれなりに知っているつもりでしたが、本書を読んで「経験学習と『学習スタイル』」という新しい視点を得ることができました。
ということで、早速中身をみてまいりましょう!
■経験学習とは何か
さて、まず一般的に言われている経験学習とはどういうものか。
簡単におさらいしておきましょう。以下は本書で書かれていたものではないまとめですが、「経験学習の4つのサイクル」として知られているものです。
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⑴.具体的経験(Concrete Experience)
実際に何かをやってみる段階。成功も失敗も含め、直接的な体験を指す。
↓
⑵.内省的観察(Reflective Observation)
自分の行動や起きた出来事を客観的に振り返る段階。「なぜそうなったのか?」「どう感じたか?」を多角的に分析する。
↓
⑶.抽象的概念化(Abstract Conceptualization)
振り返りから得た気づきを、他の場面でも使える「教訓」や「法則」にまとめる段階。持論化とも呼ばれる。
↓
⑷.能動的試行(Active Experimentation)
導き出した教訓を、新しい状況で実際に試してみる段階。これが次の「具体的経験」へと繋がっていく。
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ちなみに、本書では、上記の1~4のステップにおいて、脳の様々な部分が活性化されるという生物学的な観点も紹介しています。
具体的な経験は「感覚野」で処理され、振り返るときは「側頭連合部」が関わり、論理的な思考には「前頭連合野」が機能する(らしい)です。
つまり、経験学習のサイクルをぐるぐると回すということは、脳のさまざまな領域を使うということ。
ニューロンの結合が生まれ、発達していく。つまり、学び方は、生き方であり、脳の発達でもある。
なんだか「経験学習=生きる」と言われると、壮大な気持ちになりました。
■経験学習を「練習する」6つのステップ
次に、「経験学習をより日常に落とし込むため」に、6つのステップが紹介されていました。
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・1. 学びの場所を作る:今、頭の中にある思考に気づき、体をリラックスさせ、頭の中にスペースを確保する。
・2. 目の前の物事に集中する:そのスペースに、経験を呼び込む。体や心に生まれた感覚・気持ちに意識を向け、その状態をそのまま味わう。
・3. 検討する:くつろぎながら、経験を振り返る。傍観者のように、自分の経験を観察する。まだ言葉にしなくていい。感情や感覚を、ただ味わう段階。
・4. 経験について考える:今度は言語化する。自分が経験したことを、どんな概念やアイデアで表現できるか。意味を見つけていく。
・5. 行動を起こす:ここまでのステップをもとに、新しいアプローチを考え、試してみる。
・6. 最初のステップに戻る:行動から、また新しい経験と感情が生まれる。そのたびに、学びのスペースを作り直す。
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「経験する」というと、これは「越境体験」や「特別な挑戦」みたいに思うことがありますが、この6つのステップを見てみると、「日常で感じたことについて、いかに経験学習を行うか」であることがわかります。
むしろ、瞑想やジャーナリングに近い印象。日々の内省の中で、こうしたサイクルを回していくことができるのだな、と感じます。
このステップの解像度はとても届きやすいのではないかと思いました。
■9つの学習スタイル──あなたはどのタイプか?
そして本書でもっとも興味深かったのが、「9つの学習スタイル」です。
経験学習の4ステップをさらに展開した「9つのフルサイクル」として、以下のように提示されています。
それぞれに特徴的な能力があります。少し長くなってしまいますが、それぞれの特徴がわかりやすいので、本書から整理してみます。
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・1.「経験」するスタイル:
ー信頼できる人間関係を築く。
ー積極的に参加する。個人的なつながりを作る。
ー感情を表に出す。
・2.「想像」するスタイル:
ー新しいアイデアを生み出す。
ー他者への共感を示す。他者の意見を求める。
ー新しい可能性を思い描く。
・3.「検討」するスタイル:
ー心を開いて話を聞く。
ーさまざまな情報源から情報を収集する。
ー根本的な問題や原因を特定する。さまざまな視点から問題を考える。
・4.「分析」するスタイル:
ー事前に計画を立て、ミスを最小限に抑える。
ー情報を整理して全体をとらえる。データを分析する。
ー理論と範例を使って問題を説明する。
・5.「思考」するスタイル:
ー豊富な証拠を使って問題を分析する。議論を論理的にとらえる。
ーコミュニケーションを取るときは客観的・批判的な思考を使う。
ー独自の判断を下す。
・6.「決定」するスタイル:
ー現実的な問題解決策を見つける。
ー目標に注力する。決断して問題を解決する。
ー意見が分かれる場面でも自分の立場を明確にする。
・7.「行動」するスタイル:
ー時間や期限を厳守する。
ー目標達成の方法を見つける。目標志向の行動を取る。
ー限られた資源の中で計画を実行する。
・8.「開始」するスタイル:
ー変化する状況や条件に柔軟に対応する。
ー他の人を鼓舞する。
ー新しいチャンスに気づく。失敗から立ち直る。
・9.「バランスを取る」スタイル:
ー全体的な状況を見て盲点を特定する。
ー異なるタイプの人の橋渡しをする。
ー優先順位の変化に適応する。臨機応変に対応する。
※P116を参考に作成
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これを見ていると、「ああ、自分はこのスタイルが得意だな」「このスタイルはあまり使っていないな」というものが、なんとなく浮かんでくるようですね。
私は、明らかに「経験」「想像」のスタイルが好きです。その次が「開始する」スタイルですね。
逆に、「分析する」「思考する」はあまり使えていない、鍛えられていないので、伸びしろがあるように感じています。
本書は、この9つのスタイルを「フルサイクル」として使いこなすことで、問題解決・意思決定・チームワークなど、あらゆるプロセスをより豊かにできると述べています。
■まとめ:経験学習は「特別なこと」ではない
経験学習というのは、シンプルでわかりやすいフレームですが、今回この本を読んで、「学習スタイル」とか「脳との繋がり」など今までにない視点で捉える事ができたように思います。
また、特別な経験をしなくても、経験学習はできる。
日々の小さな気づきを、ちゃんと「学び」に変えていけるものである。
そんなことを、一般向けの図書として、優しく教えてくれる一冊だと感じた次第です。
そして、まだ使っていない「学習スタイル」も鍛えていきたいな、と思いました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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